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記録更新なるか!? 横浜で一番急な坂はどこ? 2015春・延長編

ココがキニナル!

2011年、全区を回り「一番急な坂はどこか」を調査後、寄せられた情報をもとに再調査した2013年冬。その後寄せられたコメントに今度こそ瀬谷区天竺坂の20°越えの急坂はあるか(はまれぽ編集部)

はまれぽ調査結果!

悲しみの10°の果てに流れ星のようにふいに現れ消えた、南区永田北2-11のセンター階段坂の19°は夢か幻か、はたまた新記録の予兆だろうか

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ライター:永田 ミナミ

永田東の西のほうへ



「西光院墓所横の坂」を通りすぎると緩やかに下っていき、その先の交差点に右側へと急降下するような勾配が見えた。
 


急坂出現か。足早に交差点を目指した
 

しかし交差点で右を見ると、残念ながらそれほど急ではなかった


視界の先に急坂はなさそうだが確認のために地図を見てみると、この先には階段があることがわかった。というわけで、交差点は直進することにした。参考までにこの永田東2-17の交差点は8°である。
 


青色部分が階段。その次の通りも階段有りなので回避するようにルートを設定


永田東2-14の坂・・・8°
 


階段の下を通り抜けていく逆S字カーブも8°をマーク
 

場所は緑色部分のここである
 

そして回避した階段たちを下から眺めながら逆S字カーブを下っていく


カーブを下りきると丁字路にぶつかった。右は緩やかな下り坂、左は緩やかな上り坂である。歩いてきた体感的に、緩やかに下ってきたこの先を下っていっても高低差はあまり期待できなさそうな気がした。
 


というわけで左折して緩やかに上っていくと視線の先に急坂ドットをキャッチ
 

近づいていくと斜め右にまっすぐ伸びていく急坂を発見


永田東2-13の坂・・・10°
 


真下から見上げると素晴らしい直線坂だ。こっちに歩いてきてよかった
 

右側の法面が見せる、地形を浮かび上がらせたコンクリートの質感も美しい


坂を上りきる手前で振り返ると、ヘルメット少年が自転車を押しながら、うんせ、うんせ、と上ってくるし、その少し後ろに気怠そうに足を運ぶ女性もいる。坂というものは20°であっても10°であっても、結局のところ人間に与える負荷はあまり変わらないのかなと思わせる風景だった。
 


景観の素晴らしさと斜度が必ずしも比例しないのも坂の面白みである
 

ただ付け加えておくと、この急坂ドット下のこんもりした部分は14°を記録


そして、直線坂は全長160メートルに及ぶ、なかなかのロングディスタンス坂である。
 


ちなみに場所はこの赤色部分である
 

さらにちなみに、坂手前のこの階段横のスロープを参考までに測ってみると
 

30°という天文学的な数字が叩き出された
 

とはいえ数字ではピンと来ないかもしれないので階段を坂にしてみた
 

それでも坂が短く迫力が伝わらないのではと背後の石垣上まで延長してみた


延長した坂を想像してみると、ゲレンデの上級者コースに匹敵する30°の坂がもし存在したとしたらとんでもないことになるのがよく分かる。

延長してみると背後に見える石垣のへりにぴたりと重なった。もともとの斜面はほぼこのような感じで、階段を迂回させることによって傾斜を調整したのかもしれない。

このところ息を呑むような圧倒的な急坂と出会えていないので、こんな由無(よしな)し事を想像してみたりもするのだった。



永田北へ



さて、ロングディスタンス坂を上ったところにある区画は、地図で確認すると最後が階段になって再び合流していたので、区画の外周に沿って歩くことにして右折。
 


すると崖下に小学校を見降ろす場所に出た
 

緑色部分が急斜面で、その下(北側)に小学校がある
 

小学校前を右に曲がればやさしめの下り勾配


急坂嗅覚的にも永田みなみ台へのルート的にも左折だなと思い歩いていくと、果たして急坂ドットが見えてきた。そして住所はいつしか永田北に変わっていた。

永田北2-8の坂・・・10°
 


角度はやさしめだが、それにしても向こうの斜面に広がる家並みの美しさよ
 

とはいえまたもや10°か、とつぶやきながら降りていくと左へ伸びる急勾配が
 

と思ったら私道だった。しかし参考までにヘアピンのインコースは何と22°
 

場所は青色部分のここである
 

ちなみに小学校を底にして斜面が囲む地形であり


小学校をはさんで反対側の美しい家並みを中心とした斜面は、すべて行き止まりや階段坂なので、永田みなみ台へと進むことにした。

それにしても10°を上回ることのないまま、この日3回目の10°である。振り返ってみると、2014(平成26)年は前編では12°のほかに14°、15°とAランク坂にも出会えたが、中編では12°が2坂と11.5°、後編では4坂で記録した10°が最高である。ほかにも10°坂は前編で5坂、中編で3坂。

2014年冬から春にかけて15坂目の10°を前に、ふと「悲しみの10°」という言葉が頭をよぎった。
 


とはいえ10°だって見上げてみればなかなかの急坂なのである


よぎったもののもちろん坂は何も悪くない。ただ20°のあの迫力を知ってしまったせいで、こんなことを考えてしまったり階段に急坂を重ね合わせてしまったりするのだ。と思いながら永田みなみ台方面に歩いていくと、そこは公道ではなく南永田第二団地の敷地のなかだった。
 


黄色部分が南永田第二団地。そして敷地内の道路(黄色部分)を抜けると
 


その先のバス停が、実は楽しみにしていた場所に到着したことを教えてくれた
 

個人的に横浜で最も美しいと団地だと思っている南永田団地である




南永田団地の魅力


 


南永田団地の外周を歩きはじめると、さっそく巨大連結住棟が出現
 

回り込んでいくと連結部分がよく見える


南永田団地の住棟には「スキップフロア型」というエレベーターが1階、4階、7階、10階と限られたフロアに停止する方式が採用されている。共用廊下は停止階にのみ設置すればよいので、コストを削減できるため多く採用された方式で、2階の住民は1階から、3階と5階の住民は4階から階段を利用するということになる。
 


さらに歩いていくと右側が上の住棟のテラス側。横や奥に別型の住棟が連なる


南永田団地は、さまざまな形状の住棟が万華鏡のように表情を変えながら、実に多彩な景観を見せてくれる。この住棟の配置は、奈良北団地、横浜若葉台団地など多くの共同住宅を手がけた市浦建築設計事務所(現・市浦ハウジング&プランニング)の市浦健氏と設計者小林明氏の「平行配置の型を破る」という意図が充分に反映されているといえるだろう。

「平行配置」とはいわゆるマッチ箱のような直方体の住棟が平行、等間隔でならんだ共同住宅である。南永田団地は大きく分けて5種類の住棟が地形に合わせて配置され、下の地図を見てもわかるように直方体の住棟も平行配置も存在しない。
 


1枚目の写真はオレンジ色の住棟、上の写真の左側に見えるのは緑色の住棟
 

住棟と地形が織り成すリズム
 

高層住棟と樹木と壁面の色のバリエーションが織り成すリズム
 

地図上の紫色の住棟にはコルビュジェ的なピロティも
 

さらに歩いて行くと圧巻の高層連結住棟1号棟が見えてきた


地図上では赤く表示した1号棟は、1"1と1"2が巨大な屏風のように連なる最大の住棟で、テラス部分に微妙な角度がつけられているモダンな意匠性も魅力だが、回り込むと反対の通路側もまた違った趣の魅力を見せてくれるのだ。
 


淡い色彩がもたらす情緒もさることながら階段が紡ぎ出す幾何学的なリズムよ
 

1-1と1-2の連結部分の近未来感とまるで静と動を表したような色分けよ
 

そして2号棟の連結部分とスキップフロアが生み出すリズムよ
 

2号棟は地図上の黄色の住棟なので、ほぼ1周したことになる


団地の話ばかりしてしまったが、もちろん急坂探索をさぼっていたわけではない。南永田団地は、敷地中央は窪んでいるが全体としては高台に位置し、南側は高台の延長で高低差はない。

団地から横浜横須賀道路方向に伸びる東側下り勾配と、永田みなみ台前信号からかもめパン方面に伸びる北側下り勾配、六ツ川小方向に伸びる南西側下り勾配は急坂ではないので、坂を探しながら自然と南永田団地を1周していたのである。
 


というわけで、望みを託した赤矢印方向に進んでいった