横浜市庁舎の屋上にある不釣り合いな塔、移転したらどうなる?
ココがキニナル!
横浜市庁舎の屋上にある不釣り合いな塔。避雷針だと思っていたら、鐘なんだそうです。なぜこんな所にあり、そして市庁舎が移転したらどうなるのか気になります。(羽後人さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜の青少年健全育成を祈って建てられたシンボル「愛市の鐘」。具体的な計画はないが、市役所が移転しても何らかの形で市民のそばにあり続けるだろう
ライター:ムカイカツヲ
鳴らない鐘!?
横浜市こども青少年局の古いコンテンツに、キニナルで触れられている鐘らしき記事を発見。あの鐘は、「愛市(あいいち)の鐘」という名前だということが判明した。
(参考リンク/http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/ikusei/aishinokane.html)
愛市の鐘は、市民の声によって、横浜開港100周年の1959(昭和34)年に現市庁舎の完成と同時に設置されたもの。鐘のデザインは人間国宝の香取正彦氏。当時の新聞にも「チョンマゲ姿の日本人を驚かした黒船」が描かれた「ミナトヨコハマにふさわしい模様」(北日本新聞・昭和35年5月29日)等と取り上げられていた。
詳しいお話を伺うために横浜市役所をたずねた。
関内駅からもしっかり見えます
確かに市役所の屋上に大きな塔が見えるのが関内駅あたりからも確認できた。かなり大きい!
横浜市こども青少年局係長の飯田さんが当時の資料をそろえてお話しくださった
横浜開港100周年記念時に、横浜の青少年健全育成を祈念し、横浜を「愛」する「市」民のために市役所屋上に設置されたのが愛市の鐘だ。
愛市の鐘は「心のすみずみにまでにじんでいく“おおらかで芸術的な音”」を目指して鳴らすことを前提に作成された(産業経済新聞・昭和34年5月28日)。しかし、市民の声(願い)により市民のために設置したこの鐘は、運用開始直後に「音がうるさい」との市民の声(苦情)を受けてしまい、即座に運用を中止することとなる。完成当時の市役所周辺に高層建物が少なかったことも原因ではないか、とのこと。
結果的に愛市の鐘は、以来50年間一回も鳴ることがなかったそうだ。
マストに見えないこともない!
そして時は流れ、横浜開港150周年、2009(平成21)年を前にこの鐘を復活させようという動きが起こる。その結果、2006(平成18)年に鐘の修復が行われ、現在は一日4回(午前8時、正午、午後6時、午後8時)に鐘がつかれている。
実は、修復を契機に鐘自体をモニュメントとして山下公園へ移設して「展示」してはどうか? という案も検討されたそうだが、「鐘は鳴らすためのものだ」という意見が多く、市役所屋上のもとの位置に残すことになった。
今後、仮に市役所の移転があったとして、この鐘がどうなるのかについては現時点で白紙だそうだが、現庁舎の建物が取り壊されない限りこの鐘はこの場所に残るのではないかとのことだった。
そういえば、市庁舎を船に見立てた時マストに相当するのが、鐘が納められた鉄塔なのだそう。そう考えると船からマストが取り外されるのはちょっと悲しい。
通常は立入禁止です
このあと、実際に鐘を見せていただくために屋上へ。