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上大岡にあるデニーズ1号店、「らしさが皆無」なのは本当?

ココがキニナル!

上大岡にあるデニーズ、日本一号店らしいのですが、らしさが皆無です 一号店ならではの何かないのでしょうか? など調査希望です。(ゆこさん、マンジンさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

一見「らしさ」がないように見える店内だが、カウンター・テーブルやオープン・キッチンなど、そこかしこに1号店の名残りを見つけることができる

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ライター:永田 ミナミ

アメリカンスタイルと若者たち



そしてそのアメリカのレストランの雰囲気は、「これが開店当時のものなんですが」と諏訪さんが取り出した2冊のメニューに集約されていた。右が最初のメニュー、左は開店から3年ほどたったころのメニューである。

 

いま見ても格好いいメニューの表紙を飾る、デニーズコンボがたまらない
 

そしてメニューを開くと、そこに広がるのは、まさにあのころみんなが憧れていた「アメリカ」だった。

 

メニューに書いてある内容は、ほぼすべてアメリカのものと同じだった
 

カテゴリーごとに、Hamburger Hall of Fame(ハンバーガーの殿堂)、Lean and Low(赤身肉と低脂肪肉)、Tempting Desserts(魅力的なデザート)など、アメリカらしいタイトルがつけられているほか、当時はDaily Specials(本日のおすすめ料理)もあった。

 

「本日のおすすめ料理については、係のミスデニーズにお尋ねください。」
 

ちなみに、上の写真にあるSoda Fountain(ソーダ・ファウンテン)は「《米・やや古》アイスクリーム・飲み物などを売るカウンター式の店(『三省堂ウィズダム英和辞典』)」のことである。《米・やや古》とあるところにノスタルジーを感じることもできるが、全体に漂う洗練された印象は、2014(平成26)年である今出てきてもまったく遜色ないメニューだ。

 

いまではお馴染みとなった挨拶とともにデニーズの紹介も書かれている
 

「この典型的なアメリカンスタイルのレストランを日本のみなさまにもご紹介すべく、はるばるアメリカからやってまいりました」というメッセージは、このメニューによくあらわれているが、デニーズがもたらしたのは料理だけでなかった。それまでになかったサービスも提供したのである。

例えば、来店した客をテーブルまで案内するサービスは、それまでの日本にはなかったし、コーヒーのおかわりが無料というサービスも日本ではほとんど見られなかった。そのため、コーヒーポットを持って近づいてくる店員を見て「有料なのでは」と、とっさにカップを手で覆い隠す人もいたという。

 

学生時代、このコーヒーのおかわりに何度助けられたことだろう
 

ほかにも、床が現在とは違って毛足が長めのカーペットだったことから、店内に入ったところで靴を脱いでしまう人もいたという。デニーズは日本人にとって、何もかも新しい場所だったのだ。

 

ちなみに上大岡店の現在の床はこんな感じである
 

こうして最新の食事とサービスを提供するデニーズは注目を集め、上大岡に続く2号店が藤沢にオープンすると、若者たちの間で「湘南にドライブに出かけてデニーズでランチ」というデートが定番になったりもした。

なかでも1981(昭和56)年開店のデニーズ逗子店、通称「逗子デニ」あるいは「逗デニ」は、テラス席から海が一望できたことから人気のデート・スポットとなり、「湘南=デニーズ」というイメージも定着していった。逗子店は残念ながら2009(平成22)年に閉店したが、現在は葉山森戸店が湘南地域の代表店となっているという。



アメリカンスタイルの名残り



さて、開店当時から残っているメニューがあるかどうかをきいてみると、「パンケーキ」と「フレンチトースト」という。

しかし、当時とまったく同じものではなく、何度かのモデルチェンジを経て今日に至っているということで、諏訪さんの説明を聞きながら、当時と現在の違いを確認してみた。

ちなみに開店当時の三つ折りタイプの最初のメニューには、限られた料理の写真しか掲載されていないので、下の写真は開店から3年ほどたって写真の数が増えたメニューのものである。

 

左が1977(昭和52)年ごろのフレンチトースト(350円)、右が現在のものである
 

そしてフレンチトーストの下の12番はパンケーキサンド(500円)
 

ソーセージをくるんだ「ピッグインナブランケット」(480円)もあった
 

現在と大きく異なるのは、パンケーキサンドに目玉焼きが乗っていたり、フレンチトーストにもパンケーキにも「ベーコン又はソーセージつき」というトッピングがあったりすることだ。デザートとしてだけではなく、クレープやガレットのように食事としてパンケーキを食べるスタイルも当時はあったのである。

 

上部がインデックス状にカットされているページのデザインも素敵だ
 

そしてもうひとつ、1974(昭和49)年の開業後まもなく日本のオリジナルとして登場し、現在まで続いているメニューがあるという。

 

84番、和風ハンバーグ(780円)である
 

当時のメニューで太字になっていることが、現在まで続く人気を予言している
 

焼いたネギにごま油、醤(じゃん)を効かせた「オリエンタル」なソースは、
改良を加えながら健在
 

ちなみに上の現在の和風ハンバーグ(699円)の写真は本物である。そして下の現在のパンケーキの写真(Tallサイズ3段、504円)も本物である。

 

パンケーキは4月に生地から見直し、リニューアルしたという
 

ハンバーグは柔らかくジューシーで、そこに柔らかいながらしっかりとした食感のあるネギがリズムを与える。そして、ネギの風味とソースの風味が口のなかでほどよく混ざり合い、ともかく美味しかった。

キャラメルハニーパンケーキは厚みのある生地ながら食感は軽く、そこに少しずつバニラアイスが溶け出していく。溶けゆくアイスを見るのは少し悲しいが、キャラメルソースとアイスが溶け合って染み込んだパンケーキを頬張るときは結果的にとても嬉しく、ともかく美味しかった。