洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」 伊勢佐木町「グリル桃山」編
ココがキニナル!
横浜の洋食文化をつくった老舗洋食店の料理人に密着取材する「横浜コック宝」。第5回は、こだわりと必死!? な完璧主義者、伊勢佐木町「グリル桃山」店主、山口勝弘さん。
ライター:クドー・シュンサク
グリル桃山の味
11時半の開店と同時に仕上げる仕込みもある。理由は「お客さんに美味しい状態で出すには、先にやっておいちゃダメなこともある」から。ここで、グリル桃山の厨房を守るもうひとりのコックが登場。
グリル桃山4代目の山口将平(やまぐち・しょうへい)さん
ホテルニューグランドで7年間修業を積んで桃山の厨房に入った将平さん。コック宝と二人で桃山の厨房を守る。取材日は少々、前日の深酒が残りつつも午前9時には店に来て真っ白い顔、それはまるでダイオウイカみたいな顔で仕込みに励んでいました。これは、たまにのご愛嬌ということで。
自家製のマヨネーズが決め手のコールスローと
一から作り上げるまろやかなコーンクリームスープの仕込みが終わったところで
ランチのお客さんがやってきた
コールスローもスープも、そしてご飯も、仕込みはある程度の量のみ。作り過ぎない。限りなく出来立ての味の範囲が保たれる分だけ、作る。そして必要となればすぐさま作る。それがお客さんに美味しく食べていただけるから。手間は惜しまない。コック宝が言う「ラクをしない」ということはここにも如実にあらわれる。
ここからコック宝
次から次へと入る注文を
的確に素早く
美しく
時に炎をあげ
41年磨きあげたその腕で
お客さんのもとへ届ける
実に美味しそうな品々
ほぼ、息つく間もなく約2時間半が経った。一旦お客さんの足も落ち着いたところでコック宝から「少し休憩しようか」と。
疲れた顔も見せないコック宝にお話を伺う
「今までコックをやってきて良かったと思うときはありますか」と尋ねた。コック宝は「しょっちゅうありますよ(笑)。だから続いてますし、それが嬉しいから今日までやってこれてるっていうのもあります。お客さんに喜んでもらえたら、俺の勝ち(笑)」
話しぶりからは、ふんぞりかえった偉そうなところは一切感じず、丹念に丹念に何かを作ってきた人の穏やかさと経験、繊細な笑顔が印象的でした。
ちなみに
厨房でコックコートを着用していないのは、ほかでもなく、灼熱の厨房内で汗をかきすぎて料理に影響がでないよう、真夏のこの季節のみ、軽装で調理をしているとのこと。
経験からなる判断でのことのようです。
お客さんがまた入りだし、コック宝は厨房に戻り
また真剣に、そして必死に
お客さんに美味しいと喜んでもらえる料理を作る