新山下にあるプロ野球チーム中日・広島・阪神の指定クリーニング店「村田クリーニング商会」の歴史に迫る!
ココがキニナル!
新山下(港の見える丘公園の下あたり)には、中日・広島・阪神の指定クリーニング店があります。看板にそう書かれているので、前を通るたびにとても気になっています。(永田OLさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
阪神タイガース・中日ドラゴンズ・広島東洋カープの指定クリーニング店の看板を出しているのは村田クリーニング商会。横浜でも有数の老舗店だった!
ライター:松崎 辰彦
プロ野球球団御用達のクリーニング店
みなとみらい線の元町・中華街駅をおりて数分歩くと、港の見える丘公園に到着する。その横を通りすぎ、たどりつくのはMEGAドン・キホーテ山下公園店。
MEGAドン・キホーテ山下公園店
その裏手の道を歩き、ほどなくして見えてくるのが投稿にもあるユニークな看板。
村田クリーニング商会
有限会社村田クリーニング商会の目印である。経営するのは村田敏憲氏。御夫婦で運営されている。
村田敏憲氏・美代子さんご夫妻
ハマスタで試合を行っている際の取材は対応できないということで、試合のない日に伺い、店先の看板に関して話を聞いた。
「ベイスターズが川崎から横浜に移転した1978(昭和53)年以来、プロ野球選手のユニホームのクリーニングをしています」
関東圏外の阪神、中日、広島といった球団が横浜でベイスターズと試合をすると、村田氏が車で選手の宿泊するホテルに駆けつけ、練習や試合で着用したユニホームを受け取り、一晩で洗濯して返すという仕事をしている。
「私どもは以前からホテル関係の仕事も行っており、団体客の衣類を扱うことに慣れていたこと、さらにプロ野球の選手団に対応できるスタッフと機材を持ち、場所的にも球場から近いことなど好条件がそろったので、この仕事の打診があったときにやらせていただくことになりました」
ベイスターズからカープに移籍した石井琢朗選手のユニホーム。引退当日に撮影
一回に60人から80人分のユニホームを、6人から7人ほどのスタッフで洗濯するという。さらに球場でビールなどを販売している売り子の服も洗うとのこと。およそ5時間で仕上げるというが、洗うよりも畳むほうが大変らしい。
「アンダーシャツとかストッキングとかこまごましたものは、どの選手か区別がつかなくて困ることもあります。気をつけてはいるのですが数字の“6”と“9”を間違えたり、あるいは畳むときになってあれがない、これがないと探すこともあります」
興味深いのは、預かったユニホームの仕上げ方。ピシッと折り目正しく仕上げて返納するのではと思いがちだが、実際は違うという。
「きっちりと線が入ってしまうのは失敗です。いかにも“洗濯しました”という感じで仕上げてはいけないんです。ふんわりと、丸みを帯びて仕上げるように球団からも要請されています。これは芸能人も同じで、衣装に生活感が出ないように工夫します。専門的にいうと繊維には必ず膨らむときがあり、その膨らんだときをつかまえて冷やしてシワにならないように仕上げるのがプロの技術です」
カープのソックスとリストバンド
野球選手ならではの話もある。
「選手によって汚れる部分にも個性があります。慣れてくると、誰のユニホームか見ただけでわかるようになります(笑)。それから勝ち続けている間はゲンをかついでユニホームを洗濯せず、負けるとこちらに預けてくる人もいます」
野球選手は、個性豊かである。