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“街の宝”を守るため、50年の歴史に幕。横浜中華街「重慶飯店別館」で最後のおもてなし

“街の宝”を守るため、50年の歴史に幕。横浜中華街「重慶飯店別館」で最後のおもてなし

ココがキニナル!

中華街にある重慶飯店別館が7/31で閉店するそうです。老舗ですが平日のランチはお得だったので、よく利用しています。非常に残念です。閉店の経緯がキニナル!(よしあきさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

1、2階部分に重慶飯店が入居する「横浜中華学院」の校舎を建て替えるため閉館。お客さんから思い出のランチを募り最後のおもてなしを行っていた

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ライター:はまれぽ編集部

2018年7月31日、横浜中華街で半世紀に渡り愛された「重慶飯店別館」が閉店する。
 


1969(昭和44)年11月に開業

 
重慶飯店別館は、1959(昭和34)年8月に開業した本館に続き、中華街で営業を開始。ビジネスランチの提供や中華街初の神殿式結婚式場を併設するなど、革新的なアイデアと確かな味で今日まで愛され続けてきた。
とくにランチタイムは、近隣で働くサラリーマンやOL、地元の人々からも評判が良く長年通い続けるファンも少なくない。

そんな老舗店が、50年の節目を迎える前に閉館を決めた理由は何なのだろうか?
 
 
 

“街の宝”を守り育てるため閉館


 
重慶飯店別館の支配人、石川雅士(いしかわ・まさし)さんに閉館の経緯をうかがった。
 


石川支配人

 
「我々『重慶飯店別館』が入居する『横浜中華学院』の校舎を建て替えることが決まり、それに伴って閉館することとなりました。閉館後は建物を保育園の仮園舎として使用するため、大幅な工事は行わないと聞いております」と石川支配人。

横浜中華学院の担当者に確認したところ、「まだ詳細は決まっておりませんが、規定の採光を取り入れるための窓を付けることは予定しております。また、重慶飯店さんの調理場をそのまま活かして給食を作ることを想定しています」と答えてくれた。
 


関帝廟(かんていびょう)通り側が窓になる予定

 
現在店舗がある場所は、まだ今ほど学生が多くなかった横浜中華学院がテナントとして貸し出し、重慶飯店の創業者・李海天(り・かいてん)氏が学院の前身である横浜中華学校の教師だったという縁もあり、重慶飯店別館を開業するに至ったそうだ。

石川支配人は、「重慶飯店の李宏道(り・ひろみち)社長は、『次世代を担う子どもたちを育てる学校は“街の宝”』と仰っています。閉館に対して悲しい気持ちはもちろんありますが、ネガティブな閉館ではなく、未来を守り育てるための閉館だと感じております」と話す。
 


新校舎は2021年4月に運営開始予定

 
2018年10月10日には本館が新装オープンを控えている重慶飯店。リニューアルする本館には、別館で使用している調度品なども置く予定という。
 


重慶飯店のロゴも


入り口に飾られている獅子も本館へお引越し予定

 
歴史ある建物を改めて見て、ここが本当に閉館してしまうのかと信じられない気持ちになった。しかし、店内へ入ると閉館を感じさせる「声」が目に入る。
 


壁に貼られた白い紙には・・・


お客さんからの声が並んでいた


小さなお客さんからも感謝の声

 
石川支配人によると、「こちらは、閉館するにあたり、別館のスタッフ全員で“お客様に感謝の気持ちをお伝えしたい”と考えた企画のひとつです。『リクエストメニュー』と称し、思い出の一品、お好きなメニューなどを募集いたしました。最終的には600通以上の投稿をいただき、『こんなにたくさんの方々に愛していただいたんだね』と、集計をしながらスタッフ全員で喜んでおりました」という。
 


お客さんからの声をもとに、平日限定で週替わりの「リクエストランチ」を提供

 
人気のマーボ豆腐を始め、海鮮、牛肉、野菜、前菜、麺など、バラエティ豊かなメニューを取りそろえた。
 


皆さんはいったい何を注文しているのだろうか?

 
 
 

お客さんの声は?


 
重慶飯店別館に30年通っているという、近隣にお勤めの森下一幸(もりした・かずゆき)さんにお話をうかがった。
 


「ここは支配人が抜群ですね!」と森下さん(写真左)

 
リクエストランチについて聞いてみると、「今日は『牛肉ときしめんの麻辣炒め』を頼みました。今週は3日連続で来ていて、昨日は友人と8品全制覇しました。自分は『水煮牛肉』をリクエストしたんですけど、マニアックすぎたかもしれませんね」と笑う。

「7月中はできるだけ多く食べに来たいと思っています。閉館はとても寂しいですが、本館がオープンしたら行きます! 長いことありがとうございました」と話してくれた。
 


10年以上通っているという市内在住の女性は・・・

 
「実は私、中華街のお店を全部制覇したんです。その中からベスト5を決めて、ランチはその5店舗を順番に周っているような感じで。ここは週1~2回くらいの頻度で来ていたので、やっぱり寂しいですね。閉館のお知らせを聞いた日は、10年前に撮ったランチの写真を見て感傷に浸ってしまいました」と話してくれた。

また、本館の建て替えを機に別館へ来るようになったという近隣にお住まいのご夫婦は、「ここは料理のクオリティが高いから、ホームページでメニューをチェックして、週に1回くらいで食べに来ていたよ。本館でも同じ値段で出してくれたら嬉しいな」という声もあった。
 


入口ではリクエストランチを求める列が並ぶ

 
一人で来ている方も多く、気兼ねなくランチを楽しめる場所だったことがうかがえる。

せっかくなので筆者もリクエストランチをいただくことに。どれも美味しそうだったので、4点(各980円/税込み)も注文してしまった。
 


“別館の味”を食べられるのも残りわずか

 
味はもう、文句なしに美味しい。
マーボ豆腐は、ただ辛いだけじゃなく甘みもコクも感じるし、汁なしタンタン麺は口に入れた瞬間からピリピリと辛く、細麺の茹で加減がちょうど良い。

蒸し鶏は、とにかく柔らかくてジューシー。シャキシャキのネギ生姜ダレと相性抜群で、「これは、かなり手間をかけた味だ」と思わず口をついて出てしまうほど。
 


個人的に一番のダークホース、エビとイカの青唐辛子炒め

 
エビもイカもぷりっぷりで、青唐辛子のさっぱりとした辛さが後をひく。リクエストランチにぴったりのメニューだと思う。
 


店員さんオススメの〆方で最後まで美味しくいただきました

 
どの料理もご飯が進んでしょうがない。というかお米が美味しい!

「お米は茨城県産のコシヒカリを使っています。毎年新米の時期になると、いろいろな産地のお米を味見して仕入れているんですよ」と教えてくれたのは、別館料理長の木暮浩三(こぐれ・こうぞう)さん。以前、関東学院大学の学食を取材したときにお世話になった方だ。
 


笑顔がとってもチャーミングな木暮さん

 
木暮さんは、「重慶飯店へ長年通ってくださっているお客様は、味の変化にとても敏感なんです。私にとってお客様は“親”のような存在で、厳しい意見もいただきながら育てていただきました。なので、ランチは夜と同じ料理人が、同じ素材で同じ味を提供しています」と話す。
 


農家さんから直接仕入れている県内産野菜

 
「私が別館の料理長になってから5年経ちますが、お客様が飽きないようにメニューでたくさん遊ばせていただきました。閉館をお伝えしてから足を運んでくださるお客様が増えまして、皆様からの大きな愛を感じました」と木暮さん。

最後に、「皆様あっての重慶飯店です。別館を長らく愛してくださり、本当にありがとうございました。10月には本館もリニューアルしますので、変わらず重慶飯店を愛していただければと思います」とメッセージを残した。