「くらやみ坂」の名前の由来は?
ココがキニナル!
戸部の方にある「暗闇坂」の名前の由来を調べてください。(安西さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
いくつか説があり、残念ながらハッキリとは分かっていないが、今回の取材では源頼朝にまつわる「鞍止み坂」説が有力な印象だった!
ライター:田中 大輔
付近の人に聞き込み調査
坂のてっぺんまで来たところで、近所に住む主婦の方にお話しを聞くことができた。
この辺りに長年住んでいる金谷さんによれば「タクシーなんかに『くらやみ坂』って言うと、ちゃんとこの道に来てくれる」らしく、その名前は知られているようだ。
金谷さん(左)のお宅の前で。黒崎さんは「くらやみ坂」に関する本を読んだことがあるそうだ
名前の由来について尋ねてみると、黒崎さんは「いくつか説があるらしいわよ」とのこと。
その内のひとつとして、「昔はもっと坂がきつくて、登るときに一旦馬を止めたらしいの」という説を教えてくれた。つまり、馬の背に置く『鞍』を『止める』=「鞍止み坂」という説なんだそうだ。
さらに、部活帰りの西中生たちにも声をかけて話をきいてみた。
西中サッカー部の1年生という7人
学校で特別に教わったりはしないそうで、「真っ暗だからじゃない?」という至極真っ当な答えも出たが、この中のひとりが「そう言えば、坂がきつくて馬を止めたからって話を小学校のときに聞きました」と、こちらでも「鞍止み坂」説を聞くことができた。
専門家や文献で調査
暗かったから「暗闇坂」、あるいは刑場の陰鬱な雰囲気から「暗闇坂」となったのかと思っていたが、現地での取材では「鞍止み坂」説が急浮上してきた。
そこで、次は西区役所に疑問をぶつけてみた。担当の方が、郷土史を研究している専門家に問い合わせてくれたのだが、「いくつか説がある」とのことで、やはり「暗闇」説と「鞍止み」説があることが改めて判明した。
その方に、参考になる本を紹介してもらえたので、今度は中央図書館へ。
くらやみ坂について10ページ以上を割いている『ものがたり 西区の今昔(西区観光協会発行)』を当たってみても、「古い記録には暗坂(くらやみざか、原文ママ)、蔵止み坂、鞍止み坂、などと書かれているが、その語源についてもいくつかの説がある」と書かれていた。
この本によると、樹木がうっそうとしていて暗かったから「暗闇坂」、鎌倉時代にここを通った源頼朝が美しい景色を眺めるために馬を止めた「鞍止み坂」、お百姓などの連れた馬が急坂を登る前に一息入れたから「鞍止み坂」、という3つの由来が紹介されている。
頼朝の時代は坂から入江が見えたらしい。今はランドマークタワーを望むことができる
専門家も文献も、いくつかの説がある、というところに落ち着けているように、残念ながらはっきり「コレ!」と言える語源は定まっていないようだ。
困ったときの神頼み!?
どうやら、ハッキリ分からない、というのが現状での答えのようだが、もう一か所、取材をしたい場所があった。古くから地域に根差している神社だ。
実は、文献やインターネットで「くらやみ坂」を調べると、よく「杉山神社」の名前が登場する。区役所の裏手にあり、坂からも近いこの神社は、旧戸部村の鎮守として辺り一帯の信仰を集めてきたそうだ。
そんな神社なら、なにか分かるかもしれない、と思い立ち杉山神社へ向かってみた。
652(白雉〈はくち〉3)年創建と伝えられる由緒正しい神社
1400年近く続く神社の境内で、神主の関さんにお話しを聞くことができた。
坂の名前の由来について聞いてみると、迷わず「昔、頼朝があの坂で馬を止めて昼食を取ったことから、『鞍止み坂』となったんです」とのお答え。「暗闇坂」説については、「刑場ができた後にできた、100年やそこらの新しい説ですよ」と間違いだと考えているそうだ。
もちろん神主さんが言ったから、という理由だけでこの説を正解と決め付けるわけにはいかないが、大昔からこの地にあった神社の公式見解とあらば、ちょっと心強い意見だ。
取材を終えて
今後、新しい文献がひょっこり出てこない限り、正確な「くらやみ坂」の由来は分からないだろう。
だからこそのひらがな表記。
ただ、今回の取材に限って言えば「暗闇坂」よりも、「鞍止み坂」という説の方が有力な印象を受けた。とは言え、意味のシンプルさや音から考えたら「暗闇」の方がスッキリ収まるし、これも捨て難い。
もし、みなさんの中に、くらやみ坂に関する情報をお持ちの方がいれば、ぜひ編集部までご一報を!
―終わり―
茱萸澤村民さん
2016年11月24日 13時05分
「暗闇坂」で検索すると、各地に同じ名前が存在するようです。もしこれらの地名に共通する何らかの特徴があるならば、どういう意味なのかとの問いにも迫れそうに思います。横浜の暗闇坂だけを調査するだけでは苦しいような気も。
mimichanさん
2014年05月26日 11時29分
『鞍止み』などという言葉は地名になるには不自然です。あまりに説明が込み入っている。だいたい馬を止めることを「鞍止み」というのですか?どうして坂で止めるのですか?これは民間語源説(フォークエチモロジー)でしょう。頼朝というのも全く根拠がない。地名の音から後世に生まれた民間語源でしょう。地名は普通、形容する語と形容される語が組み合わさるものです。暗闇坂というのは江戸などにもあったから、「薄暗い坂」が自然。
nyaosuさん
2013年12月18日 00時15分
西中、懐かしいです。