5月15日に限定公開された「旧東伏見邦英伯爵別邸」って、どんな御殿?
ココがキニナル!
磯子区の「旧東伏見邦英伯爵別邸」が5月15日に限定公開されたそうですが、どんなところなんでしょうか?(YMGHさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
昭和天皇の義弟にあたる方の別邸です。外観は日本風の建築、中は凝った装飾の洋館でした!
ライター:河野 哲弥
磯子の地は横浜港を見下ろす高台にあり、古くから風光明媚な別荘地としての歴史がありました。
そんな土地に建つのが「旧東伏見邦英伯爵別邸」。しかしこのほど改装が決まり、改装前の外観や内装を見るのは5月15日の限定公開(1日限り)が最後の機会なのだそうです。
そこでさっそく現地へ飛んでみました。
当日は晴天に恵まれた、別名「貴賓館」外観
紆余曲折の歴史があった、横浜市の「認定歴史的建造物」
この建物は昭和12年、昭和天皇の義理の弟にあたる東伏見邦英伯爵の病気療養の為に、建てられたそうです。
しかしその後、昭和29年に西武グループがこの敷地一帯を買い取り、横浜プリンスホテル(横浜市磯子区磯子)が建てられました。以来この建物は、「貴賓館」というゲストハウスとして使われるようになり、平成5年には横浜市の歴史的建造物に認定されました。
正面玄関から望む、「横浜港」方面の様子
ところが平成18年6月に横浜プリンスホテルは閉館。
横浜市へ譲渡を打診しましたが、維持管理コストを理由に断られたそうです。
以後、磯子開発特定目的会社に売却し、マンション予定地として新館などの解体工事が進むものの、地元の反対に合い、昨年やっと今後の土地計画が決まったそうです。
そこで、これから本格的な工事がはじまり立入制限がなされる前に、地元の方を招待し親睦を深めようと、今回の無料開放イベントを行なうことになりました。
開館30分前から長蛇の列が
9時半の時点で約200人の列ができる
主催者側では、一日を通して数百人程度と思っていたそうですが、皆さん続々と詰めかけていました。
いったいどこからいらっしゃったのでしょうか。行列を待つ間に聞いてみました。
散歩中に看板で知ったという、地元のご夫婦
藤沢市と横須賀市からいらっしゃったご友人
お話を伺うと、愛着のある地元の方が前から訪れる機会を狙っていたというケースと、それ以外の方が新聞などで知り、「1日限定公開」という言葉に惹かれてやってきたというケースに分けられるようです。
面白かったのは、この「旧東伏見邦英伯爵別邸」のことを、今までずっと「ひばり御殿」だと信じていた方がいらっしゃったこと。確かにこの近くには、歌手であった「美空ひばり」さんの邸宅(現在はマンションとなっている)があったのですが、今回の報道ではじめて真相を知ったと、驚いていらっしゃいました。
外観は日本風の建築、内部は凝った装飾の洋館
吹き抜けの階段室ホールと、天井のシャンデリア
レストランにも使われていた洋間
地上3階・地下1階建てのこの建物は、アール・デコ調のインテリアで統一され、平成5年には横浜市認定歴史的建造物に認定されました。他、三島由紀夫の『春の雪』に登場する洞院宮家の別邸は、この「貴賓館」がモデルとされているそうです。
ワークショップ体験中の横浜市在住の親子
「ドングリマスコット」作りに挑戦
そんな建物内では、先行して区画整理をした時に移植された桜の木のうち、枯れかけていた樹木を使ったイベントが開催されていました。本来地元の方たちとの親睦が目的だったのですが、特に制限はなく、誰でも自由に参加しているようでした。
今後はレストランなどに利用していく予定
まだ「案」段階なのですが、今後は、外観はこのままの姿を留め、建物内の一部を改装してレストランなどに利用していく予定なのだとか。
文化の発信源だった港町横浜には、こうした歴史的建造物がたくさんあります。日本を元気にする再開発と、歴史を守る保存運動を有効に活用して、少しでも後世に残していきたいものですね。
―終わり―
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