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横須賀市内に「限界集落」があるって本当?

ココがキニナル!

横須賀には200段の階段を登ったところに住宅が多数あり、限界集落になっているようです。限界集落の状況や、住んでいる人の暮らし?宅配便は届くか?また「空き家バンク」の現状を調査願います。(まさしさん)

はまれぽ調査結果!

車が入れず階段でしか行けない、交通の不便な谷戸の家を中心に空き家が増えている。横須賀市では空き家を減らす対策を行っていて変化が生まれている

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ライター:小方 サダオ

横須賀市内の空き家問題の現状とは?



横須賀市に空き家が増え、限界集落(過疎化などで存続が難しくなる集落)が生まれているという・・・。
地方の山村地域なら分かるが、昔から軍港として栄えてきた都市、横須賀市においては信じがたい。

横須賀市の人口に関して、ホームページによると「2010(平成22)年10月1日現在の横須賀市の人口は、41万8325人で、神奈川県では4番目となっている」という。
 


米軍横須賀基地


しかし人口減という問題は起きているようで「2014(平成26)年1月に発表された総務省の『住民基本台帳人口移動報告』で、本市の2013(平成25)年の社会減(他地域への転出により人口が減少すること)は、全国の市町村で最も多いという事実がわかった。また高齢化が進展していて、65歳以上人口の割合は25.2%、全国では23.0%となっている」とある。
 


横須賀で有名な「どぶ板通り」


さらにホームページによると労働力も低下しているとのデータもあり、人口減と関係しているのかもしれない。

これらの問題が原因で空き家が増えているのだろうか?

空き家問題の解決のために市が住民にアンケートを行ったところ、問題点が見えてきた。
 


横須賀市は空き家に関するさまざまな調査を行った


市アンケートによると、横須賀市汐入5丁目では、65歳以上の高齢者がいる世帯が6割を占める。居住の理由としては、自然環境が豊か、駅や中心市街地に近い、物件の価格が手ごろというものだという。

 

汐入5丁目エリア(GoogleMapより)
 

空き家全体の80%は階段のあるエリアに存在し、谷戸地域全体の空き家率は7.9%。建物への車の横付けが不可という物件は45.7%で、そのような家屋は空き家率が高いようだ。

その結果を元に、2014(平成26)年に市が谷戸地域住環境対策事業を実施。まずは、2012(平成24)年に同じ事業の一環として学生居住支援事業を始めた。

市のホームページによると「学生が谷戸の空き家にルームシェアの形態で居住し、周辺高齢者の買い物代行などのサポートをすることにより、空き家の解消および、高齢者の生活環境の改善を図る」というものだ。

次に、谷戸地域の活性化を図る「谷戸空き家バンク」の計画が立ち上がった。
「車が入れる場所から概ね階段40段以上の地域を対象地域とする。現在はテスト的に、汐入駅と逸見駅から半径500メートル以内の町内を、モデル地区として実施する」
 


谷戸モデル地区図


「実施内容に関しては、空き家バンク(空き家・空き地の紹介コーナー)では、空き家の利用希望者と所有者の連絡は取るが、仲介は行わない。所有者は、登録すると谷戸の空き家バンクに登録され、物件については、リフォーム助成を利用できる」とある。

これらの谷戸地域住環境対策事業の実施されている状況と谷戸の現状を確認するために、横須賀市都市部都市計画課に連絡をすると、課長補佐の島憲之(しま・のりゆき)さんが取材に応じてくれるという。


世界の最新金融ニュースを伝えている米・大手総合情報サービス「ブルームバーグ」からも取材依頼があったとのことで、その取材班に同行する形となった。



取材日、当日



当日、京浜急行・汐入駅前で待ち合わせをした。

 


汐入駅入り口


一行は、谷戸地域住環境対策事業として立ち上げた制度「空き家バンク」のモデル地区内で、汐入5丁目にあり最も空き家率が高い、汐入2区に4人で向かうことにした。
 


京浜急行・汐入駅から「空き家バンク」のモデル地区・汐入2区(青矢印)に向かう


そこでは、学生居住支援事業のプロジェクトに参加している大学生から話を伺えることになっている。
 


汐入駅前の大通り
 

大通りを右折する


汐入駅前の大通りを南下し、しばらくして右折すると、そこは静かな住宅街になっている。
 


静かな住宅街が広がっている


歩きながら、島さんが今回の取材地について説明をしてくれた。
「横須賀軍港は、1865(慶応元)年に開設された、150年の歴史を持つ軍港です。このあたりはリアス式海岸のように谷が入り組む谷戸(やと)で、軍港で働く従業員などが住んでいました。その後、日産追浜工場など、工場の従業員も住みました」

「市は空き家問題の対策として、2008(平成20)年から2011(平成23)年に、空き家の所有者にアンケートを取るなど、調査をしました。すると市内でも谷戸に空き家が多く、特に階段が要因であることが分かりました」と答えてくれた。

 

奥に進むと山が姿を現した
 

また市内の空き家の状況と、さまざまなメディアで、最近この問題に関して「横須賀に限界集落がある」として取り上げられていることに関しては「2011(平成23)年の谷戸地域空き家等実態調査報告書では、全国の空き家率は13.1%になり、谷戸地域全体の空き家率7.9%のほうが低い数値です」

「学生居住支援事業のほうは、2012(平成24)年から毎年学生に入っていただいていますが、空き家バンクの成約数は、2014(平成26)年度の売買1件、賃貸4件のみです」と答えてくれた。

「高齢化率が50%を超えるという『限界集落』の定義に当てはまる場所は、首都圏でも312ヶ所あります。市内の谷戸地域は、一番高い地域でも33%程度で決して高くありません」と強調した。
 


京浜急行線の踏切を越える


私たちは谷戸に向かって進んでいると、京急線の踏切を越えたあたりで、年配の女性が階段を上ろうとしている場面に遭遇した。
 


年配の女性に声をかけるブルームバーグの記者


すると女性記者が声をかけて、カメラマンが階段を上る様子の撮影を始めた。
 


階段を上る様子を撮影させてもらった
 

特殊な器械を用いてプロパンガスを運んでいる


その階段を上りしばらく歩いた場所にある、彼女の自宅前で、私たちは話を伺った。
「私は安倍といい、88才になります。ここに住んで約50年です。私は目が不自由なため、階段では特に気を使うのです」と答えてくれた。

目の不自由な高齢者には長い階段は大変そうだ。

ここで谷戸の山道の特徴について確認してみた。ふもとからの道には、手すりのついた階段とその隣にスロープがある。スロープを使えば二輪利用者は楽に山の中腹までいけるといえる。
 


スロープを使えば二輪で山に入れる
 

山の中腹の道は比較的幅が広い


しかし中腹の道より上にも住宅があり、そこへは階段しかない場合が多い。このような山の上から、空き家が増えているのかもしれない。
 


中腹の道より上には階段の道しかない場合が多い


私たちは再びふもとの道路に戻り、目的地へと進むことにした。
 


緊急車両や公共のための車両しか入れない防災トンネル


しばらく歩くと、汐入2区に到着し、猛暑の中、階段を上り始めた。
 


山の頂上付近へと向かう一行
 

枝分かれする階段
 

スロープがあるが、先ほどのものより幅が狭い


しばらくして山の中腹に着いた。
 


山腹にあるゴミの収集場所


中腹の道を進み、今度は先ほどよりさらに幅の狭い階段を上る。
 


幅の狭い階段
 

階段の後は坂道を上る


ふもとから合計約250段の階段を上りきると、山の頂上付近には、住宅地が広がっていた。