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「新江ノ島水族館」はクラゲ展示のパイオニア!? 約100年ぶりに生存が確認されたクラゲの展示も併せて詳細レポート!

ココがキニナル!

新江ノ島水族館で6月1日から世界初となるヒョウガライトヒキクラゲの展示が始まりました。展示されるまでは長い道のりだったという話なので、詳しいことを知りたいです。調べて来て下さい!(bandaiさん)

はまれぽ調査結果!

約100年ぶりに生存が確認されたヒョウガライトヒキクラゲ。フィリピンから幼生を持ち帰り繁殖に成功! 新江ノ島水族館はクラゲ展示の元祖だった

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ライター:すがた もえ子

そもそもクラゲって何?



そもそもクラゲはいったいどんな生き物なのだろう? 魚や貝ではなさそうだ、ということはなんとなく分かるけど、何かと聞かれれば答えられない方が多いのではないか?

そこで新江ノ島水族館展示飼育部魚類チーム飼育担当の北田貢(きただ・みつぐ)さんに聞いてみると、「クラゲはプランクトンの仲間で、サンゴに近い生き物です」という答えが返ってきた。

 

クラゲもサンゴもプランクトンの一種
 

プランクトンといえばミジンコなどの小さい生き物を連想しがちだが、こんなに大きなものもいるのだ。
また、クラゲ自身もプランクトンだが、彼らが食べる餌も基本はプランクトンだ。新江ノ島水族館では「シーモンキー」の商品名で知られるアルテミア(ブライシュリンプ)というプランクトンをクラゲに餌としてあたえているそうだ。ほかには、小魚や別種のクラゲを餌として与えているクラゲもいるのだとか。



100年ぶりの再発見・ヒョウガライトヒキクラゲ

「クラゲファンタジーホール」に今回の取材の目的となる世界初展示のクラゲがいる。それが「ヒョウガライトヒキクラゲ」だ。

 

ヒョウのような斑点柄が名前の由来
 

ヒョウガライトヒキクラゲは1914(大正3)年にフィリピンで発見された記録が残っているが、それ以降は目撃報告がとだえていた。それが約100年ぶりとなる2013(平成25)年にフィリピン西部の河口域で生存が確認されたのだ。

2016(平成28)年9月、同じくフィリピンにて広島大学・北里大学・新江ノ島水族館・山形県の加茂水族館の合同チームでクラゲ調査が行われ、ヒョウガライトヒキクラゲの生息環境の把握と生体の採集が実施された。

 

フィリピンの海辺(イメージ)
 

現地では20cmほどの大きさの個体も確認できたそうだが、今回展示されているのは現地で受精させた受精卵をふ化させ、幼生(プラヌラ幼生)の状態で日本に持ち帰り、育てたものだ。

実はクラゲはとてもデリケートな生き物。輸送している間に形が崩れて溶けてしまうこともあるのだとか。
「本当は捕獲した個体を持ち帰りたかったんですけど」と話してくれたのは、フィリピンの合同チームにも参加した北田さん。

 

北田さん(左)と広報の山崎秀之(やまさき・ひでゆき)さん
 

捕獲場所から空港にたどり着くまでに5時間以上かかるうえ、生き物の輸出に伴う許可や検疫が必要になる。
またその後も、輸送中は荷物が封印され開けられない時間が長時間続くため水温管理などが非常に難しく、生きたまま持って帰ることは魚以上に難しいとのこと。

北田さんは「ヒョウガライトヒキクラゲを初めてみたのは写真でしたが、ビジュアルが衝撃的でしたね」と印象を語ってくれた。

 

野生個体の方がヒョウ柄模様が強く出ている
 

新江ノ島水族館のヒョウガライトヒキクラゲたちも綺麗なヒョウ柄模様が出始めてきている。はじめのころはヒョウ柄というより水玉模様のようだったそう。ヒョウ柄模様は体長1cmを越えたくらいから見られるそうで、「ちゃんと模様が出て一生懸命育てた甲斐がありました」と北田さんは感慨深げに話してくれた。



バックヤードにはヒョウガライトヒキクラゲの赤ちゃんも

 

新江ノ島水族館生まれのヒョウガライトヒキクラゲの赤ちゃん
 

フィリピンから幼生(プラヌラ幼生)のまま日本にやって来たヒョウガライトヒキクラゲは、新江ノ島水族館のバックヤードで繁殖が行われている。

クラゲはイソギンチャクのような姿をした「ポリプ」と呼ばれる時期があり、このポリプのときに子クラゲが生み出される。

 

クラゲの種類によってポリプの形もさまざま
 

1年中クラゲを展示するためにはこのポリプの飼育が欠かせない。
ここから「エフィラ幼生」と呼ばれる赤ちゃんになり、だんだんクラゲっぽい姿になってる。

 

この日生まれたばかりの赤ちゃんヒョウガライトヒキクラゲもいた
 

現在展示されているヒョウガライトヒキクラゲも、今後繁殖をしていきたいということだったが、現在の大きさではまだオス・メスを確認できない段階のようだ。
生殖巣は傘の内側のやや黄ばんでいるところにあり、それを見てオス・メスを判断する。同じポリプから産まれると性別が一緒なので、性別を確認してマッチングできれば繁殖に繋がるが、オス・メスをただ一緒に入れておけばいいというものでもないという。

 

どうやらクラゲにも恋愛事情があるようだ
 

ヒョウ柄がしっかり出てきた
 

「餌を与える回数や種類、水槽の形状などによってもクラゲの形は変化するので、野生個体とはだいぶ違う姿にはなっているかもしれないですね」と北田さん。

今後は新江ノ島水族館の中で、今以上に多種類のクラゲを繁殖させていきたいということだった。

ふわふわ漂う姿は見ていて飽きない




取材を終えて

ヒョウガライトヒキクラゲの世界初展示を成功させたことで、今後はその生態を共同研究者と共に論文にしていく段階だという。

今回は、論文発表前なので詳しい資料は公開できないという中でネタバレギリギリの取材に応じてくれた。

新江ノ島水族館は、日本で初めてクラゲの展示を成功させたクラゲ展示のパイオニアだった。
江の島観光の際には、世界的にもめずらしいヒョウガライトヒキクラゲを見に新江ノ島水族館に立ち寄ってみては。


―終わり―
 

取材協力
新江ノ島水族館
住所/藤沢市片瀬海岸2-19-1
TEL/0466-29-9960
http://www.enosui.com/
 

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