夕方になると無数の鳥たちが襲来する元・マイカル本牧周辺、鳥フン被害状況は?
ココがキニナル!
マイカル本牧周辺に、夕方になると無数の鳥が木々に襲来しすごいことになっています。車で信号待ちしているわずかな間に鳥のフンが3か所以上被弾。この鳥対策は検討されてるの?(リキさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
元マイカル本牧周辺をねぐらに集まる野鳥はムクドリ。某タクシー運転手は30分に5ヶ所被弾、フン害などが問題だが、中区は特に対策を行っていない
ライター:小方 サダオ
日本野鳥の会神奈川支部に話を伺う
この野鳥の群れに関して専門家に伺うことにした。
鳥の種類など詳しいことについて、当日撮影した写真を見ていただいた上で、日本野鳥の会神奈川支部・支部長の鈴木茂也さんに伺った。
横浜市西区にある日本野鳥の会神奈川支部
「これはムクドリです。以前マイカル本牧の街路樹に集団ねぐらを作っているとの話を聞いていますので、毎年のことと思います。ムクドリはヒナが巣立った6月ごろから幼鳥を中心に群を作り、集団で眠るようになります。そして8月ごろには群が最大になると思われます。
集団ねぐらは春先に解散し、分散してそれぞれ番(つがい)を形成して住宅地などで営巣(えいそう)します」とのこと。
『日本の野鳥』(山と溪谷社)
ムクドリ。全体的に黒く、くちばしと足は黄色い
街路樹をねぐらにすることについて伺うと、「ムクドリが街路樹を選ぶのは、外敵から襲われにくいためと思われますが、40年ほど前には郊外の農家の屋敷林などを利用することが多かったようです。また、さまざまな環境の変化や人が鳥を脅かさなくなったことなどがあります。ねぐらとして安定すると急に場所を変えることはありません」とのこと。
ムクドリの群れの様子
対策に関して伺うと、「街路樹を剪定しても近くに移動するだけで、良い対策はありません。考えられるのは、公園などにねぐらとして利用できる林を確保して誘致することですが、なかなか難しいと思います。それは夜でも明るくにぎやかな場所を好む傾向があるからで、そのような林には移動したがらないでしょう」
鳥関係の書籍で埋まった、日本野鳥の会神奈川支部内の本棚
「ムクドリは公園の芝生や農耕地、海岸などの地上を歩きながら虫を捕食します。果樹も好きで庭の柿が熟すと集団で飛来します。野鳥の世界では人間生活をうまく利用できる種類が繁栄する傾向が強くあります。
逆に言えば、利用できない種類が減少してしまうということです。人の生活の影響を少なくして、バランスのとれた生態系を維持できるようにコントロールする必要があります。ムクドリも人の生活を利用して増えてきた種類です」と答えてくれた。
人間が自分たちに危害を加えず、天敵からも身を守れると判断し、人間を利用している賢い鳥なのだ。動物が好きな人にとっては、そんな人なつっこいムクドリに親近感を覚える人もいるかもしれない。
行政はどのような対策をしているのだろうか?
それでは横浜市はこの問題にどのような対応をしているのだろう。環境創造局公園緑地部動物園課の畠山さんに伺うと「カラスの場合は巣の周辺の人を襲う場合があるので、巣の撤去費用の一部補助やヒナの緊急回収を行っています。
しかし街路樹に群れる野鳥によるフン害などの場合は、原則として対応をしていませんが、状況に応じて公の道路等の場合は、施設管理者と協力して対策を検討します。建物に侵入する場合は、所有者に防鳥ネットで対応してもらっています」と答えてくれた。
夏にムクドリがねぐらにしていた“正面の木”
枝が剪定された跡がある
また、中区中土木事務所に話を伺うと、
「この件の苦情は数件来ていますが、区ではムクドリ対策は特に行っていません。街路樹の剪定は3~5年に1回は行う決まりになっているので、中央分離帯の街路樹は長いこと定期的な剪定を行ったもので、ムクドリ対策ではありません」とのこと。
区が行った剪定は定期的なもので、ムクドリ対策ではなかった
全国的な問題となっているムクドリの群れ
インターネットなどで調べると、野鳥の大群は深刻な都市問題となっているようだ。
横浜市と中区では対策はしていないとのことだが、ほかの都市の自治体ではどのような対応をしているのだろうか? 何かこの問題を根本的に解決するヒントは得られないだろうか?
まずは茨城県つくば市、環境生活部環境保全課の印藤(いんどう)さんに話を伺った。
「こちらでは、特に常磐線沿線の駅前のタクシー運転手の方々からの苦情が多く出ました。そこで4~5年前にどこかの自治体からお借りした、ムクドリが警戒している時に出す声(忌避音)が収録されたCDを問題の木の下で流すようにしました」
ムクドリに対して忌避音は一時的なもののようだ
「するとしばらくは木に来なくなったのですが、慣れてしまったようで、また忌避音を気にせずその木に集まるようになりました。また忌避音は、車の通行の多い場所では効果がなく、音量が大きくないと効果はないので、『忌避音がうるさい』という苦情も来ました。
そのため街路樹を剪定してネットをかぶせると木には来なくなりましたが、駅周辺のビルや看板などに移ったようです。しかしビルなどは市の管理外なので、こちらでは何も対処はできません」と答えてくれた。
ムクドリ対策は自治体によって対処法が異なる
千葉県松戸市の対応は地元の町内会と連携を取った行動といえる。街づくり部みどりと花の課の高橋さんは、「毎年ですが、JR新松戸駅前のけやき通りに何千羽とムクドリが集まってきます。特に夏場は苦情が多いので、地元の町内会からの依頼で、忌避音や木の剪定で対処しています。
また町内会の方でも一斗缶の中でバクチクを鳴らすなど、共同で対処しています。その効果があったのか、年々ムクドリの数が減っているようです」とのこと。
東京都江戸川区の対応はほかとは異なる。土木保全課・水とみどりの課公園街路樹係の西野さんに伺った。
東京都江戸川区は「ムクドリとの共存」を市民に訴えている
「私たちの区では2005(平成17)年くらいから東京メトロ西葛西駅前においてムクドリの苦情が増え始めました。ほかの自治体の対応を調べたところ、保護法があり退治はできず、剪定などを行っても群れが分散するだけで、根本的な対処はないという結論に至りました。
そこで『都市鳥研究会』の越川さんのアドバイスも受け、自然には逆らえないとの思いで、駅前を「ムクドリとの共生の場」にする形にしました。また問題となる駅前には人は住んでいないので、駅使用者に対して理解をしていただくようにしています。市ではフンと落ちた羽の清掃をこまめにするようにしました」
「この対応が画期的だったようで、マスコミからの取材が来ました。しかし区民の方々からは賛否があり、理解をいただいている方もいれば対応をしてほしいとの苦情もあります」と答えてくれた。
ムクドリの群れは都会で身近に感じられる自然ともいえる
江戸川区の「自然との共存を宣言し、この姿勢を区民に理解をしてもらえるように周知に努める」という形。これは根本的な解決法がない以上は、自然保護の視点をも取り入れていると判断され、賢明な対応に思えるかもしれない。
しかし実際に苦情を訴えている人からは「理解をしてくれと訴えているだけで何の対応もしてくれない」と批判を受けることになり、不誠実な姿勢に思えるかもしれない。その意味では、千葉県松戸市の「例え一時的なものであったとしても対応する」という姿勢の方が、市民からの信頼を得られるとはいえないだろうか?
取材を終えて
ムクドリの対策に関しては根本的な解決方法はなく、どの自治体を悩ます問題のようだ。一般的な対策は剪定とネットになりそうだが、ほかの場所に移るだけで、移転先周辺にて再び問題となる可能性がある。
ほかの都市の場合は駅前が多く人が住む場所ではないが、本牧には周辺に店舗やマンションが多いため、商品にフン害があったり、鳴き声がうるさく寝られなかったり、大群で気味が悪い、と言う苦情もありうる。またタクシー運転手にも仕事上の問題点となる。
日本野鳥の会の鈴木さんの言葉をヒントにすると、苦情が少なさそうな、人のいる場所から適当に離れた場所に、人工的にムクドリの好みそうな明るい空間をつくり、そこに移転してもらえるように誘導することができれば、良い結果が得られるかもしれない。
元マイカル本牧のすぐ裏手には自然が多いため、そのような誘致場所へと誘う試みをしてはどうだろうか?
日本野鳥の会神奈川支部による野鳥の観察会
ところで、日本野鳥の会神奈川支部では、野鳥に興味をもってもらうために、公開の探鳥会(野鳥の観察会)を行っている、という。2015年1月は鶴見川で、2月は山下公園で行う、とのこと。興味のある方は参加してみてはいかがだろうか?
―終わり―
江戸川区のホームページ
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/gairoju/nisikasaimukudorin.html
ももたろんさん
2016年11月23日 10時02分
ムクドリの群れの動画、動画に終始入っているのは、ライター?ジッポの着火音でしょうか?なかなか火がつかないのか?、何度もトライしていますよね。あの音と、そのたびにやや揺れる画面のせいで集中して見ることができませんでした。残念です。
海苔巻き大臣さん
2014年12月15日 09時45分
コムクドリの雄だと思います!
latte_catさん
2014年12月14日 20時37分
えと、恐れ入りますが、前半で使われているフリー画像ですがどう見てもムクドリではありません。おそらくサンショウクイという神奈川では絶滅危惧種の珍鳥のように見えます。サンショウクイは春・秋に旅の途中で立ち寄る渡り鳥。