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新山下にあるプロ野球チーム中日・広島・阪神の指定クリーニング店「村田クリーニング商会」の歴史に迫る!

ココがキニナル!

新山下(港の見える丘公園の下あたり)には、中日・広島・阪神の指定クリーニング店があります。看板にそう書かれているので、前を通るたびにとても気になっています。(永田OLさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

阪神タイガース・中日ドラゴンズ・広島東洋カープの指定クリーニング店の看板を出しているのは村田クリーニング商会。横浜でも有数の老舗店だった!

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ライター:松崎 辰彦

長い歴史をもつ村田クリーニング商会



村田クリーニング商会がここ横浜に開業したのは1925(大正14)年、先代・村田正敏氏のとき。以後今日まで、経営を続けている。

村田クリーニング商会は、熊本県出身の村田源治(げんじ)氏がロシアにわたり、1887(明治20)年にウラジオストクで艦船洗濯店「シップスランドリー」を開業したことに始まる。
 


村田源治氏 (画像提供:村田クリーニング商会)
 

1897(明治30)年に「村田西洋洗濯店」に社名を変更したが、源治氏は日本に帰国、店は次男の歳三郎(としさぶろう)氏に受け継がれた。

 

村田歳三郎氏。家族とともに(画像提供:村田クリーニング商会)
 

家族とともに勲章をつけて。後列一番左(画像提供:村田クリーニング商会)
 

娘たちと(画像提供:村田クリーニング商会)
 

歳三郎氏夫妻(画像提供:村田クリーニング商会)
 

晩年の歳三郎氏(右)と奥様、幼少期の美代子さん(画像提供:村田クリーニング商会)

 
その後1925(大正14)年、歳三郎氏も帰国し、横浜市中区新山下に店を移転する。やがて店は1915(大正4)年生れの息子、正敏氏に受け継がれ、そして生れたのが村田美代子さんである。
 


海軍時代の正敏氏と美代子さん(画像提供:村田クリーニング商会)
 

20代前半の正敏氏(右)と同じ場所で同じポーズをとる美代子さん
(画像提供:村田クリーニング商会)

 
美代子さんと結婚したのが遠縁の親戚にあたる敏憲氏であり、現在はご夫婦と親戚の方で協力してお店(1956〈昭和31〉年に「村田クリーニング商会」に社名変更)の経営に当たっている。

「横浜市全体ではわかりませんが、少なくとも中区では一番古いクリーニング店です」
村田氏はいう。

日本の洗濯の歴史にもくわしい。

「昔の日本では、こんな洗濯板を使っていました(写真参照)。そもそも和服と洋服では洗い方が違います。和服は丸洗いをすると型崩れがするので、洗濯するにも手間がかかりました。布を結合している糸を一つひとつ断ち切って、一枚いちまいの布に解(ほど)いて洗わなくてはならず、もちろん乾いたら再び縫製する必要があるわけで、大変な作業でした」
 


洗濯板。昔はこれで洗濯した

 
現在のように何でも洗濯機で洗える時代ではなかったのである(現在では和服でも解かないで洗う技術が確立している)。

西洋からきた洋服に対して、筋目を入れるのにコテを使い、後にそれがアイロンに進化したが、これも折り目がつくことを嫌う和服にはない発想であった。
 


かつて洋服の形を整えるために使われた「火のし」
(『神奈川県クリーニング組合沿革史』より)

 
野球選手や芸能人はもとより、かつては来日したマッカーサーやチャールズ・チャップリンの服も洗ったという。国際的なイベントのときには海外からのゲストの衣装の洗濯も引き受けるとのことで、まさに横浜の歴史を衣服の面から見つめてきたお店である。
 


マッカーサー(フリー画像より)
 

チャップリン(フリー画像より)

 
「昔はプロ野球選手にしても一緒に飲みに行ったりすることもできたのですが、今はもうできません。選手の管理が厳しくなりましたね」
村田さんはいう。

私たちの生活に欠かせない町のクリーニング屋さん。その歴史にも、深いものがある。



取材を終えて



今回取材させていただいた村田クリーニング商会は、横浜DeNAベイスターズのライバル球団をサポートしている。表に出ないさまざまなスタッフが、プロ野球という華やかな世界を支えている。

クリーニングという仕事の奥深さも、このたびの取材で知った。

「衣服で大切なのは、裏地がしっかり縫製してあるかです。眼に見えない内部に、強く芯が通っていることが大切です。ここがおろそかですと、洗ったときに破損してしまいます」

見えない部分こそ大切、という言葉を今回、村田氏からいただいた。

「自分の手で洗ってみてわかることですが、有名ブランドだからいい服とは限りません。無名のブランドにもすぐれた服があります」

いずれもこれから社会に旅立つ若者にこそ、聞いてほしい言葉である。 
 


昔、日本で使われていたアイロン

 
村田夫妻は今でも海外旅行にいくと、必ず現地のクリーニング店に入り、どんな仕事をしているか見学するという。また、見慣れない布を見つけると購入して持ち帰り、洗い方の研究をするということである。

ユニホームやステージ衣装という失敗の許されない世界で、技術を発揮する職人の仕事。ファンの視線には入らぬプロの面々が、スターたちを舞台の裏から支えているのである。


─終わり─
 
村田クリーニング商会
住所/ 横浜市中区新山下1-9-20
電話/ 045-621-2509

参考文献
神奈川県クリーニング環境衛生同業組合発行『神奈川県クリーニング組合沿革史』

 

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  • 野球のユニフォームの話から洗濯の歴史を勉強することになるとは。とても興味深く面白いレポートでした。

  • たしかに、この店の前をとおるたびに気にはなっていました。これでスッキリです

  • 採用していただき、ありがとうございました。横浜のクリーニング史に於いて、非常に貴重な役割を果たしたお店だったのですね。この歴史や技術が未来にも受け継がれていくことを願わずにいられません。まもなくリーグ戦が再開し、さっそくカープがやってきますので、忙しくなりますね。

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