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南区の古城ような関東学院中学校旧本館、解体はいつ?

ココがキニナル!

今後も外観が残るのか、今現在内部はどうなっているのか調査して下さい。(asakoumeさん)/私の母校、関東学院中学校旧校舎には二階へ上がる階段の途中に無用ドアがあります。(とどろきさん)

はまれぽ調査結果!

横浜の歴史ある学校建築、モーガン設計の関東学院中学校旧本館は、安全性の問題から解体されることになった。ついでに謎のドアの秘密も解明!

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ライター:吉澤 由美子

外観とは一転、温かみのある室内

(つづき)

 

シルエットのきれいな親柱
 

2階ホールの照明は1階とはまた違ったデザイン
 

さらに上に登ると、3階には礼拝堂がある。

 

静謐(せいひつ)な空気の中、窓から黄金の光が降り注いでいた
 

礼拝堂に並ぶイスは創建当時からあり、戦後、横浜刑務所の受刑者によって作られたとか。これもかなり貴重な資料だ。

 

後ろの目立たない席にだけ、いたずら書きがあった。なんだかかわいい
 

和やかで自然に敬虔(けいけん)な気持ちへと促される聖壇
 

ここでは、聖書科の授業なども行われていたとのこと。

礼拝堂を出て、教室とは逆の方を見せていただく。

エントランスから見ると正面の奥にあたる場所には、化学実験室と化学準備室があった。別の階にも特別教室があり、このあたりはそうした教室が集まっている場所らしい。

 

冥王星が惑星から外れてからの新しい太陽系図が貼ってあった
 

化学実験室の先には別の階段がある。

 

1階から見上げた奥の階段。直線的なデザイン
 

と、ここで、1~2階の間に不思議なドアを発見。関東学院卒業生の方からいただいたキニナルにあったドアでは?

 

2階に近い踊場に、表につながるドアがある
 

このドア、確かどこにもつながっていなかったはず。そう思って表を確かめてみると・・・。

 

やっぱり。表はなにもない
 

中野さんに伺ったところ、このドアはもともと校舎の外にあった階段踊り場と繋がる橋の出入り口として使用されたものだったそう。高所作業車の進入のために撤去され、ドアが無用の長物(トマソン)になってしまったのだ。踊り場などが撤去された時期は不明だそう。

 

アルミサッシに変えられていない創建当時から唯一残る明り取り窓
 

全体に優しい色合いで、とても温かい雰囲気の校舎だった。



87年の歴史ある建物はなぜ解体されてしまうのか



関東学院中学校旧本館は、横浜を中心に数々の名建築を残した建築家、モーガンの設計によるもの。

 

1927(昭和2)年の高等学部校舎創建時(提供:関東学院)
 

関東学院には2006(平成18)年までモーガン設計の別の校舎もあった。

モーガンは横浜とゆかり深い建築家。山手聖公会、旧根岸競馬場一等馬見場、外人墓地正門のほか、山手111番館ベーリックホールもモーガンの設計。

関東学院中学校旧本館は、横浜市に残る唯一の学校建築だ。

 

創建時の写真。最初は塔以外の部分が2階建てだったことが分かる(提供:関東学院)
 

その歴史ある建物が解体されるに至った経緯を教えていただいた。

関東学院中学校旧本館は、2009(平成21)年まで使用していたが、別の校舎が完成したため閉鎖された。その後、東日本大震災時にも目立った損傷はなかったが、2年前に旧本館を改修保存するために詳細な耐震診断を行ったところ、建物の老朽化が著しく、一部倒壊の恐れがあると判明。

 

見たところ、どこもとてもきれいに保たれていた
 

横浜市や専門家などを交えた委員会で、既存建物を生かした耐震補強工事などの検討を行ってきたが、保存修復が非常に困難な状況であり、やむなく旧本館の全面解体を決定するに至ったそう。

ただし、旧本館の外観を、新築する校舎に復元する計画があり、横浜市認定歴史的建造物の認定も継続されるらしい。

 

横浜市認定歴史的建造物のプレート
 

2016年3月に解体工事が始まるが、解体後はしばらく運動場として利用。建築費が下がると予想されている2020年の東京オリンピック・パラリンピック後に、八角形の塔などの特徴を再現した新しい建物を作るそう。

新しい建物は教室ではなく、同窓会館や体育館などとして利用することになる。

解体にあたっては、ステンドグラスのように取り外せるもの、そして調度品などは保存し、再利用や展示も検討されている。

 

 

旧本館のステンドグラス(提供:関東学院)
 

2016(平成28)年の1月23日、24日には、この建物を惜しむ卒業生や市民など約700名が参加した「お別れ会」が開かれた。

中野さんは「年配の方で、横浜大空襲の時、クラスメイトと共にこの建物の地下室に逃げ込んで難を逃れた方のお話も伺いました」と感慨深げに「お別れ会」について教えてくれた。

 

地下につながる階段。下には食堂があったが、ここはすでに閉鎖されていた
 



取材を終えて



関東学院中学校旧本館は、装飾を抑えた設計だが、シンプルな中に威厳と親しみやすさが両立している、とても魅力的な建物だった。

そして、80年以上も、やんちゃ盛りの中学生の学び舎だったと思えないほどきれいに保たれていたことにも驚かされた。

 

エントランスホールに木漏れ日が射していた
 

安全性の問題から解体されることになったとはいえ、歴史あるデザインが新校舎に引き継がれるのを楽しみにしたい。

 

鬱蒼とした森に中世の城砦がそびえているよう
 


― 終わり ―
 
 

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  • 私の記憶によれば、謎のドアはこの本館と丘の上の校舎間を移動する(昼食事コベルホール利用など)時、昭和40年代中ごろ体育館の工事で建設関係の自動車が頻繁に出入りしていて危険予防のため路面を横断しないで済むように作ってあった仮設橋がつながっていました。

  • 弱者やいじめられっ子、問題児の裏口コネ入学が意外と多い。芸能人の子息とかも。

  • こうしてまた、歴史的建造物が横浜から消える・・・。そして後世、そのことを後悔する。歴史は繰り返す。

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