中区の「メリ~ゴーランド研究所」が開発した、移動式メリーゴーラウンドとは?
ココがキニナル!
中区に「メリ~ゴーランド研究所」というものがあり、移動式メリーゴーラウンドの1号機を完成させたそうです。どんなものか気になります。設立の経緯なども。(maniaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
高さ・直径とも約3メートル、3匹の馬が回転する組み立て式メリーゴーラウンド。子どもたちに夢を与えたいと、商業美術の制作会社が2012年夏に完成させた
ライター:河野 哲弥
遊園地の定番、メリーゴーラウンドの製作現場へ
スピードやスリルが求められる時代の中で、旧来のままの姿を保ち続けているのが、メリーゴーラウンドではないだろうか。音楽に乗って回り出すきらびやかなイルミネーションは、ほかのアトラクションにはない、ハートウォーミングなひとときを演出してくれる。
そんな夢のある遊具が名前に付く、「メリ~ゴーランド研究所」という施設が、横浜にあるらしい。住所をもとに現地に向かってみると、本牧の住宅街の中に、1軒のアトリエのような建物が出現した。
横浜市中区にある「メリ~ゴーランド研究所」外観
一体どのような業務を行っているのだろうか、投稿にあった移動式メリーゴーラウンドの詳細とともに、そのきっかけなども伺ってみることにしよう。
入院がきっかけで、夢のある仕事を手がけるように
取材に応じていただいたのは、同研究所の所長を務める、寺道健一朗さん。なお正式名称は「スタジオ カルーセル」といい、広告・美術の制作などを手がける有限会社エトルスコの第2スタジオとして、2011(平成23)年に開設したのだそうだ。
「メリ~ゴーランド研究所」や「スタジオ カル~セル」などの名前には「~」が使われているが、これは遊具が上下に動く様子を表わした、同社のこだわりなのだとか。
本業は、電車の車両広告などで見かける、立体形成POPなどを手がける仕事
ところが開設後間もなく、寺道さんは体調を崩し、入院してしまった。病床の中で思ったことは、「今までの仕事は、言われたことをこなすばかりで、自分から仕掛けるようなことは何もしてこなかった」という、反省にも似た思い。
そこで思いついたのが、子どもたちに夢を与える「移動式メリーゴーラウンド」なのだそうだ。寺道さんは、「本牧は、かつての根岸競馬場に近く、地名にも牧場の『牧』の字が使われているほど、馬に関係の深い街。今考えると、偶然にひらめいたのかもしれません」と話す。
こうして2012年夏、「移動式メリーゴーラウンド」が完成
上下動も可能な3基の木馬は粘土製で、正しくは「木馬」とは言えないのだが、200キロまでの重さに耐えられるそうだ。また、造る過程においても木は削ったらそれまでだが、粘土ならバランスを考えながら動きを微調整することが可能。重さが軽くなるのもメリットなのだとか。
もちろん、POP成形のひな型造りで培われた粘土の造作技術があったからこそ、ここまで精密なディテールが再現可能だった。
正式なスペック表、高さ・直径とも約3メートルとなっている
土台は、搬入時には6分割することが可能で、1日あたりの貸出料金は15万円(搬入費用・電気代など除く)。施設のオープニングイベントや各種催事など、現在、月に1度程度の出番があるらしい。
同研究所の業務は、これだけなのだろうか。寺道さんによれば、ちょうど取材日翌日、納品予定の商品があるというので、見せていただくことになった。