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下水が流出した鎌倉市の海水浴場はどうなった?

ココがキニナル!

鎌倉市で下水管が破損、暫定処置として汚水を稲村ヶ崎の海に放流しているそう。いつ復旧?生しらす好きとしては気になる。サーファーにもインタビューを/下水垂れ流しはどうなった?(たこさん/ネオほっけさん)

はまれぽ調査結果!

仮設送水管の設置で下水の海への放流は5月27日に止まり、その後の調査結果が良好であったため、6月6日の市長定例記者会見で海水浴場の開設を発表

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ライター:福原 麻実

いざ、鎌倉市役所へ!

 

古都・鎌倉市も市役所の建物は普通なんだな・・・という感想


「4階」のフォントが若干和テイストなのがキニナル


お話を聞かせてくださったのは鎌倉市都市整備部の関淳一(せき・じゅんいち)次長と都市整備総務課の田邊幹浩(たなべ・もとひろ)担当係長。
 


たくさんの資料を広げ、丁寧に教えてくださった


まず崩落からの出来事と処置内容を一通りうかがった。

稲村ガ崎で崖の崩落が起きたのは、熊本地震が起こった2016(平成28)年4月14日。国道134号線の歩道が大きく陥没した。
 


崩落した崖の姿。まだ崩れそうに見える(鎌倉市提供)


当時の歩道の様子。怪我人がなくてよかった(鎌倉市提供)


崖の崩落は、道路以外にも被害をもたらした。この場所に埋まっていた圧送管の破損である。これについて「ちょうど圧送管のつなぎ目部分で強度が弱かった。さらに、圧送管の下の地盤が崩れ、支えていた土が落ちてなくなり、つなぎ目に圧送管自体の重さがかかってしまったため壊れてしまったのでは」と市は推測している。


崩落により、継手部分に過剰な力がかかって破損したようだ


その結果、処理場に送られるはずの下水が流出してしまった。大腸菌などの菌が多量に含まれた水をそのまま流すわけにはいかず、送水が復旧できるようになるまで、下水に消毒剤の塩素を混ぜて海に放流していたのだ。
5月27日に送水が復旧し、流出は止まっている。

箇条書きにするとこうなる。
 


あれ? 失礼ながら、思ったよりもいろいろやっている


4月22日に下水の流出が発覚、最初の水質調査は24日


わずか2日後に水質調査を開始。これは週末であることを考えれば迅速と言えるのではないだろうか。

逆に、時間がかかっているように思えるのはこの2つだ。
・崩落から圧送管破損・下水漏れの発覚まで
・流出が止まるまでに要した1ヶ月強

まず、圧送管は4月14日の崩落時には、まだ破損していなかったことが確認されているという。ではいつ破損したかというと、これが不明なのだ。4月14日には壊れていなかった、4月22日に破損が発覚した。これがこの件について分かっているすべてである。

地下120cmもの深さで敷設されていて見えにくいとはいえ、この圧送管の破損時期が特定できないのはあまりにも残念だ。

流出が分かってから、市はまず圧送管の代わりとなる仮設送水管の敷設を急いだ。今回、破損してしまった圧送管の内径は800mm。この代用として用意されたのが「最速で手に入る」内径250mmの塩ビ管2条。これで少しでも下水の流出量を減らそうとしたのだという。この結果、圧送管の高低差で流れがスムーズにいかないという要因はあったが海への放流が50%ほどに軽減された。

その後、市は内径350mmの塩ビ管2本をさらに手配した。
 


右側2本があとで敷設された仮設送水管


だが残念ながら、この時点で連休に入ってしまい、それが作業の遅れを招いた。仮設送水管の入手の難しさ、連休に入ったこと、そして工事の安全確保の困難さ。これらが送水復旧の妨げとなった。



水質について



4月24日から、ふん便性大腸菌群数を測る水質調査が5月31日まで荒天時を除き毎日行われた。調査地点は下水放流口(A地点)のほか、海水浴場の海域や沖合(B~L地点)、漁場(漁1~5)などの計12地点。なお、海水浴が可能とされる数値は1000cfu/100ml(cfu〈菌の数〉/ml〈検査に用いる液体の量〉)である。
 


水質調査地点はこの図の通り(鎌倉市提供)


潮の流れや風の向きにより日によって数値の変動はあるが、最初は290万cfu/100mlという非常に高い数値を出していたA地点を含め、すべての地点で日を追うごとに徐々に大腸菌群はその数を減らしていた。

しかし5月11日、何があったのかそれまで低い値で推移していたはずの滑川河口(L地点)で、3600cfu/100mlという基準値の3倍を超える値が出た。そのため5月15日の調査からは調査地点を材木座海岸周辺にも4ヶ所設定し、計16地点とした。

その後、日により多少上下しつつも徐々に数値は減っていき、仮設管設置完了翌日の5月28日にはA地点で24cfu/100ml、そのほかの地点でもこの数値を上回るところはなかった。

また、海水だけではなく、漁獲物にも調査が行われている。
鎌倉漁業協同組合から提供された生しらす(洗浄前・洗浄後)を含む5種の検体中の、一般生菌と大腸菌群、大腸菌の値を調べたのだ。調査は複数回行われたがいずれも株式会社食品微生物センターが定めた基準値を大きく下回った。


漁獲物の細菌調査結果(鎌倉市ホームページより)


5月27日の仮設管設置完了後は、水質、漁獲物、海底堆積物、ふん便性大腸菌群数や残留塩素についての検証を東京海洋大学に依頼。専門チームによる複数回の検証の結果「現時点で特に悪影響を及ぼし対応が必要な状況にはない」との所見を6月22日に得るなど、結果が良好であったことから、市は「周辺海域は安全」と6月29日に表明したのだ。

海水浴場開場期間中は念のため、ふん便性大腸菌群数の調査が継続される。



周知の遅れについて



では最後に残る、周知の手法とタイミングについての疑問である。
市としては以下のように対応を行った。
 


度重なる周知。市のwebサイトでの公表は下水流出が分かった翌日に行われている。市への問い合わせは、事故直後の4月中はメディアからのものが多かったが連休明けになると「海へ入っても大丈夫なのか」といった問い合わせが増えた。

 

鎌倉市webサイトですぐに公表されてはいたが・・・


言い換えれば、この件でより不安の声をあげたのは「住んでいる人」ではなく「(海に入るために)訪れる人」だったといえる。

webサイトやちょっとした看板、市民に配布される広報で知らせたところで、外から訪れる人には伝わらなかったのだろう。

その事実と、前述の5月11日の水質調査の結果を鑑みて、市は海に入ろうとする人からよく見えるようにより目立つ看板を設置し、駅では訪れた人にも広報を配布したという。
 


5月18日に配布された広報「てのりかまくら」


時間はかかったものの、ようやく下水の流出が止まり、今後は本復旧を進めていく鎌倉市。現在は地盤の安全性など調査を進めている段階で、本復旧の時期については未定だ。崖の崩落から本復旧完了までに、必要になるとして計上された予算は約12億円とのこと。
今後も市では工事の進捗などの情報を、順次発信していく。



取材を終えて



崖の崩落は天災で、それによるインフラの損壊についても誰にも非がないことだ。
しかし前例のない事態にいくつものタイミングの悪さが重なった結果とはいえ、圧送管の破損時期が特定できないなどの事実を考えると「不幸な事故」で済ませるのはやや抵抗がある。
水質調査開始時の放流口の大腸菌群数が290万cfu/100ml(繰り返すが基準値は1000cfu/100ml)という、理解しがたい値になってしまった原因は、どこにあるのだろう?
それでも、その後の処置については、仮設送水管の設置が一度で終わらなかったことを除けば、ほぼ最善を尽くしたように思える。

周知が小出しというか、やや後手になってしまった感があるが、これは鎌倉市という観光都市においては市民向けの周知だけでなく、同時に外への情報発信が必要だったという難しさにあるだろう。これについては、横浜なども同様の事態になれば直面する問題かもしれない。

もちろん何もない方が望ましいが、もし何かあったとき、今回のことが教訓として活かされることを願う。

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  • 今日、稲村ヶ崎の現場を通行しましたが、異臭が強烈でした。原因は何でしょう?

  • 合流式の公共下水道の余水吐き室やポンプ場では、計画汚水量の5倍以上に至る降雨があると、終末処理場の過負荷を防止するため、同量以上の下水を自然水域に放流します。 環境創造局で下水道台帳を閲覧すると、どこだかわかります。 大岡川や金沢ポンプ場 等がその例です。 台風 等の大雨のときは当たり前のようにそうなってます。 自然水域の自浄作用によりどうにかなっているのでしょう。

  • 詳細なレポートありがとうございます。情報開示が遅いとか連休に入ったから対応が遅れたとかなんだかなーの連続ですがとりあえず一安心ですね。今後は安心して生しらすを食べられます。

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