下水が流出した鎌倉市の海水浴場はどうなった?
ココがキニナル!
鎌倉市で下水管が破損、暫定処置として汚水を稲村ヶ崎の海に放流しているそう。いつ復旧?生しらす好きとしては気になる。サーファーにもインタビューを/下水垂れ流しはどうなった?(たこさん/ネオほっけさん)
はまれぽ調査結果!
仮設送水管の設置で下水の海への放流は5月27日に止まり、その後の調査結果が良好であったため、6月6日の市長定例記者会見で海水浴場の開設を発表
ライター:福原 麻実
2016(平成28)年4月14日、鎌倉市稲村ガ崎の崖が一部、崩落した。同月22日に下水の圧送管(あっそうかん:ポンプの圧力で処理場に下水を送る管)の破損が見つかった。送水の復旧までの間、やむを得ず下水に消毒剤を入れた上で海に放流していたが5月27日にすべての仮設管設置が完了。今はその送水管が設置されている状態ということだ。
なぜ、復旧までに1ヶ月もかかってしまったのか?
海水浴や周辺の海産物への影響は? 今後の対策は?
現在の現地の様子はどうなっているのだろうか、早速調査へ。
まずは、現場である稲村ガ崎へ
江ノ電稲村ヶ崎駅から海岸へ
国道134号線に出ると、稲村ガ崎公園前の信号付近から歩道の工事が行われている。
交通整理の警備員の方に聞いてみると、4月に起きた崩落の復旧工事が続いているとのこと。
「歩道通行止」の赤看板。まだ工事中で、海側の歩道は通れない
工事を横目に由比ガ浜方面に向かって国道134号線を歩くと・・・
写真左、歩道と車道の境目に防護壁らしきものが設置されている
ここが崩落現場のようだ
フェンスでふさがっている歩道が続く
由比ガ浜側の立入禁止地点。「汚水の仮設送水管を設置中です」との看板が見える
赤丸が崩落現場、道路に沿った青いラインが工事中の区間
450メートル超という長い区間で工事が続く。
消毒処理をした下水の放流現場、「鎌倉海沿い駐車場」も確認。
海は、テトラポットがあって潮流がないからか、やや濁っているようにも見えるが・・・
釣りをしている人がいるくらい穏やかだ
穏やかさを取り戻しているように見える海。本復旧に向けた工事は続いているものの、崩落や下水の流出はもう、過去の出来事になりつつあるのだろうか。
周辺に住む人々は、この崖の崩落に関する一連の出来事をどう考えているのだろうか? 実際の影響はどれくらいのものだったのだろう。現地で聞き込みを行った。
サーファーや住民に聞き込み
崩落現場近く国道134号線沿いの飲食店や、稲村ヶ崎海水浴場を散歩していた周辺住民に聞き込みを行ったが、返ってきた回答に驚いた。
「しばらくしてからお客さんから聞いた」「広報に出てから知った」など、共通していた言葉は「当初は知らなかった」だったのだ。また、市からの節水依頼などもあったとネットに情報があったので、生活への影響がなかったかと伺ったが、こちらの問いに対しても「特に影響はなかった」とのこと。
しかし、疑問が残る。下水の流出という大きな事故を、市は住民にすぐに知らせなかったのだろうか? だとすれば、周知の方法と、それに時間がかかった理由は?
聞き込みの際に「由比ガ浜のサーファーの人たちのほうがご存じかも」と教えてもらい、今度は由比ガ浜周辺に移動。
この景色を3時間くらい眺めていたい気分になったが・・・
投稿にもあった「サーファーにインタビュー」を果たすためにここに来たので、海を眺めるのは別の機会にしておく。
最初にこの投稿を見たときは「なぜサーファー? 漁業関係者じゃなく?」と思っていたが、漁業関係者とは違い、崩落が起きた4月に身ひとつで海に入っている方たちがサーファーなのだ・・・。
ウィンドサーフィンを楽しんでいた方に話を聞いた
「4月下旬に崩落現場付近で異臭を感じた。さらに、南風が吹いたGW時期には崩落した土の影響かもしれないがこのあたりで海水に濁りが見られた」という。
この一帯は南風が吹いたときに現場よりも「下流」となる。それゆえに稲村ガ崎周辺よりも、海の異変を感じられたようだ。
ほかのサーファーにもお話をうかがったが、お腹の調子が悪くなってしまった人が複数、肌への刺激を感じた人もおり、流出した下水と消毒剤の影響を心配する声もあったそうだ。
水質調査の詳細と塩素の影響は?(写真はフリー素材)
ほかにも、「事故からかなり経ってから小さな看板がされるなど、周知が遅かったのでは?」という声や、「丈夫そうな下水管がどう壊れたのか」という疑問の声があった。
由比ガ浜海水浴場近くの鎌倉・湘南のシラスの直売店でもお話を伺った。ご主人によると下水流出の影響を避けて、漁業関係者らによる独自の水質調査で安全と判断された場所に、漁場を変えたという。売上は変わったかという質問に対しては、一時期風評被害による客足の減少に悩まされたと教えてくださった。
生で食べるシラス。お客さんも特に不安になるのだろう(写真はフリー素材)
サーファーや住民の方々などにさまざまな話を伺い、真相を確かめるべく今度は鎌倉市へ。