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野毛山公園にある「野毛山配水池」が閉鎖されている理由とは?

ココがキニナル!

野毛山公園にある『野毛山配水池』伝統的で特徴のある構造に見えますが、入りたいのに門は閉鎖されているので無理です。何故一般公開しないのか? 中の様子はどうなっているの?(港署のゆうじさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

現行の耐震基準を満たしていないため、安全に配慮し旧野毛山配水池内には立ち入ることができない。敷地内は緑多く、朽ちゆく施設が残されている。

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ライター:細野 誠治

水の遺跡と、水の遺産


立ち入れないと言われると、入りたくなるのがライターの性だ。はまれぽ読者の皆さまにも見せて差し上げたい。
 
お願いすると特別に許可が降りた。さぁ行こう。

 

 

道路側ではなく園内に面した「裏門」から入る
 

しっかりと施錠された門を開けて中へ。

 

 

80年以上前のコンクリートの造作。オブジェ? も見える
 

階段を上ると、人の訪れない、緑の空間がぽっかりと現れた。何か不思議な感覚に見舞われる。

 

 

年に数回、木々の剪定をする程度
 

眼に飛び込んでくる二基のドーム型の建物。大きさは直径で4メートルほど。

 

このドームの真下に貯蔵プールがある
 

筆者が入った門から見て左手にあるのが「1号池」で「流入弁室」。向かって右側が「2号池」の「流出弁室」と呼ばれているものだ。

浄水場からやってきた水は「流入弁室」に入る。内部は渦を巻くような構造になっており、ここを通って一旦貯蔵される。取材時に発見された内部構造の分かる図を載せておく。

 

 

上から見た断面図と、真横からのもの
 

一旦、溜め置かれた水を市街に分配する。この時に開かれるのが「流出弁室」。

 

 

緑のトンネルの向こうにあった
 

朽ちかけた現在、扉は開くことができないそうだ
 

 

苔むす壁に、恐らくはエンブレムが飾られていたであろう正面入口
 

水は一日の時間帯によって使用量が違う。作った水をただ送っては無駄が出てしまう。だから配水池で一旦、貯蔵をする。使う量を調節するための大切なものなのだ。 

ハマっ子の水を見守ってきた双子のドームに、何となく親しみを感じてしまう。

ドーム内部に潜入・・・は扉の老朽化のため入ることができない。残念だが仕方がない。代わりに耐震検査時に撮影された写真があるのでご紹介。

 

 

内部が円形を描いていることが伺える(写真提供:西谷浄水場)
 

 

円柱が何本も入り支えていることが分かる(写真提供:西谷浄水場)
 

とても80年以上が経過したものとは思えないが、コンクリートは野ざらしや風雪に置かれるよりも、水に浸かっている方が劣化しないそうだ。

芝に覆われた地面の下、誰に知られるでもなく、巨大な空間が残されている。
歴史を感じて、畏敬と少しだけ心が躍る。身近で、知ってるつもりだった野毛山公園の見方が変わったよ。

 

地下に眠る、近代水道の歴史だ
 


取材を終えて



案内してくださった小田氏と小幡氏にお礼をして、現在使われている「新野毛山配水池」がある芝生広場を歩いてみた。

 

この下に、大量の水道水が貯蔵されているとは
 

小幡氏が言った。「この下には野毛や桜木町、みなとみらいへ供給する水が蓄えてあります。その水は、火災のときに火を消す消防用水としても使用されるんです」

 

野毛山から望む、給水エリア
 

そうなんだ!
肝心なものは、目に見えないんだ。見えないけれども、あるんだよ。
サン・テグジュペリの『星の王子様』みたいだ。

 

公園内で出会った水道。水が出るってすごいこと
 

今回のキニナル調査、蛇口を捻れば簡単に水が出てくることは、実は簡単なことではないのだということを改めて教えてもらえたような気がする。遥か80年前、恐らくは人力のみで作られたであろうものに出会って、畏敬の念を感じずにはいられなかった。

もし、野毛山公園を訪れた際には“双子のドーム”をぜひ見てほしい。そんな感想を持ったキニナルでした。
 
 
―終わり―
 

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  • 休日に親子で遊びに行く野毛山公園!いつも柵があって入ることができないあの場所と、公園から見える不思議なドーム状の何かがずっと気になっていました。野毛山公園に行った際には、土のやわらかい足裏の感触が好きで歩き回っている芝生広場の下には、大量の水があるとは思いもしませんでした。私の個人的な思いではありますが、ずっと変わらずにあり続けてほしいと願う大好きな場所です。興味深くて読みやすい記事を書いてくださり、ありがとうございました。

  • 予算の問題でなかなか難しいと思いますが、せめて見栄えを良くして外から見られる様にはできないのでしょうか?Kasaさんも指摘している競馬場跡もただの廃墟にしか見えません。根岸も野毛山も子連れで良く行く場所なので、少し気になります。とは言え、整備の予算などをどうすべきか良い案が私に有るわけでは無いのですが。。。比較的歴史の浅い横浜の成り立ちに深く関わっている場所なので、なんとか綺麗に残して貰いたいです。

  • 素晴らしい記事です。ここまで踏み込んで身近にある近代化遺産を紹介してくださりうれしく思います。横浜税関のクイーンの記事に匹敵するくらいGJです。

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