開店したらすぐ閉店? 戸塚の伝説のラーメン店「カミカゼ」に突撃!
ココがキニナル!
箱根駅伝でお馴染みの戸塚中継所に「カミカゼ」という伝説のラーメン屋が復活しています。調査してください!(戸塚たぬきち)
はまれぽ調査結果!
店主が開店させたラーメン店は、2016年オープンの「カミカゼ」で4店舗目。レトロな空間と絶品ラーメンを楽しむことができる。
ライター:黒澤 陽二郎
「幻の」とか「伝説の」とか、希少性を表す言葉ってちょっと嘘くさい気がするけれど、結局キニナってしまう。
開店と閉店を繰り返すと伝説になるということは、就職と退職を繰り返してきた筆者も〝伝説のサラリーマン“と呼ばれるのか。
それはたぶん違うので、伝説たる所以を聞きに一路戸塚へ。
お店の看板を「あッ!!」と発見
「戸塚駅」から車で国道1号線を10分ほど進むと、インパクトのある看板が見えてくる。
ラーメン店2軒とラーメン店を装う小屋が1軒
「あッ!!」の看板の小屋は「ら〜めん屋だ!!」と主張しているが、自動販売機が並んでいる。
いったい今まで何人がツッコミを入れたのかキニナるが、今回のお目当ては写真左のお店。
店前のベンチやのれんが昭和感を思い起こさせる
薬局でよく見る「サトちゃん」が入り口でお出迎え
インテリアはポップでカフェ風だが・・・
味のあるレトロなものもちらほら
店の雰囲気をあえて統一していないのか、さまざまな時代のものが混在している。お店の風貌だけで筆者は確信した。店主は絶対変わった人だと。
だって冷蔵庫にグローブが入ってるんだもん
すでに伝説感が醸し出ているように感じるが、話を聞いていけば自ずとその答えが出るはずだ。店主の大山(おおやま)きよしさんにお話を伺った。
まずは、開店と閉店を繰り返しているという歴史について
大山さんが今までにオープンさせたお店は、同店で4店舗目。前の3軒はすでに閉店しているとのこと。
詳しく聞くと、1店目は今と同じ「カミカゼ」という名前で2001(平成13)年に大山さんの地元である泉区中田西にオープン。もともと料理は得意だったそうだが、飲食店での経験はなし。
「自宅でラーメンを2、3回試作した程度でしたが、やっていけるって思ってラーメン店を始めちゃったんです」
やっぱり変わっている人でしたが、とんでもない行動力!
失敗するパターンかと思いきや、その自信のとおり、店は日々行列ができる人気店に。順風満帆の走り出しだったが、ご家族の体調不良などで、店をあまり開けられなくなっていった。
営業日数の減少。店を開けると長蛇の列。あまりの忙しさから、2004(平成16)年に閉店することを決めた。
苦渋の決断だった
「でもありがたいことに、またやってくれって声が後を絶たなくて。すぐに『またやるか!』という気持ちになりましたね」という大山さん。
ファンの後押しもあり、2005(平成17)年、藤沢市善行にカミカゼを復活させた。だが、その1年後に立地条件やコスト面を理由にまたも閉店。
その後は、ホームヘルパーや林業など、ラーメンとは関係のない道を進んだという。
波乱万丈のラーメン物語
しかし、8年経っても「またラーメン店をやってほしい」という声は消えなかった。
それに応える形で現在の場所のお隣(現まるもり製麺)で店名を「尋」に変え、ラーメン店を再開。こちらも人気店として、多くのお客さんがついていたが、とある理由で2016(平成28)年2月に再々閉店を余儀なくされる。
それでも、大山さんのラーメンを求め続ける人がいる。その思いを胸にその約半年後、改めてこの地に「カミカゼ」を復活させたのだ。
1店舗目の開店から15年の時を経て、再スタートを切った
常に人気店を作りながら、閉店をせざるを得なかった不遇なラーメン人生。それでも諦めずに大山さんは何度も立ち上がる。
伝説と言われる所以は、ファンの心と胃を掴むラーメンの腕と、大山さんの不屈の精神にあったのだ。
店の前は箱根駅伝の中継所でもある
苦しくても最後までタスキをつなぐランナーと、シンクロする部分もあるのかもしれない。
野球とアンティークをこよなく愛するラーメン店
話を聞いていくと、もの静かだがとことん熱い人柄ということが分かった。
好きなものは、とことん突き詰めてしまうという大山さん。ラーメンのことはもちろんだが、店の内外に飾られているアンティーク品集めにも熱を注いでいる。
通勤に使う自転車は、約40年前に発売された「ブリヂストン・ロードマン」
名刺に印刷されている愛車の「チェリー」。レストアも自分で行うという
アンティーク品の魅力に取り憑かれ、コレクションするように。さらに野球も好きで、先ほどからキニナっていた古いグローブは、自宅に100点以上あるそうだ。
野茂モデル。刺繍の色の話など、うんちくが止まらない
大洋ホエールズなど、昔の野球帽もたくさんあった
興味を持ったもの、好きなものに対しては徹底的に深堀りしていかないと、気がすまないようだ。
そうなると、やはり興味はラーメンの味に向く。絶対の自信を持つラーメンのことだ。とんでもないこだわりを持っているんだろう。
いよいよラーメンの実食!