横浜・京急ミュージアム展示予定の名車両「デハ230形」修繕完了!
ココがキニナル!
2019年度中にオープン予定の京急ミュージアム(仮称)で展示されるという「デハ230形」。一体どんな姿で展示されるのだろう。修繕が完了したというので取材したい!(ライター若林のキニナル)
はまれぽ調査結果!
外観の塗装は鮮やかな赤色に塗りなおされ、現役で走っていてもおかしくない姿に。車内もシートや床を修繕。デハ230形は見事に蘇り、京急ミュージアムに展示される日を静かに待っている。
ライター:若林健矢
横浜・みなとみらいに建設中の京急電鉄本社・新社屋に「京急ミュージアム(仮称)」も併設されることは、すでに「はまれぽ」でも過去記事「みなとみらいで工事中のビルは何になるの?~みなとみらい大通り編~」で取材済み。そしてミュージアム内には、京急のかつての名車「デハ230形・デハ236号」の実物が保存・展示されることになっている。
はまれぽライター若林も、鉄道ライターとして、また鉄分の高い一個人としてこの車両の晴れ姿を一日も早く見たいと心待ちにしている中・・・「修繕作業が完了した」との情報をキャッチ!
そこで今回は、金沢区の総合車両製作所内で2019(令和元)年6月4日に行われた、デハ236号の報道向け撮影会に潜入!じっくり、まったりと観察してきた。
デハ230形とは
そもそもデハ230形とはどんな車両なのか。まずは簡単にご紹介したい。同車は、京急電鉄がまだ「京浜電気鉄道」と「湘南電気鉄道」に分かれていた時代の1929(昭和4)年に、「湘南電気鉄道デ1形」として製造され、1930(昭和5)年から運行を始めた、非常に歴史の古い車両だ。軽量で丈夫な構造、大きな窓、優れた走行性など当時の最高技術が惜しみなくつぎ込まれ、今日の鉄道の速達性につながっている。
デハ230形と呼ばれるようになったのは、終戦後の1948(昭和23)年のこと。「京浜急行電鉄株式会社」が発足した際に「デ1形」から「デハ230形」に改番され、1978(昭和53)年の引退まで第一線で活躍していた。
40年も前に引退した車両がなぜ残っていたのか?それは、今回取材するデハ236号が1979(昭和54)年に京急を離れ、埼玉県川口市の川口市児童文化センター(現在は川口市立科学館)で保存されていたからだ!だが、保存車両の保守には相当な苦労がかかる。残念なことに同館がデハ236号を手放さなければならず、公募にかけた際、古巣の京急電鉄が応募して同車を引き受けたことで、2017(平成29)年に故郷・京急に戻ることになったという。帰還後ほどなくして修繕作業が行われ、2年間かけて新車同様の姿に復元されたのだ。
京急に帰還したばかりのデハ236号。ところどころ塗装がうすれ剥げている(京急電鉄プレスリリースより)
2年の時間をかけて見事に復活した(京急電鉄プレスリリースより)
ちなみにデハ230形の一部車両は、引退後に京急電鉄を離れ、なんと香川県の高松琴平電気鉄道、通称「ことでん」を走っていた!その際にはデハ230形から「30形」に改番されている。現在はことでんからもデハ230形・・・もとい30形は引退してしまったが、故郷の京急を離れてもなお活躍していたことを考えると、世代的に乗れなかったというのに嬉しくなる。
「30形」に生まれ変わり、ことでんで第2の人生を送っていた(画像提供:高松琴平電気鉄道)
よみがえった赤い雄姿をご覧あれ!
それでは総合車両製作所内修繕庫に移動して、いよいよデハ236号とご対面!まずは車両の前で、整備に携わった関係者の集合写真撮影が行われた。なんだか微笑ましい・・・。
修繕作業お疲れ様でした!
赤いボディと白いラインが復活!
まず遠目から車両全体を観察!京急ならではの赤い塗装と白いラインが塗りなおされ、ピカピカ!光が反射して周囲が映り込むほどの光沢だ。昭和時代に京急の象徴だった、おでこに1つだけヘッドライトがある姿は、見る人が見れば相当な懐かしさを感じることだろう。
今にも動きだしそうなくらいピカピカに復活!
おでこのヘッドライトと、天井まで届きそうな大きな窓が特徴的
京急電鉄創立120周年の記念プレートを掲げ、さらに誇らしげに輝くデハ236号
次は側面を見てみよう。近年の京急車両では片側2つドアの2100形を除いて片側3つドアの車両が主流だが、デハ236号は片側2つドアになっている。そのため、車両の端から端までぎっしりと窓が並び、どの窓も乗務員室の窓と同じく、天井に届くくらいの高さがある。この大きな窓いっぱいに景色が広がっていたに違いない。
横から見ると一目瞭然。窓の占める割合が多い
側面の「236」の番号もくっきり!
ドアは片開きで、片側2ヶ所に設置されている
もちろん床下機器も現役当時の姿に復元されている。ただ、台車だけは現段階では当時のものではないため、台車回りがちょっとスカスカな印象。実際に京急ミュージアム(仮称)に展示される際には現役当時の台車を履いた上で展示されるそうだ。
床下機器も復元された
写真下の台車は仮のもので、一般公開の際に元の台車に交換される予定
普段外側からはあまり見られない妻面(運転台がない連結部分)もここぞとばかりに観察!
なかなか外側から見られない妻面。窓が大きく開放感ある
デハ236号では妻面の壁にも窓が備えられているため、開放感がすごい。向かって右下には「京浜急行電鉄」と記された銘板が取り付けられていたが、その字体がまた味のあるものだった!
車両に窓がいっぱいあるために、車内が割と良く見える
「京浜急行電鉄」銘板の字体からも時代を感じる・・・!