横浜市の公立学校に置かれたままの放射性廃棄物の行方は?
ココがキニナル!
福島第1原発事故で放射性物質に汚染された「指定廃棄物」が市立小中学校など17校に合計約3トン置かれたままになっているってどういうこと?何で置くんですか?(山下公園のカモメさん)
はまれぽ調査結果!
2012年に横浜市が「指定廃棄物」などは発生した場所で保管する方針を決めたため、公立学校で保管している。2016年度中に鶴見区の施設に移転予定
ライター:はまれぽ編集部
2016年度中に移転
横浜市は市内17の公立学校に保管している、東京電力福島第1原発事故による放射性物質を含んだ「指定廃棄物」を2016年度中に移転させることを決めた。
横浜市内で「指定廃棄物」を保管している学校
移転先は鶴見区の「北部汚泥資源化センター」で、作業は冬休みや春休みなど、学校の長期休暇を利用する。
新たな保管先になる「北部汚泥資源化センター」
「指定廃棄物」とは、国が定める放射性物質汚染対処特別措置法において、放射性セシウムの放射能濃度が1kgあたり8000ベクレルを超えるもので、17校で計約3トンある。基準値に満たない8000ベクレル未満の「雨水貯留槽汚泥」は市立43校で約10トン(指定廃棄物の17校、3トンを含む)が保管されている。
新たな保管場所である「北部汚泥資源化センター」では、工期短縮などの観点から既存施設の中にスペースを確保するとしている。
横浜市が示した新たな保管場所(横浜市ホームページより)
横浜市では東日本大震災が発生した翌年の2012(平成24)年11月に「放射線を含む除去物を移転させるのは住民の理解が得られない」などとして、廃棄物は発生した場所で保管する方針を決めた。そのため、現在保管されているものは、学校の敷地内で発生した廃棄物であり、ほかから持ち込んだものではない。
以降、「指定廃棄物」などは発生場所で保管することになっているが、学校施設で保管している自治体は全国で横浜市だけだという。
「発生場所で保管」が市の方針
「指定廃棄物」などの処理は「国が責任を持って行う」ことになっているが、現状では最終処分場のめどはたっていない。そのため、「北部汚泥資源化センター」で行うのはあくまで「保管」となる。
今回の移転の決定について、横浜市教育委員会事務局学校施設課は「子どもから離れた場所で保管することを優先した。できれば冬休み中に学校施設からセンターに移し、安全な保管を実現したい」とした。