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横浜にある陸上自衛隊の駐屯地や米軍基地で食べられる「軍隊メニュー」について教えて!

ココがキニナル!

横須賀には海軍カレーやネイビーバーガーなど自衛隊・米軍に関する食べ物はありますか?(ほっけさん)陸上自衛隊横浜駐屯地がキニナリます(ヤングさん、ホトリコさん、いちやんさん)

はまれぽ調査結果!

陸上自衛隊横浜駐屯地では横浜の名物献立を作り、一般人でも食べられる企画を設けている。また瀬谷のバーDeepが米軍関係者に人気だった

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ライター:小方 サダオ

隊員食堂と提供される料理について

隊員食堂で出される料理について糧食班長に伺った。

「一般の成人男性は一日2650キロカロリーが基本ですが、自衛隊では一般的に3200キロカロリーと高く設定されています。しかし横浜駐屯地ではデスクワークが中心のため、太らないように注意しています。自衛隊では年に一回体力検定があり、受からないと昇進などに響くため、各隊員は駐屯地内をランニングするなど気を付けています」とのこと。
 


隊員食堂
 

食堂内ではご飯の盛り方によるカロリーを表示している


また、「陸上自衛隊の駐屯地では500~1000人の隊員数が当たり前です。そのため大規模な駐屯地では冷凍食品やレトルト食品を出すことが多くなります。しかし横浜駐屯地は60人程度で、全国で3番目に小規模な駐屯地です。隊員数が少ないことで、階級の上下に関係なく一緒に食事をとるスタイルになり、アットホームな雰囲気です」と話してくれた。
 


幹部専用の食堂。現在は看板が外されている
 

少人数の部隊なのであまり使われていない
 

幹部専用食堂内、味見をするための検食官席


「同駐屯地は隊員数が少ないために手の込んだ食事を提供できるのです。例えばコロッケなどはオーブンで2度焼きしたり、特製のハヤシソースを作ったりしています。ここでは一食分ずつ丁寧に時間をかけて調理します。量より質の横浜駐屯地の料理は、ほかの駐屯地からここを訪れた隊員に評判が良いです」と糧食班長。
 


嗜好調査の意見箱。三段階の評価をカウンターで計測
 

隊員の誕生日には赤飯やケーキが出ることも
 

ふりかけコーナー


なお、この食堂は2014(平成26)年12月にリニューアルするという。
駐屯地内の建物は1967(昭和42)年からのもので築47年。老朽化のため、耐震構造のある新しい体育館と食堂を建築中とのこと。
 


かつて横浜港にあった生糸検査場をモデルした、体育館や食堂の入る建物
 

赤レンガ倉庫をモデルに希望していたが、レンガの数の多さで断念したという


つづいて料理を作る職員について伺った。
糧食班長は、「航空自衛隊や海上自衛隊は糧食部隊の隊員が作っています。しかし陸上自衛隊では自衛官ではなく、自衛事務官や民間委託の方に料理を作ってもらっています。当駐屯地では、デスクワークが多いことを考慮して、タンパク質の量をほかの駐屯地の食事より1.66倍と多めに設定されています。また筋肉を作る魚や肉類を多くし、塩分やカルシウム・ビタミンなどは少なめの設定です」と答えてくれた。
 


オムハヤシを作ってくれた自衛事務官の方々
 

夏の献立表


一般家庭においても作れる体力維持のためのおすすめの食材を伺った。

「疲労回復には豚肉などに含まれるビタミンB1が効果的です。また軍隊食ということでは、日露戦争時に、白米でかっけになった隊員が出たため、より栄養が豊富な麦飯にした、と言うことがありました。非常食にはサンマ缶などの缶詰類がおすすめです。それは賞味期限が長いからで、レトルト食品は賞味期限が短いので注意が必要です」とのこと。

また筆者がキニナっていた戦闘場面での食事として名高い、戦闘時を想定した携行性や保存性を重視した「戦闘レーション」については、「戦闘レーションは民間に委託して作っています。ほとんど市販の普通の商品と変わりません」とのこと。自衛隊内で作られた特別な食事ではないようだ。
 


これが戦闘レーション




名物献立の生まれた経緯とは?

それでは横浜駐屯地が発案した、「名物献立」とはどのようなものなのだろうか?
糧食班長に伺った。

「2011(平成23)年に陸上自衛隊の上部から、『海上自衛隊の海軍カレーに対抗して名物献立を作ってみなさい』との司令がありました。それぞれの駐屯地が地域の特性を生かした、例えば海が近い駐屯地では名産品の魚を生かしたメニューを考えました。そこで横浜駐屯地では、横浜のグルメのイメージである、中華料理や洋食などから、サンマーメン、横浜発祥の東坡肉(トンポーロー)やオムハヤシを名物献立にすることに決めました」
 


「我々糧食班は味の研究のために、オムハヤシは桜木町のセンターグリルに、サンマーメンと東坡肉は中華街の高級店などに実際に食べに行きました。海軍カレーは官庁のレシピを民間に提供していますが、こちらは反対に民間のレシピを隊員食堂で生かさせてもらっています。現在は、地産地消を活かした手作りハンバーグを企画しています。地元の肉屋のお肉を使い、保土ケ谷の名物であるジャガイモを添えることなどを予定しています」
 


「一般の方が駐屯地内で名物献立を食べられる体験喫食は、月に一回、8名限定で行っています。好評で毎回訪れる常連の方もいらっしゃいます。税金の無駄遣いはできないため、事前に定められた人数分しか作れないために予約制にしています」



名物献立、人気のオムハヤシを実食!

ついに、名物献立のオムハヤシ(399円)を食べられる時を迎えた。
正午の軍隊ラッパ(!)が放送されると、続々と隊員たちが集まってくる。
 


軍隊ラッパの放送とともに集まる隊員たち
 

迷彩服を着た自衛官による行列が壮観
 


和気あいあいとした雰囲気の食堂
 


テーブルに配膳された名物献立・オムハヤシ


テーブルに置かれた本日のメニューは、”オムハヤシ”“わかめサラダ” “オニオンスープ””デザート”だ。迷彩服の隊員の方々に交ざり、1等陸尉と向かい合って食べる状況に少なからず緊張感を憶えた。
 


本日のメニューが書かれた「メニュー表」
 


特製デミグラスソースが味わい深い
 

1等陸尉と向い合い、戦友と食事を共にする錯覚を覚える筆者
 

卵の弾力と肉の柔らかさが印象的


オムハヤシをいただくと、フワフワと弾力のある卵、濃厚なデミグラスソースとともに味わうしっかりと煮込まれた牛肉のやわらかい食感に感動・・・。「横浜の洋食店」の店内にいる気分に酔った。しかもこの味で、儲けを度外視したほぼ原価の399円なのだ。
 


食後はセルフサービスで軽く食器を洗浄


自衛隊内の食事、というと、体力維持のための栄養価を重視し、味は二の次といったイメージだ。しかし横浜駐屯地では、横浜グルメという地方色を出した結果、手間ひまかけた味を重視したメニューが生まれたのだ。おいしさと栄養価の両立に成功した、横浜駐屯地の糧食班の努力は高く評価されてよいだろう。