摘み取るのか？　それとも元を断つのか？

話は意外なトコロに転がり出す。カラスの数は減っているのだ。
これには、2003（平成15）年に立ち上げられた「ゴミの30％削減」を目指す「横浜G 30（現・ヨコハマ3R夢“スリム”プラン）」が大きく関係しているそうだ。

G30以前の2001（平成13）年の統計によれば、カラスの生息数は1万4412羽。それが2008（平成20）年になると7688羽へと大幅に減少している。

　「ゴミの削減努力、決められた時間にゴミを出すことの徹底、そしてしっかりとしたゴミの囲い込み。これを行えばカラスはエサを食べられません。エサが無ければ、結果、カラスの個体数は必ず減少していきます」と担当者は言う。

横浜のカラスの生息数は、7年間で半減

カラスが増えていないか？　と感じる場所は、集積所のゴミ（エサ）が散らかされている場所だそうだ。ゴミへの取り組みが上手くいっている地域は間違いなくカラスがいないのだという。ゴミ集積所からエサがついばめなくなれば、カラスは、あさりやすい集積所へと移動してゆく。集まっているカラスを見て「増加している」と考えるのは間違いで、減少しているカラスが「集団でエサ場に集まっている」状況なのだ。

話を聞く限り、横浜市の「カラス減少作戦」は非常に息の長い話に聞こえる。どうして東京都のような取り組みをしないのか？

ひとつには、カラスは“鳥獣保護法”によって無闇に捕獲をしてはならない動物に指定されているため。捕獲するためには行政管区の許可を得なければならない。

そしてもうひとつの理由が“お金をかけても効果が薄いと思われるから”。
ご存知の通り、市は財政難・・・。「財政のひっ迫」と言えば簡単だが、担当者いわく、「どんなに予算を組んで“積極的な駆除”をしても、エサがある限り絶対に個体数は減っていかない」から、なんだそうだ。

せっかく税金を投入して駆除しても、エサがあれば増えてしまう。これでは、餌付けして繁殖の手助けをしているのと変わらない。つまり“イタチごっこ”が続いてしまうというわけだ。終わりは決して訪れない。あるとすれば、それは“根絶やし”だろう。ならばエサとなるゴミをしっかりと削減し、管理をきちんとしましょう！という訳だ。
　

ゴミをキチンと管理。これだけでカラス被害は減るはず・・・

東京都のように積極的な手段を税金でまかなうか、お金はかけないけど長い目で数を減らしてゆくか。これは意見が分かれるところだと思う。横浜を含めて、東京都以外の管区では後者を選択しているのが現状だ。

積極的な駆除は、どこまでが適性なのか？　「減少した」との見極めは、いつ、どのように下すのか？　止め時はいつなのか？　果たして止められるのか。

カラスを増やしてしまったのは、間違いなく人間の出したゴミのためだ。



取材を終えて

4月はちょうどカラスの繁殖期、子育ての真っ最中。2月から8月にかけて、産卵と育児を行うそうだ。この時期のカラスが最も気性が荒くなる。

今年は気温の上昇が早く、暖かいため、課に寄せられる相談も「早い」という印象だという。しっかりとした対策と、被害が甚大であれば相談を！

最後に、各々ができる有効なカラス撃退方法を聞いたのでご紹介。

1.カラスは「辛いものが嫌い」なので、ゴミに（一味）唐辛子パウダーを撒く。
　

唐辛子の粉末（あくまでイメージ）

2.カラス（鳥）除けの「プラスチック製の剣山」を設置。
　

トゲトゲでカラスが羽根を休められないように！

3.カラスは羽根にものが当たるのを嫌がる習性があるので、テグスなどを近寄らせたくない場所に張る。
　

テグスは、上から垂らしてもOK！

4.電線に止まっているカラスが気になる場合、東京電力またはＮＴＴに連絡をすると“電線等にカラスが止まりにくくなる”措置を取ってもらえるそう。

・・・という訳で、筆者も環境創造局で借り受けた「カラスにご注意」ポスターを自宅に貼ってみました！
　

イイネ！　横浜G30！

―終わり―