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ココがキニナル!

ユーミンの曲に出てくる根岸森林公園の高台にあるカフェ・ドルフィン。お店のスタイルが気になります。ソーダ水の中を貨物船はとおるのか。(マンジンさん/maniaさん/やまほさん)

はまれぽ調査結果!

ユーミンの曲に登場し有名となった「ドルフィン」は、窓からの光景が大きく変わってしまった今も、多くの人に愛される“静かなレストラン”だった!

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2016年02月05日

ライター:大野 ルミコ

「海を見ていた午後」の世界を味わってみよう

こうして、予想以上に過酷な階段ルートを通り、到着した「ドルフィン」。1969(昭和44)年のオープン以来ずっと同じ場所に店を構えているが、建物は1998(平成10)年に改築。それにより木造平屋だったという店舗は、大きなガラス窓が印象的なコンクリート造りの建物へと生まれ変わった。
 


波のようなウェーブの外観と大きな窓が印象的な「ドルフィン」

 
この地に「ドルフィン」をオープンさせたのは『少年王者』や『少年ケニア』などの作品で知られる絵物語(挿絵の比率が高い小説)作家、山川惣治氏(やまかわ・そうじ/1908-1992)。漫画の台頭による絵物語の衰退などもあり、作家としての第一線を退き、ご自身の息子さんと二人でこの地にレストランを開いたのだという。

以降、50年近い月日の中でオーナーも3代目となり、また、周囲には大きなマンションが立ち並んだこともあって、店から見える風景も大きく変わってしまったと聞く。
 


エントランス横には透かし彫りのようなかわいい看板も掲げられていた

 
いざ、店に入ろうかと思ったその時、エントランスで食事を終えたと思われる50代くらいのご夫婦とすれ違う。見れば、名残惜しそうに何度も振り返りながらドルフィンの外観を写真に収めていたりする。彼らもまた『海を見ていた午後』を聞いて、ここに足を運んだ人たちなのだろうか。早くもここがユーミンファンにとっての“聖地”なのだと実感させられた瞬間だ。
 


午前11時~午後3時まではお得なランチメニューも用意されている

 

店内に入ると金色のイルカのオブジェが置かれていた

 
エントランスを入ると、正面に、お酒が並んだ棚やガラスのカウンターなどが見える。ここはウエディングパーティーで使われるスペースらしい。大きな窓からは明るい日差しが差し込み、石油コンビナートや高速道路が遠くまで見渡せるので開放感もたっぷりだ。

ぼーっと窓から見える風景を見ていたら、店員さんに2階へと案内された。以前は1階が喫茶、2階がレストランと分かれていたようだが、今は基本的に眺望の良い2階スペースだけを開放しているようだ。
 


大きな窓に沿ってテーブルが置かれた2階のレストラン
 

中央には自動演奏装置付きのグランドピアノが置かれていた

 
明るい日差しが差し込む開放的な空間に、4人掛けのテーブルが整然と並ぶ。ランチタイム終盤ということもあり、我々のほかには子どもを連れたママ友らしき2人組しかいない“ほぼ貸切り”のような状態だ。

居合わせた子どもたちの声は時ににぎやかな時もあるが、かなり離れた席に案内されたので「楽しそうだな」としか感じない。・・・というか、一つひとつのテーブルの間隔が広めにとられているので、これなら隣り合わせになっても、さほど気にならない気がする。
 


窓の外は・・・マンションの陰から海が見えた

 
それにしても、思わず「正面のマンションさえなければ・・・」と思ってしまう光景だ(住人の方、すみません)。テーブルに座って窓の外を眺めると、マンションによって海が半分くらい隠れてしまう。この日は晴れ渡って空気が乾燥していたこともあり、横須賀だけでなく房総半島まではっきり見える。それだけに「残念!」という気持ちが涌いてくる。
 


メニューにはユーミンの曲にちなんだものもいくつか見受けられる

 
お腹も空いているが、やはりここはファンが来たら必ずオーダーするという「ドルフィンソーダ」を頼まないわけにはいかない。それに「海を見ていた午後」と名付けられたカクテルもキニナル。あとは「ドルフィン」の名前がついた料理をピックアップし、いくつかオーダーしてみた。

・・・我ながら“王道”を突っ走ったチョイスだと思う。

ふと、テーブルに置かれたメニュー表を見ていると、ファイルの中に『海を見ていた午後』について書かれた記事が挟まれていることに気づいた。
 


ユーミンと「ドルフィン」の出会い、曲が生まれた背景などが書かれている

 
この記事によると、ユーミンは「ティーンエイジャーのころ好きだった年上のボーイフレンドが横浜の外国人収容所に収監されていた」ことから山手に足を運ぶようになったとし、「その時の情景を歌ったものかもしれない」としている。

その恋の行方について・・・は書かれていないが、この場所が彼女にとって、とても思い入れのある、大切な場所だということは間違いないようだ。
 


水の入ったコップ越しに海を眺めてみる。とりあえず貨物船は来ない

 
料理が来るまでの間、必死にユーミンが詩を書いたころの風景を思い描いてみる。もちろん、目の前のマンションはなかっただろう。また海沿いを走る高速道路(首都高速湾岸線)も大黒ジャンクションから先が開通したのが1999(平成11)年だというから、それも見えることはなかったはずだ。

資料で調べた結果、当時からあったのは、駅の反対側にあった石油コンビナート(JXエネルギー根岸製油所/1964〈昭和39〉年完成)くらいのようだ。つまり、ユーミンはこの窓から製油所越しに広がる海を眺めていたということになる。
 


製油所の煙突越しに見える海――こんな感じだったのかな(除・マンション)

 
そんな妄想を繰り広げていたら「ドルフィンソーダ(800円)」と、カクテル「海を見ていた午後(1050円)」が運ばれてきた。グリーンとブルー、色が鮮やかで本当にキレイ。
 


イルカを模ったオレンジもかわいい「ドルフィンソーダ」
 

ブルーキュラソーにシャンパンをプラスした「海を見ていた午後」

 
テーブルにドリンクが置かれたその時、それまで店内に流れていたピアノの曲に変わって、ユーミンの『海を見ていた午後』が流れ出した。店員さんに聞くと「ドルフィンソーダ、もしくは海を見ていた午後のカクテルをお出しする際は、必ず曲をおかけしている」という。曲の世界を求めて訪れた(と思われる)お客さんへのちょっとしたサービス・・・ということなのだろう。
 


曲に合わせて、グラス越しに風景を見る。うーん、何も見えない・・・

 
店員さんに「このドルフィンソーダはいつごろからあるメニューなのですか?」と聞いてみた。すると「実は『海を見ていた午後』が発表された後、曲をイメージして作られたもの」という意外な回答が・・・。このソーダ越しに海を眺めていたわけ・・・ではないのか(驚)。

聞けば、曲が発表された後に店を訪れるファンの方が急増。そして決まって「ソーダ水はないの?」と言われてしまうため、急遽、生み出されたメニューなのだという。
 


ソーダの中にはピューレ状にしたメロンの果実がたっぷり入っている

 
この「ドルフィンソーダ」、昔懐かしいメロンソーダの味をイメージしていたのだが、もうみずみずしさが全く違う。店員さんに聞けばピューレ状にしたメロン果実を入れているのだという。それによって「メロンの風味をお楽しみいただけますが、果肉でソーダ水の透明度は低くなりますから、グラス越しに貨物船を見るのは難しいかもしれないですね」と話す。
 


たとえ貨物船は通らなくても・・・曲の世界は十分味わうことができた

 
こうして改めて『海を見ていた午後』を聴くと、詩も曲も「すごく短い」って感じるけれど、そのたった3分強の曲の中で描かれた世界がこうして実際に存在して、40年経った今も(風景はちょっと残念だけど)受け継がれているのは、素直にすごいことだと思う。

曲の世界を“完璧に”求めると、やっぱり「ちょっと違う」のかもしれないが・・・
 
 
料理も美味! ファンにとっての「ドルフィン」の存在とは?≫
 

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