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ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第18回は、旧横浜市街電話局。現在は博物館となっている落ち着いたたたずまいの建物には、細かな配慮や手のかかった丁寧な仕事がたくさん隠れていた。

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2011年11月13日

ライター:吉澤 由美子

本町通りには、歴史的な建造物が数多くある。大さん橋通との角に建つ『旧横浜市街電話局(横浜都市発展記念館・横浜ユーラシア文化館)』もそのひとつ。
 


落ち着いた色調とシンプルなデザインの旧横浜市街電話局


旧横浜市街電話局は、1929(昭和4)年に横浜中央電話局の局舎として逓信省(ていしんしょう)が建てた横浜市認定歴史的建造物(平成12年度認定)。

逓信省というのは、交通・通信・電気を幅広く管轄していた官庁。第二次世界大戦後は、通信事務のみを管轄し、のちに総務省、日本郵政(JP)、及び日本電信電話(NTT)とわかれることとなる。

この局舎は「横浜市外電話局」として長く利用されていたが、NTTの移転を機に横浜市の施設として保存活用されることになり、2003年3月、2階に横浜ユーラシア文化館、4階に横浜都市発展記念館がオープン。文化施設として、あたらな歩みをはじめることとなった。

案内してくださったのは、横浜都市発展記念館の主任調査研究員で係長の青木祐介さん。
 


この建物の魅力だけでなく都市建築全体について教えてくださった青木さん




横浜生まれの建築家が設計

明治時代から昭和初期にかけての官庁庁舎建築は、各省の営繕課が設計を行っており、才能ある建築家が技師官僚として多数存在していた。逓信省の営繕課は、合理的で堅実ながら個性ある建築スタイルで今も評価が高い。

1923(大正12)年、関東大震災の起こる直前に、この場所には完成を間近に控えた局舎があった。弧を描いた屋根やスカイラインなど、インパクトのあるデザインの建物だったが、震災で甚大な被害を受けてしまう。

工事の再開は中断され、局舎は全く新しいデザインで建て直されることとなり、この局舎が誕生する。

現在の建物を設計したのは、逓信省営繕課の中山広吉(なかやまひろきち)。横浜村の名主を代々務めた家に生まれ、第二次世界大戦後も長く逓信省営繕課で活躍を続けた建築家だ。

中山広吉は、この建物の休憩室などにも細かな気配りのあるデザインを施している。

天井や時計まわりにある曲線をモチーフにした意匠は柔らかく優しい印象で、少しでも疲れをいやせるようにという中山広吉の心遣いが伝わってくる。
 


以前の電話交換手休憩室 画像:(株)NTTファシリティーズ所蔵




街並みと求められる機能に合わせた設計

神奈川県庁のように広い敷地の中心に建っているものと違い、これは都市型の建物。
そのため街並みとの調和をまず念頭に設計されている。

現在は建築基準法があるが、当時は明文化されていない中で近くの建物とある程度調和した設計をしつつ、その上で個性を出していた。この建物も隣の旧横浜商工奨励館(現在の横浜情報文化センター)と高さを揃えており、ヨーロッパの街並みを思い起こさせる。

外壁は焦げ茶色のタイルで、一部に装飾として石が使われている。
屋根の下、1階と2階の間、そして土台近くに石を帯状にめぐらせているコーニスが印象的だ。
 


裏側には透明なエレベーター棟が追加されている


1階開口部はアーチが取り入れられ、タイル張りながら石積みのようなデコボコを表現。
アーチ状になった開口部の上部中心にはキーストーン(要石)が入っている。
 


石積みを模したドア脇の意匠と、アーチ窓


装飾的な柱や色使いといった古典的な様式を、タイル張りのシンプルな建物の中にひかえめに取り入れたその姿は、過渡期にあった時代ならではの魅力を持っている。

不思議なことに、この建物は1階と3階の天井は高く、2階と4階の天井は低くなっている。
これは当時の電話局という特性を現した特徴。
 


以前の1階事務室 画像:(株)NTTファシリティーズ所蔵


今は電話をかければ自動的に相手につながるが、当時はまず電話局に相手の番号を伝え、交換手につないでもらう必要があった。交換手は、先にピンがついたコードを交換機に差し込むことで電話をつなぐ。

その電話交換機があったのが3階で、そのためここは天井が高くなっている。




 

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