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野毛山動物園のカメは密輸されたカメって本当?

ココがキニナル!

野毛山動物園で展示しているカメは、何と半数以上が密輸保護個体だとか。野毛山動物園に来ることになった経緯が知りたいです・・・。(ねこぼくさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

希少なカメの飼育で積み重ねた実績や、カメ飼育にまつわるトラブルでできた警視庁との縁が理由で、野毛山動物園に保護されたカメが飼育されていた!

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ライター:田中 大輔

1951(昭和26)年開園の老舗動物園として知られる野毛山動物園。
規模は大きくないが、入園無料ということもあってズーラシアにも負けない入場者数を誇る動物園である。

そんな野毛山動物園の人気スポットのひとつが、2014(平成26)年8月にリニューアルオープンした爬虫類館だ。
 


まだまだ真新しさを感じさせる爬虫類館


40種類の爬虫類を飼育・展示するこの施設で暮らすカメたちの多くが、違法取引の被害者らしい、というのが今回のキニナル。
実際のところはどうなのか。また、本当だとしたら、どんないきさつで野毛山動物園にカメたちが集まるのだろうか。



希少種だらけの爬虫類館!?



今回、話を聞いたのは爬虫類を担当している桐生大輔さん。担当歴12年に加え、自身でもカメを飼育しているというベテラン飼育員さんだ。
 


子どものころから爬虫類が好きだったという桐生さん


さっそく、野毛山動物園で保護個体のカメを飼育しているのかと質問をぶつけてみると「はい、それは事実です」との回答。
桐生さんによると「爬虫類は全部で160頭ほどいて、カメは110頭くらいです。そのうち約55頭が違法に持ち込まれて、保護された個体です」ということだから、キニナルにある通り、カメの半数が密輸保護個体ということになる。

違法に持ち込まれるということは、被害に遭うカメは取引が制限されている希少種ということだ。
例えば、国内では野毛山動物園にしかいないヘサキリクガメ。
マダガスカル島のごく一部にのみ生息するこのカメは、自然破壊や外来動物の脅威にさらされ絶滅の危機に瀕している。
 


首の下の喉甲板(こうこうばん)が舳先のようになっているのが名前の由来


1986(昭和61)年から現地に保護繁殖場が設けられて少しずつ数を増やしていたが、1996(平成8)年、その繁殖場に心ないカメ泥棒が入り込み76頭が盗まれてしまうという大事件が起こった。
その際、日本にも密輸があったようで、警察によって摘発された個体が現在は野毛山動物園で飼育されているというわけだ。

ほかにも、ホウシャガメやバタグールガメ、インドセタカガメにハミルトンガメなど、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の附属書Ⅰ(Ⅰ~Ⅲまであり、Ⅰが最も制限が強い)に掲載されるカメたちが多く飼育されている。
 


おやつ中のホウシャガメ。マダガスカル島の南西部が本来の生息地
 

水槽で泳ぐバタグールガメは、インド東部などに生息している


動物園の場合、それらの種を合法的に迎え入れられる可能性もある。しかし、野毛山動物園で飼われているこれらのカメたちは、すべて人間のエゴで生息地から違法に連れてこられた個体だそうだ。



警察にも頼られる野毛山動物園


では、違法に日本に持ち込まれた、あるいは持ちこまれそうになったカメが、どういう理由で野毛山動物園に託されるのだろうか。

密輸の保護個体として動物園にやってくる動物には、大きく分けて2通りのパターンがあるそうで、それによって手続きに多少の違いがある。

ひとつは、空港などで発見され、国内に持ち込まれるのを水際で防いだ場合だ。
この場合、国際条約であるワシントン条約違反(ワシントン条約に罰則規定はないため、国内法の外国為替及び外国貿易法が適用される)となり、発見された動物の所有権は経済産業省が持つことになる。
 


顔や四肢のきれいな模様が特徴のハミルトンガメ


経産省からは日本動物園水族館協会(JAZA)に連絡が行き、JAZAから所属の動物園などに保護飼育の打診がされるんだそうだ。その後、動物園での飼育が始まっても所有権は国が持ち続けることになる。
野毛山動物園の保護個体の中で、最も新入りのモエギハコガメはこのパターンで野毛山へやって来た。

一方、税関をすり抜け、国内に持ち込まれてしまった場合は日本の法律が根拠になる。
国内外の希少な野生生物を保護するための「種の保存法(正式名称は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」や「文化財保護法」がそれだ。

文化財保護法に抵触するのは、国際取引ではなく国内の天然記念物に指定された動物の捕獲ややり取りなどが行われた場合。
野毛山動物園で飼育されているカメで言うと、リュウキュウヤマガメがこれに該当する。
 


2014(平成26)年11月、沖縄県外では初となる繁殖に成功したリュウキュウヤマガメ


国内法で保護された動物は、警察の証拠品という扱い。
警察から任意の動物園に保護飼育の打診がなされ、手続きが終わると所有権ごと動物園に移ることになっている。

野毛山動物園のカメの場合、近年では警視庁から保護を依頼されることが多かったそうだ。
警視庁による摘発件数が多いというのもあるが、都内にある上野動物園や多摩動物公園を差し置いて野毛山にやってくるのは、2003(平成15)年に起きた事件がきっかけになったという。

「実は、2003年に野毛山動物園からホウシャガメが盗まれたことがあったんです」と、当時爬虫類を担当し始めたばかりだったという桐生さんは話す。
そのカメ泥棒を逮捕してホウシャガメを取り戻してくれたのが警視庁で「そこで縁ができました」とのこと。
 


ホウシャガメの甲羅には、その名の通り放射状の模様がある


それに加え、桐生さんはホウシャガメやインドセタカガメを国内で初めて繁殖させるなど、数々の実績を持つカメ飼育のエキスパートでもある。
カメの飼育を安心して任せられる飼育員さんの存在も、野毛山動物園が頼られる理由であることは間違いない。