横浜「1000ぶら」商店街探訪Vol.34 納涼企画!海風香る金沢センターシーサイド名店会で七福(729)神を勝手に認定
ココがキニナル!
本日7月29日にちなみ、金沢シーサイド名店会の七福(729)人を選定。福禄寿、布袋尊、寿老人、大黒天、恵比寿天、毘沙門天、弁財天を求めて
ライター:河野 哲弥
青果、すし、精肉の各店で固め打ち
打ち出の小づちがシンボルの「大黒天(だいこくてん)」は、農業の神でもあるそうだ。そこで目をつけたのが、名店会のほぼ中央に位置するこのお店。
青果店「まるかめ並木店」外観
横浜産をはじめ、新鮮な野菜や果物がぎっしり
「野菜の新鮮さは、切り口を見るのが一番。角のとがっているものがオススメ」と、店主の迫田彰(さこだあきら)さん。同店のオープンは10年ほど前になるそうだ。
「大黒天」は黒い服をお召しになっていました
「自家製ぬか漬け(140円)」を購入、ショウガのみそ漬けはオマケ
次は、釣りざおにタイがトレードマークで、漁業の神としても親しまれている「恵比寿天」。
鮮魚店がお休みだったので、向かいにあったすし店にお邪魔してみる。
「ひのき寿司」外観と、店主の鈴木正男(すずきまさお)さん
8種類ある手作りおにぎりが人気、「あさり(130円)」にかぶりつく
鈴木さんによれば、同店では俗に「大阪寿司」と呼ばれる押しずしを得意としていたのだとか。しかし、江戸前のにぎりずしの修行を重ね、今では両方を提供している。
鈴木さんの趣味はボーリング、パーフェクトも何度か達成
漁業の神、「恵比寿天」認定
問題なのは「毘沙門(びしゃもん)天」。
武人姿で邪気を払う矛を持ち、武勇を誇るのが特徴だが、そんな人はいそうにないので、狩猟イメージのある精肉店を訪れてみた。
偶然にもご主人の名前は、外山武勇(とやまたけお)さん
ハム・ソーセージなどの加工品はすべて手作り
「ハムに合うから」と、奥さんもパン(270円)をハンドメード
同店の創業は1980(昭和55)年だが、二代目の武勇さんが後を継いだのは、10年ほど前になるそうだ。オススメは「イベリコ豚のソーセージ」とのこと。残金は507円、購入できなくはないが迷っていたところ「300円でいいわよ」との温かい声が。
5枚入り「イベリコ豚のソーセージ」、パンに挟んで食べたかった
そのとき、「これも持って行って」と奥さん、焼き鳥10本ゲット
慈悲の心に感謝、武勇さんを「毘沙門天」に認定
こうして残金207円となったところで、いよいよ最後の「弁財天」に向かう。
30年を経た、人と街の継承
冒頭で、「ゼミ活動の一環として、大学生の運営による喫茶店がある」と書いた。名店会の南西端にある「シーサイドタウンサテライト・ラボ」では、横浜市立大学が中心となり、まちづくりの観点から社会的な実験を行っている。
今年の3月にオープンしたばかり、まだ看板もない同ラボ外観
陣頭指揮を執る、横浜市立大学准教授の三輪律江(みわのりえ)さん
三輪先生はこのラボについて、「ともすると忘れられてしまう『生活の歴史』を形のあるアーカイブとして残し、過去や現在と比較することで、これからのまちづくりに生かしたい」と話す。
例えば、身の回りにある空気。誰もが当たり前と考え、その存在や仕組みを記録していないと、失いかけたときに再生することができない。街の文化も同じこと。今どのような空気を吸っていて、過去とどのように違っているのかがわかってこそ、将来への展望が描けるというものだ。
ソフトドリンク100円を飲みながら、街の未来を共有する
残りの時間と予算をかけて、じっくり話を伺う。残金は7円に
こうした事業は「大学COC事業」と呼ばれていて、同ラボの場合、文部科学省から5年の予算を得ているそうだ。事業終了後、街に必要な存在となれば、そのまま商店会の有志などに継承することも可能。その一方で大学生らは、地域住民と接点を持ちながら、社会人に必要な経験を積んでいる。
「この近辺は都心と違って、施設や住宅の密度にゆとりがあります。同じ事は、東京と横浜にもいえることで、まちづくりの観点からも興味深いですね」と三輪先生。これから行おうとしていることにぴったりじゃないですか。
ということで、学問と芸能の神「弁財天」に認定
かくして「シーサイド七福人」は、金沢区並木の地に定まった。
今後、どのような活躍をするかは、まさに神のみぞ知る。その行く先に、宝船のような幸多からんことを。
ちょっと思ったこと
今回、七福神の企画が無かったとしても、結果として多くの福の神に出会うことができただろう。印象的だったのは、わずか30店舗足らずの規模でありながら、皆さんがキラキラ輝いて見えたこと。おだやかで優しく丁寧で、嫌な気持ちを感じたことが一度もなかった。
街の鎮守、富岡八幡宮が祭られる丘
なんだかんだとゲットしたアイテムの数々
商店街の評価は、ときに売上げや来場者数のような数値で測られることがある。しかし、今回の取材を終えた自分には、それが明らかな間違いであると断言できる。そこに住む人が街を造り、その街が未来を創るのであって、観光地化する必要なんてどこにもないのだ。名前だけのコンサルタントを縛り上げて、無理にでもここへ連れてきたいような衝動を感じた、今回の「1000ぶら」だった。
―終わり―
◆金沢センターシーサイド名店会
http://www.namiki.ne.jp/jii/center/
神々の雫さん
2015年09月03日 13時32分
またまた再読。オープンから35年経てガンバっているお店の数々には、感慨ひとしおです。小、中学生だった弟たちが「センシー」と呼んでいたのを思い出しました。今回、南側からのアングルを改めて見て「結構かっこいいじゃん」と思いました。「並木センシー」は、西側含め「屋根型」がモティーフになっているんだと初めて気づきました。ドイツ風と言って間違いないベーコン&ロースハムを作っているトヤマミートさん(市外からもファンの来客あり)はじめ、各店舗さんが末永く商いを続けられますことを、心から願っています。
神々の雫さん
2015年07月28日 07時43分
今から34年前、ぼくが高校生の頃引っ越してきた「わがふるさと」並木を取り上げていただきありがとうございます。今も、老いた(幸い健康です)両親が住んでいます。「トヤマミート」さん検索でヒットしました。当時は書店、化粧品店、酒屋さんもありましたが、栄枯盛衰は世の習いとはいえ些か感慨深いものがあります。トヤマミートさんでは、スモークが利き脂の乗った「ベーコン&ロースハム」がお勧めです。手作りなので冷凍できるのもgood。