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横浜市電が海に沈んだ? 車両の魚礁化計画があったって本当!?

ココがキニナル!

横浜市電廃止後に車両が海に沈められ魚礁にされたと聞きましたが、謎に包まれたままです。名古屋や神戸などの路面電車は画像や映像があったのですが・・・真相は?(C.DAVIDさん)

はまれぽ調査結果!

市電車両の鋼材は魚礁に適すると分かり、県内で乗り物が魚礁化した事例や市電の魚礁化構想が記された書籍はあったが、魚礁化が実現した記録はない

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ライター:紀あさ

電車は魚礁に向いているか、愛知県水産課の見解



魚礁の番組から手掛かりを得た筆者は次に、愛知県の水産課に問い合わせた。

愛知県農林水産部水産課漁港・漁場グループの曽根亮太(そね・りょうた)さんによると、魚礁として海に沈められた名古屋の市電は「1969(昭和44)年~1972(昭和47)年にかけて、毎年20両ずつ、計80両を赤羽沖約5kmの地点に沈め、魚礁としてある程度の効果があったという記録が残っている」と教えてくれた。
 


4年間かけて、80両の名古屋市電が海中に


曽根さんに、名古屋市電以外の電車車両でも魚礁化は可能だと思うかを尋ねると、「鋼(はがね)で出来ており、波浪(はろう)に対して安定した構造であれば適するので可能だと思います」とのこと。

ただ、愛知県では現在、車両などは使わず、海域の波や耐用年数を計算したうえで、メーカーが製作する魚礁を使っているそうだ。

電車を魚礁として利用することはもうないのかキニナる、後日調べてみたところ、国内ではないが・・・
 


ニューヨークでは今世紀になってからも、車両を沈めているそうだ(ロイター 2008/5/17)



神奈川県の魚礁化事例



続いて愛知県での成果をもとに、神奈川県の水産課に問い合わせた。

神奈川県の魚礁を管轄する、環境農政局農政部水産課漁業調整・資源管理グループによると「横浜市電の魚礁化事例は知らないが、神奈川県の魚礁の歴史的資料は、城ヶ島の水産技術センターに行くとある」そう。

では、城ヶ島へ。
 


京急三崎口駅からバスに乗り約30分で到着


「きれいな海」を守り、「新鮮な魚」を提供する水産業の振興を目的とした施設だ。
 


1階の展示ホールは、一般公開されている。カニ巨大


対応してくれたのは、企画資源部海洋資源担当の主任研究員、樋田史郎(といだ・しろう)さん。
 


よろしくお願いします


事前に横浜市電の魚礁化に関する情報を探していることを説明し、そのほか市電でなくとも乗り物の事例などがもしあればと資料の提供をお願いしていたら「市電は見つからなかったのですが」と、樋田さんが示してくれた論文が、こちら。
 


神奈川県の魚礁の歴史は1933年、乗り物(潜水艦)の沈設から始まった!


乗り物といっても、軍艦(潜水艦)なので、市電とはだいぶ用途が異なるが、本来魚礁でないもので、しかも乗り物が「魚礁化」した事例があること、そしてそれが神奈川県内における魚礁の始まりだったというのは興味深い。
 


大磯沖では今も海に沈む潜水艦が見られるという(google画像検索結果より)


樋田さんに人工魚礁についても教えていただいた。

一般に魚礁は、魚を集めて漁獲をしやすくする「集魚(しゅうぎょ)」、稚魚を保護し資源を増やす「増殖(ぞうしょく)」の2つのパターンがある。噛み砕いて説明すると、定住する魚の家や移動し続ける魚が立ち寄れるような場所を作ったり、稚魚や弱い魚が逃げ隠れる場所をつくるかの2つの目的で設置するそうだ。

「集魚」と「増殖」ともに、隠れる場所やすみかになるように穴が多く開いている魚礁が適しており、ほかに移動し続ける魚の「集魚」に対しては、波の流れを変える魚礁が適している。理由は不明だが、岩や魚礁があることで、波の流れが変わると、その周辺に魚が集まるそうだ。
 


勉強になりました!


国内の人工魚礁投入事業は、1954(昭和29)年より国庫補助事業の一端として実施され、神奈川県沖に設置された魚礁の総数は1979年時点で2万5千個を超える。

樋田さんによると、こうした国庫補助事業の場合は予算額も大きいため、廃車利用などは考えがたく、初めから魚礁としてしっかり設計されたコンクリート製のものを使うとのことだった。


魚礁の設置位置と個数(相模湾資源環境調査報告書1979より)※クリックして拡大


このセンターは1912(明治45)年に開設、2012(平成24)年に100周年を迎えており、神奈川県の水産業の歴史をとりまとめた「水産技術センター100年の歩み」がホームページ上に公開されている。事前に「魚礁」を検索してきたところ、キニナル記述があった。
 


1972(昭和47)・1973(昭和48)年度に、鋼製魚礁実用化試験をしたとある


1971(昭和46)年の市電廃止の時期と近く、素材も鋼製。この時期の資料に何か記載があったりしないか尋ねると、資料室へと案内された。

 

一般非公開の資料室


可動棚に水産技術の資料がびっしり


発見! 鋼製魚礁実用化試験の論文


鋼製魚礁はコンクリート魚礁と比べ、優劣をつけるほどの差はないという


市電の事例は見当たらなかったが、「鋼素材は魚礁として使用できる」という愛知県水産課からも聞いた内容を裏付けすることができた。
 


多くの論文をご紹介いただきありがとうございました