実際に献血を体験！・・・を指示！？

若林さんの自然体ながらも熱心な献血に対する想いを聞いて実に清々しい気持ちになった筆者。ここは、ひとつ献血を初体験すべき？　と思ったのだが、やはりまだちょっとだけ不安。

でも・・・そうだ大丈夫。私には頼れる担当編集者・松山氏がいるじゃないか！　荒んだ生活を送りながらも、地獄のはまれぽ編集部でしぶとく生き長らえる彼なら、きっと血液の1リットルや2リットルどうってことないはず！
　
「よし、いっておいで」と背中を押すと「いや、ボク・・・針はちょっと・・・」としどろもどろの松山氏。まったくドMキャラのくせに往生際の悪い。
　

顔面蒼白のまま渋々申し込みに向かった松山氏

実は松山氏、「はたちの献血」をしていたようで、登録データから今回13年ぶりの献血であることが判明。こうしたデータ管理も献血者の健康を守り安全性の高い血液を供給するための安心のシステムである。
　

希望すれば後日検査結果の通知も送ってくれる
　

まずはタッチパネルで23の質問事項に回答

当日の体調から、過去の海外滞在歴、薬を服用しているかなど、タッチパネルを使って回答すると、すぐに問診票ができあがる。もちろんプライバシーは厳守。いくら筆者がお願いしても「松山氏が育毛薬を使っているか否か」は教えてもらえない。
　

続いて医師による対面問診と血圧測定

先に作成された問診票をもとにさらに詳細に健康状態を確認。
しかし、ここで問題が発生。「最後の食事は何時？」の問いに、「昨日取材で17時ごろに食べたラーメンだったかな」と荒んだ生活を露呈する松山氏。

取材当日は午前10時前。その言葉に先生の眉がぴくりと反応・・・。お怒りはごもっともです。
　

空腹で献血なんてもってのほか！　とりあえず食事を

なんとか、問診をクリアしていよいよ「お注射ですよ、松山くん！」
　

まずは、事前検査のためにひと針。チクッとしますよ！
　

そしていよいよ本番。ひきつった笑顔で「はい、チーズ！」
　

かなり太い針が入りますが、彼の場合針を刺す前からこの表情です

針刺しの痛みを我慢すれば、あとは横になって時が過ぎるのを待つばかり。採血時間は全血献血で10〜15分、成分献血は採血量に応じて40分〜90分くらい。
今回松山氏は、献血ルームスタッフの勧めで400ml全血献血を実施。針刺しの痛みを乗り越えた彼は、ベッドの上ですっかりリラックスモード。
　

採血ベッドにはテレビも設置されている

採血後はすぐに立ち上がらずにベッドの上で、しばらく休憩。血圧測定、水分補給をして問題なければ終了。採血ベッドから恐る恐る立ち上がる松山氏はまるで・・・
　

生まれたての子鹿のような頼りない立ち上がり姿

とはいえ、「いや〜、意外になんてこともないですよ！」とあんなにビビっていたとは思えない爽やかな笑顔。どんなにアレな松山氏でも、健康でさえいれば人のためになることができる―。やりきったような表情でスポーツドリンクを飲み干す彼が、一瞬ちょっとだけ素敵に見えた。
　

ちなみに、松山氏がこの日もらった記念品は歯磨き粉でした

取材を終えて

人助けのための献血。しかし、歴史の中には民間商業血液銀行による売血問題や感染症問題など暗い部分もあり、今なお誤解される部分も多い。筆者自身、今回の依頼を受けるに当たり、数を競い合うことを賞賛するような記事を書くことに少し抵抗を覚えた。

横浜駅西口献血ルームの石田所長は言う。
「理由はどんなことでもいい。とにかく献血に来てほしい。献血ルームに足を運んで献血のことを正しく理解してほしい」と。

先にも挙げた通り、昨今若者の献血離れが著しく問題化されており、2000（平成12）年の16～19歳の献血率は10.2％だったのに対し、2009（平成21）年では6.0％まで低下している。

現状のままなら、必要献血延べ人数がピークを迎える2027年には約549万人の献血者が必要なのに対し、101万人分の献血者延べ人数が不足するというシミュレーションがなされた。

また、血液は長期保存ができないため、安定的に継続して献血を行う協力者の確保も重要な課題だ。
　

献血に協力してね！

献血への想いは、回数の大小で競うものではない。しかし、一方で一度きりでない継続した献血への想いを持つことも大事なのだ。

今回の調査でビビリ松山の潔い決断と行動にちょっとだけ感動した筆者。次は勇気をふるって献血に挑戦してみようと思う。

―終わり―