湘南台で見かける赤いバス「ツインライナー」って、どんな人が運転しているの?
ココがキニナル!
藤沢市湘南台駅からでている赤い連結バスがキニナリます!あんなに長いバス運転してる人はどんな人なんでしょうか?(いぶちん☆さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
運転するのは、バスの保有台数で国内最大級を誇る神奈川中央交通社の精鋭。運転技術だけでなく接客にも優れた29名が乗務している。
ライター:河野 哲弥
乗務員に直接お話をうかがえるチャンスが
投稿にあった「ツインライナー」とは、路線バスを運行する神奈川中央交通(本社・平塚市)の一部のバス路線で使用されている、2両式の連節バスのこと。
連節バス「ツインライナー」
さっそく同社に取材を申し込んでみると、本社ではなく、「バスの営業所で、直接乗務員にインタビューしてみては」という申し出をいただいた。
そこで、湘南台駅西口-慶応大学の路線を管轄する、同社茅ヶ崎営業所を訪ねてみることに。
茅ヶ崎市高田にある、同営業所外観
お話を聞けた齋藤さん(左)と、稲川さん(右)
対応いただいたのは、同社広報の齋藤さんと、乗務員の稲川さん。まずは、「ツインライナー」の導入背景から、うかがってみることにしよう。
新たな公共交通システムの必要性
齋藤さんによると、「ツインライナー」導入のきっかけは、小田急線湘南台駅の乗降客の増加にあったという。同駅は1999(平成11)年、横浜市営地下鉄と相鉄いずみ野線の両線が乗り入れしたことにより、乗降客数が約10万人へと倍増することになったそうだ。
湘南台駅前のバスロータリーの様子
これにより、バスの利用客も増加。慶応大学へ向かうバス停などを中心に、時には250人ほどの列が出現してしまう結果に。また、駅周辺では、マイカーなどによる渋滞が、深刻な問題となってきたらしい。
そこで2003(平成15)年、神奈川中央交通社と、国土交通省、神奈川県、県警察本部、慶応大学、藤沢市が中心となり、文字どおり産・官・学による「新たな公共交通システム導入検討委員会」が設けられることになった。
「新たな公共交通」の概念図(神奈川中央交通のサイトより)
赤色の路線が、「ツインライナー」の運行経路(同サイトより)
同委員会で検討されたのは、大量輸送が可能な新型車両の投入と、バスの現在位置がリアルタイムで把握できる「バスロケーションシステム」、公共車両を優先して信号をコントロールするシステム「PTPS(Public Transportation Priority Systems)」などの導入だった。
また、基幹となる路線へ接続する、「支線バス」と呼ばれる小型のバス路線を設け(上図青色の路線)、地域全体の交通利便性を底上げする試みも盛り込まれた。
こうして2005(平成17)年、湘南台駅西口-慶応大学間に、「ツインライナー」の運行が実現した。
車両は、いくつかの候補の中から、当時ドイツで運行していたネオプラン社製のものを採用。全長17.99メートル、定員129名。これは、東京メトロ丸ノ内線の1車両と、ほぼ同じ長さ・定員なのだという。ちなみに、同社で使用している通常のバスは、定員70名前後のものが多いそうだ。従って、人員にして約倍の輸送量が可能となった。
「ツインライナー」のスペック(同サイトより)
当時ドイツから運んだ「ツインライナー」は、一度大阪港に陸揚げされたそうだ。ところが、このような車両は当時、高速道路の走行ができなかった。そこで、約12時間をかけて一般道を走り、茅ヶ崎営業所に到着したとのこと。
そんな「ツインライナー」だが、現在では、この路線のほかに厚木地区と町田地区で、それぞれ4台、藤沢地区の4台と合わせて合計12台が運行しているそうだ。
では、いったいどんな人が運転しているのだろう。他のバスと違った難しさなどはあるのだろうか。
引き続き稲川さんに、その辺の事情をうかがってみることにしよう。