説明会に潜入!横浜市営地下鉄ブルーライン延伸計画はその後どうなってるの?
ココがキニナル!
横浜市営地下鉄ブルーラインのあざみ野駅~新百合ヶ丘駅延伸の計画、どうなっているのか気になります(ナチュラルマンさん/タイサンさん/神奈川の玉子さん/HIDANAGAさん)
はまれぽ調査結果!
地下鉄ブルーラインはあざみ野駅から新百合ヶ丘駅までに3つの駅を設置予定。3案のルートについて意見募集が2019年9月中に行われ、その上で2019年度中にルートを選定する。完成目標は2030年
ライター:若林健矢
途中駅と延伸ルートは3つのルートで検討中
予定されている延伸ルートでは、終点の新百合ヶ丘駅を含めて4つの駅が新設される。あざみ野駅側からまず、「嶮山(けんざん)」付近と、横浜市と川崎市の境にある「すすき野(すすきの)」付近に駅が設置されることが決定している 。
赤い線が横浜市と川崎市の境界線。その境目のすすき野付近まではルートが決定している
すすき野付近の新駅から川崎市だが、現時点ではここから3つのルートに分かれている。1つ目は、川崎市のスポーツ施設「ヨネッティー王禅寺(おうぜんじ)」付近に新駅を設置する東側ルート。
東側ルートの航空地図。白い丸で囲まれた範囲に住宅、文教施設、市民利用施設が集中
2つ目は白山(はくさん)地区を経由する西側ルート。
西側ルート。白山地区は住宅街になっており、延伸の効果は期待できる
そして3つ目は王禅寺公園(おうぜんじこうえん)付近に新駅を設置する中央ルートだ。
中央ルート。王禅寺公園周辺は住宅地となっていて、多くの利用客を見込んでいる
今後はこの3案のうち1つに絞られた上で事業が進められ、最終的には新百合ヶ丘駅南口付近まで路線が延伸されることとなる。
ルートごとの路線延長、概算事業費、輸送人員などは、下記の通り。3案中、中央ルートが最も短い6,0kmの延長で、東側ルートが最も長く6,5kmの延長となる。数値だけ見れば、中央ルートなら少ない事業費で最も多くの利用者を運べる見込みがある。
それぞれのルートの採算性は、この表にまとまっている(過去記事から)
いずれの場合も、事業費に対してそれ以上の効果と採算性が期待されており、損益欠損を25年から30年間、資金不足を33年から36年間かけて解消していく方針のようだ。
川崎市は「東側ルート」を有力説に
しかし川崎市は今回、ヨネッティー王禅寺付近を通る東側ルートを有力ルートとして推薦した。
ヨネッティー王禅寺付近を経由するルートが有力と川崎市は説明(過去記事より)
川崎市は、多くの人が利用できる環境が整っていること、既存の交通と連携を図り相乗効果を期待できること、まちづくりの効果を生かすために適切に駅が配置されることを重要視している。
その中で、東側ルートが経由するヨネッティー王禅寺付近へは、すでに多方面からバスでアクセスできる。それでいて東側ルートが既存のバス路線と競合しにくいため連携を図りやすく、3案の中で最も相乗効果が見込める、と説明された。
また、合わせてヨネッティー王禅寺付近に新駅を設置する場合のまちづくりイメージも紹介。もしこのルートで延伸が行われた場合、各方面のバス路線と連携して駅へのアクセスの良さを 高める。さらには駅前広場の整備や、周辺の施設を有効活用することで、より活気のある地域にしていくようだ。
東側ルートの場合においてのまちづくりイメージをスライドで紹介
今後の事業の流れは?
「じゃあルートは最初から1つでいいじゃないか」と思う人がいるかもしれないが、これからも多くの人に乗ってもらう公共交通機関である以上、両市としては市民の声が必要だ。
今後の流れとしては、まず2019(令和元)年9月中旬頃より、この3つのルート案を1つに絞るために意見募集が行われる。ここで市民から多数の意見を募った上で検討を重ね、2019年度中には延伸ルートが決定される予定。延伸の3つのルートについての要望は、横浜市が意見募集を開始した時に送ってみよう。
9月中旬より広く意見を募集した上で、2019年度中にルートを決定!
ルートが決定したら、以降は事業に着手するために国との協議、手続きを行い、全ての準備が整い次第事業に着手する。最終的な完成目標は2030(令和12)年。またルートの決定に合わせて、新駅を設置する地域のまちづくり方針も検討していくとのことだ。
参加者はどう思ったのか?質疑応答から探ってみよう
参加した皆さんはどう思っただろうか?
一通りの説明が終わった後に質疑応答の時間となり、たくさんの質問が寄せられた。その質問と答えをここで見ていきたい。
質疑応答では、非常に多くの意見が寄せられた
Q. 有力案の東側ルートが横浜市に近すぎる。川崎市よりも横浜市に波及効果が大きいと思うのだが?
「多くのお客様に乗ってもらいたい」というのが大前提。3案とも鉄道事業としては成立するので、横浜市としてはまず川崎市の意向を尊重するという考え方。また川崎市としては、北部地域全体への貢献ができるよう、ネットワークの充実に寄与していきたい」
Q. ヨネッティー王禅寺と王禅寺公園はそれほど離れていない。既存バスルートを若干変更してもらうということを各事業者にお願いできないか?
「この段階ですぐに変更してもらうということは、難しい」
Q. 新百合ヶ丘駅南口のまちづくりはどう進めて行くのか?
「現在検討段階。地下鉄が入ってくることでバスターミナルなどの状況も変わると思われる。ルートの検討と合わせて、まちづくりの方針も検討していきたい。計画上、小田急線を越えて北側に行くことはない」
Q. 地下鉄の利便性が上がれば、横浜市に流れてしまう人もいるかもしれない。川崎市としてはどう考えている?
「周辺のエリアから、多くの方に来ていただけるような魅力あるまちづくりに取り組んでいるところ。逆に、横浜市側から新百合ヶ丘へ、多くの人に来てもらえるのではないかという期待もしている」
Q. 具体的な延伸スケジュールとしてどのように進めて行くのか?
「環境の問題や都市計画、そして財源が確保できるかなど、国との協議が必要なため、着手の時期がいつ頃かは、まだ示せる状況ではない。できる限り早く固めて着手し、開業させていきたい」
Q. ヨネッティー王禅寺にはごみ焼却場があるため、駅としての環境が心配だ
「 環境面については、基本的には問題ない」
Q. リニア中央新幹線の工期が地下鉄と重複しているかと思いますが、対策はあるか?
「リニア中央新幹線は2027年開業予定となっていて、地下鉄のどの部分も工事期が重なる。 重ならないように調整し、なるべく迷惑をかけない形で事業を進めて行きたい」
この他にも多数の質問が寄せられた。質問した参加者は王禅寺や麻生区内の住民が多く、期待からの質問・不安からの質問といった差はあれども、それぞれが地下鉄の延伸に非常に高い関心を寄せていることが改めてうかがえた。
取材を終えて
横浜市営地下鉄ブルーラインが新百合ヶ丘駅まで延伸するまで、まだ長い時間がかかる。 しかし今回の説明会で今後の予定が明らかになってきた。この流れで滞りなく進んでいけば2030年頃には新百合ヶ丘駅まで延伸を果たし、川崎市北部と横浜市内の行き来が非常に便利になるに違いない。
新百合ヶ丘駅への延伸に向けて両市が少しずつ動き始めている。写真は湘南台駅にて
市民の意見を取り入れてのルート決定となるため、自分の意見を横浜市や川崎市に送ってみてはいかがだろう。多くの意見が、新駅の位置や、これからのまちづくりに活かされるチャンスだ。 もちろん私も、一人の鉄道ライターとして、またブルーラインユーザーとして今後の動向に注目していく。
―おわり―
さとしんさん
2019年08月30日 16時25分
延伸の計画より回送電車の衝突事故が重要ではないの・・・。