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江戸時代のブランド米、「稲毛米」が今も川崎で食べられるって本当?

ココがキニナル!

鷹狩りで川崎の地を訪れた将軍徳川家光が、昼飯のご飯のうまさに感激した「稲毛米」と言えば江戸時代大変なブランド米だったとか。どんなお米だったのか気になります。(tamaさん)

はまれぽ調査結果!

現在の川崎市中原区、高津区を中心に広がっていた稲毛荘で生産された稲毛米、将軍家光が食したか定かでないが、昭和天皇は確かに召しあがった!

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ライター:岡田 幸子

新嘗祭(にいなめさい)で神に捧げられた“稲毛米”


 
さて、関崎さんも寄稿されている『二ヶ領用水400年−よみがえる水と緑−』という書籍に、キニナル記述を見つけた。

「二ヶ領用水を灌漑(かんがい)して作られた良質の稲毛米は、昭和になってから新嘗(にいなめ)祭の献穀田(けんこくでん)に2回選ばれた」とあるのだ。「橘樹郡稲田町登戸」の2水田が選ばれたらしい。

新嘗祭は現在「勤労感謝の日」として国民の祝日となっている11月23日に、新穀を供える宮中祭祀。天皇陛下が宮中の神嘉殿(しんかでん)で神々に捧げて収穫を感謝する新穀は、その後陛下自らもお召し上がりになるのが恒例だという。

 

 茜襷(あかねだすき)で苗を植える早乙女による神田神事と思われる風景(同)


ということは、家光将軍がもしや“稲毛米”を食べてないとしても、天皇陛下は確実に召し上がっているということになる。

新嘗祭献穀田について寄稿された角田益信先生にお話を伺いたいとお声がけしたが、残念ながらかなわなかった。

仕方がない、稲毛米の稲作地として記録に残っている「橘樹郡稲田町登戸」で今でも作られている米はあるのか、歩いて献穀田を探そうじゃないの!



平成の“稲毛米”を探して登戸へ!



多摩区役所に問い合わせると、「橘樹郡稲田町登戸」の住所は現在の「川崎市多摩区登戸」にあたるという。

まずは、1933(昭和8)年に奉仕された小林忠七さんの水田を訪ねてみた。

 

 このあたりのはずだが・・・
 

 水田は影も形もない


新たに区画整理された一帯に、以前広がっていた水田を想像するのみだ。

気をとりなおして1964(昭和39)年に献穀田に選ばれた松坂仙太郎(まつざか・せんたろう)さんの水田を探してみる。

 

 整備された二ヶ領用水が近くを流れる
 

 畑のそばに「松坂」の表札を掲げたお宅を発見。もしや!
 

 ごめんくださーい


畑で作業中の男性に事情を話すと、奥からなにやら材木のようなものを引っ張り出してくれた。

 

 「これこれ!」
 

 「前に貸し出したら汚れてるからって水洗いされて、墨文字が消えちゃったんだけど・・・」
 

 よーく見ると「十」の字がうっすら


資料によると1964(昭和39)年6月10日に行われた御田植えの祭事では、神饌田(しんせんでん)のまわりに注連縄が張られ、「昭和三十九年度/新嘗祭献穀田/奉耕者/松坂仙太郎」と墨書した標柱が立てられたという。

 

 間違いない!


お話によると現在はマンションが建ってしまったが、お宅の裏手に水田があったという。見せていただいたのは亡くなったお祖父さん(仙太郎氏の弟さんらしい)が大事にしていた柱だそうだ。

 

 以前は梨山だったという畑では、甘〜いトマト「アイコ」や・・・

 
「採れたてがウマイんだよ」というキュウリなどをいただき大満足!

いやいや、おいしい夏野菜に惑わされて、本来の目的を見失ってはいけない。“稲毛米”を探さねば。

と、息子さんが「うちではもう米は作ってないけど、ここまっすぐ行って突き当たり、中野島のアサヤの田んぼがこの辺じゃ一番大きいんじゃないかな」と助言をくださった。

指示通りまっすぐ行く。

 

 あ!
 

 あった!!
 

 田んぼだ!!!


通りかかった方にうかがうと、この水田は近所にお住いの「浅谷(あさや)さん」のものだという。そこらじゅう「浅谷さん」だらけの一帯で、なんとか目的の「浅谷さん」にたどりつけた。

浅谷さんによると、この田で現在作っているのは神奈川県の奨励品種“はるみ”とのこと。図々しくお願いすると、「昨年のもので品種は“さとじまん”だけど・・・」と、快くお米を分けていただけた。

 

 ついに入手した、これが“平成の稲毛米”だ!
 

 贅沢に慣れた現代人なので、米10分で炊いてみる

 
つややかに炊きあがったごはんは、シンプルに塩むすびに。風渡る稲毛米の水田を眺めながら・・・

 

 いただきまーす


もちもち食感の米粒は、噛むほどに甘みがじんわり。“平成の稲毛米”、大変おいしゅうございました。
 
“平成の稲毛米”を食べてみたい? 今年度の販売は終了してしまったが、浅谷さんのお米は今秋も、麻生区黒川の「JAセレサ 川崎 ファーマーズマーケット セレサモス 麻生店」で販売されるそうだ。稲毛米を味わってみたいという方は、ぜひ購入のうえ、その味をお確かめあれ!


 
取材を終えて
 
記事中でご紹介した林さんをはじめ、川崎市内で多数のお米屋さんに聞き込み調査するも、なかなか見つけられなかった“平成の稲毛米”。一時はあきらめて、スーパー「いなげや」で米を買ってお茶を濁そうとしていた。

ホームページによると、1900(明治33)年に「いなげや」を創業した猿渡浪蔵(さるわたり・なみぞう)は、現在の多摩区と東京都稲城市の境辺りの出身。稲毛三郎重成にあやかって、店名を「いなげや」としたという。

  

 “稲毛米”ゆかりのスーパーなのだ!


 
―終わり―
 

取材協力

川崎市市民ミュージアム
http://www.kawasaki-museum.jp/
住所/〒211-0052 神奈川県川崎市中原区等々力1-2
電話/044-754-4500
開館時間/9:30〜17:00(最終入場16:30) 月曜日(祝日・国民の休日の場合は開館)、祝日・国民の休日の翌日(土・日の場合は開館)、年末年始休

ニヶ領せせらぎ館
http://www.seseragikan.com/
住所/〒214-0021 神奈川県川崎市多摩区宿河原1丁目5-1
電話/044-900-8386
開館時間/10:00~16:00(5月~8月の土・日・祝日は9:00~16:00)月曜日(祝日の場合は開館)、祝日・国民の休日の翌日休

JAセレサ川崎 ファーマーズマーケット セレサモス 麻生店
http://www.jaceresa.or.jp/ceresamos/
住所/〒215-0035 神奈川県川崎市麻生区黒川172
電話/044-989-5311
営業時間/10:00~18:00(4月~10月)10:00〜17:00(11月〜3月)水曜日・年末年始ほか休

はやしや米店
goo.gl/tguQn1
住所/〒211-0034 神奈川県川崎市中原区井田中ノ町33−4
電話/044-766-2354
営業時間/9:00~20:00 日曜日休

ほか、宿川原「小島米店」さま、稲田堤「樋山米店」さま、登戸「小泉米店」さまほか、多数の方にご協力いただきました。ありがとうございます!


参考文献
『二ヶ領用水400年〜よみがえる水と緑〜』神奈川新聞社(1999)
『かわさき2016』川崎市教育委員会(2016)
『川崎市史 通史編2・3』川崎市(1994・1995)
小塚光治『川崎史話 中巻』多摩史談会(1980)

 

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  • 「平成稲毛米」まで知ることができました。角田益信先生も“田植え唄”を披露できなくて残念がっていることでしょう。

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