神奈川県内唯一の「義務教育学校」、緑区の霧が丘学園はどう違う?
ココがキニナル!
霧が丘小と霧が丘中学が中高一貫校から横浜市立義務教育学校に変わります。何が違う?同じ市立なのに他校とどんな差が生まれるの。不公平ではないの?(ちゃたろうさん)
はまれぽ調査結果!
義務教育を行う点では、ほかの市立学校と同じだが別々の学校が法律上も一つの学校になることで継ぎ目のない9年間の義務教育が可能になる
ライター:はまれぽ編集部
教師冥利に尽きる
では、現場ではどのような変化があったのだろうか。山下担当課長に紹介してもらい、「横浜市立義務教育学校 霧が丘学園」に向かった。
小学部にも
中学部にも「義務教育学校」の文字が
対応してくれたのは霧が丘学園の酒井徹(さかい・とおる)校長(写真中)、鎌田直樹(かまた・なおき)中学部副校長(同右)、豊沢尚弘(とよさわ・なおひろ)教諭の3人。
夏休み期間中にもかかわらず対応していただいた3人
酒井校長は「小中一貫校と根本的には同じだが、児童生徒の実態に即した学校経営がしやすくなった」と話す。
霧が丘学園では月に1回は定期的に、必要があれば毎日でも、小学部・中学部の教職員間で9年間の指導をしていくための情報交換を行っている。
「児童生徒指導部会」の様子(提供:霧が丘学園)
理科の授業で5年生から9年生(中学3年生)までレポートの書き方を統一しているほか、中学部の「美術」教諭が小学部「図工」を受け持ったり、中学部の英語教諭が小学部の「外国語活動」の授業をするなどしている。
高いレベルの勉強もできる(同)
また、年間で40日間、小学部が中学部と一緒に授業を受けることで、「自分がいま学んでいることが、将来どう生かされるのか」ということを間近に体験することもできる。
中学生が小学生のロールモデルとなる(同)
「義務教育学校」では9年間という長期にわたって児童生徒の学習指導に当たるなかで、前述のようにカリキュラムを柔軟に変更できる。
このため、5年生が6年生の勉強をしたり、つまずいた分野があれば7年生(中学1年生)が6年生の授業をする、といったことも可能になる。
小・中の垣根を超えた授業もメリット
同校では校内で学習状況を考察したうえで、授業の前倒し・後送りの適正な在り方を検討していく。
さらに継続した生活指導を行うことで、小学6年生が卒業後に友達や教師を含む人間関係や生活リズム、勉強の仕方の違いなどから新しい環境になじめない、いわゆる「中1ギャップ」の解消にも期待がかかる。
6年生から9年生(中学3年生)を対象にした道徳の授業も(同)
しかし、酒井校長は「『中1ギャップ』の解消を目的に教育活動をしているわけではない。『義務教育学校』は継ぎ目のない9年間の義務教育のなかで年少者と年長者をどう育てていくかということに向き合えるシステム」と話す。
児童生徒も9年間を通しての成長が目標
そのうえで酒井校長は「ほかにない学びの場で、どういうことができるかを絶えず考えている。こういう学校で子どもたちの育成に関われることは、教師冥利(みょうり)に尽きる」と話していて、現場もそれを実感しているという。
「『義務教育学校』にゴールはない」と酒井校長
「教職員も、『何か新しいものを作っている』というエネルギー感が出ている」と話す豊沢教諭に対し、酒井校長も「みんな学校の特性をどう生かして子どもを育てていくかに取り組んでくれている。先生たちが変わってくれているから、子どもたちも変わっていくと思う。彼・彼女らの将来に期待したい」と話してくれた。
中学部の校舎には小・中が交流した行事の活動報告や
小学生が描いた絵も掲示されている
取材を終えて
義務教育を行う点では表面上、今までの小中一貫校と大差はない。
しかし、実際に授業を受けている児童生徒には「義務教育学校」である「霧が丘学園」で学ぶことに誇りを感じているという。
取材中、小学部の音楽教諭がこの後に地元スーパーでの演奏会を行うという中学部の吹奏楽部を指導していた。演奏も素晴らしかったが、「私たちは全国で22校しかない『義務教育学校』である霧が丘学園の吹奏楽部です」と部活紹介をする部員。
この文言は教職員から指示やアドバイスを受けたものではなく、生徒自身が考えた言葉だと酒井校長は話してくれた。
まだまだ走り出したばかりの「義務教育学校」だが、ここで育った児童生徒の将来が楽しみだ。
夢ある未来でありますように
―終わり―
ちゃたろうさん
2016年08月04日 07時43分
調査ありがとうございました。しかしそうでない学校との不公平感、差があるのか?その辺りがわかりませんでした。始まったばかりなのでその辺はこれからの事なのかな。たまたま隣接した霧ヶ丘の小中学だからこそ成り立ってるだけで今後他の学校に広がる事はなさそうですね…
ポスポスさん
2016年08月03日 17時16分
この霧が丘の近隣、に住んでいるのでしょつちゅうこの学校の前を通ります。要は霧が丘全体子供の数が減ったからこういうことになっただけのことでしょう。なんだか・・・・・・・『よこはまいちばん』さんと同じ気がするのですが・・・・・・・。
マッサンさん
2016年08月03日 12時38分
教諭からすれば学校現場、学校の中だけが教育現場だとは思えませんね。学校の外にも教育の素材はいっぱいあるように思えますよ。「義務教育学校」とは?仰々(ぎょうぎょう)しい。いかにもお役人が命名したような温かみの無い、ある意味抑圧感のある命名。学校教育とは元来、拓(ひら)かれたものではなくてはならないのではと思ってましたけど、違和感を覚えます。学校とはなんだ?学歴ってなんだ?わたくしには何がなんだかわかりません。