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川崎にSFの巨大な未来都市? 白亜の近未来的高層団地「河原町団地」とは?

ココがキニナル!

川崎にある河原町団地の昭和のSFの巨大な未来都市のような景観がスゴイと思うのですが文化遺産などにならないのでしょうか?圧倒的な存在感が溢れていてこの空間を作ったコンセプトは貴重(タロー先生のキニナル)

はまれぽ調査結果!

1960年代後半に建設、1972年に入居開始した河原町団地は比較的新しい建築物であり、耐震基準も満たしていて遺産になるのはまだ遠い未来の話

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ライター:永田 ミナミ

そこはまさに未来都市



「昭和のSFの巨大な未来都市のような景観」とは何とそそる表現だろう。とりわけ「昭和の」という形容詞は「人類の進歩と調和」的な迷いのない未来志向を感じさせる。実際、河原町団地は団地ファンの間では名団地として知られているようなので期待に胸を膨らませ、よく晴れた夏の午後、JR川崎駅に降り立った。
 


西口からバスで向かう方法もあるが、今回はラゾーナ川崎のにぎわいを抜け
 

こんな感じで向かった。もちろん徒歩で行くルートは道の数だけ存在する
 

およそ1.5km、20分ほど歩くと巨大な建物が見えてきた
 

素晴らしい。目の前に現れたのはスキップフロア構造を採用した高層住棟である
  

ちなみにスキップフロアとはエレベーター停止階を1階、4階、7階などとして、それぞれの上下階は1フロアだけ階段で上り下りする構造であり、共用通路の資材や工費削減などの理由から1960~70年代にしばしば採用された。通路があるフロアとないフロアとの凹凸差が外観に生み出す独特なリズムに個人的に大いに趣を感じるが、バリアフリーの考え方とは逆行するので、現在は見られなくなったのは必然の構造である。
 
さて、河原町団地には何種類かの形状の住棟があるのだが、そのなかでも象徴的なものがこれである。
 


「未来都市」という言葉がぴったりな逆Y型住棟
 

逆Y型、直方体、逆Y型という3連結住棟は圧巻である
 

しかもその3連結住棟に平行して建つ3連結住棟は直方体、逆Y型、直方体という
 

まるで巨大なパズルのような心にくい配置である
 

さまざまなかたちの住棟が重なりあった光景はもはや万華鏡といったところか
  

住棟の配置もリズミカルなら、逆Y型によって現れる階段型の住居やベランダの凹凸もリズミカルである。太陽を浴びることによって鮮明に浮かび上がる陰影のコントラストが、幾何学模様の重層的なリズムをよりいっそう強調して視覚に心地よい。同時に、この建物をつくった建築家の明確な意図の存在も感じられる。
 


そして逆Y型の内部にはこのような空間が内包されている
 

いったいどのようなことを考えてこの団地は設計されたのか。というわけで、ここで河原町団地を設計した大谷幸夫(おおたに・さちお)氏と、河原町団地設計時について書かれた資料に目を向けてみることに。