緑区三保町にある謎の円筒状の巨大な樽らしき物は何?
ココがキニナル!
横浜市緑区三保町にあるレモンガスの会社の斜め前に、直径3mぐらいの円筒状の巨大な樽らしき物が6~7個並んでいる。一体何?レモンガスの施設の一部?中には何が入っているの?(アヤムポップさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
レモンガスとは無関係の施設。巨大な樽らしき物は廃棄物処分場を通過した浸出水を浄化するための槽で、中にはろ過前の浸出水や浄化した水が入ってる
ライター:細野 誠治
まずは現場に行ってみよう
大仏やタンカー、高層建築などドデカいものに、ときめいてしまうライターの細野誠治です。
はい、来ました! ソソられる投稿。調べてみよう!
今回のこのキニナル、いただいた文面だけでは、よく分からない。まずは現物を見てみよう。
場所は横浜市緑区三保町(みほちょう)。ネットの地図で検索すると最寄りは横浜線と市営地下鉄グリーンラインの交差する中山駅。そこからさらにバスで向かう。
中山駅前のバスロータリーから「52、53系統」乗車
最も近いバス亭は「三保市民の森」バスに揺られて20分ほどで到着。
最寄りの「三保市民の森」。バスを降りたのは筆者ただ一人だった
辺りはこんな感じ
レモンガスの外観
バスの進行方向沿いに歩くこと約2分。 呆気ないほど簡単に問題の施設は見つかった。
ん? コレじゃないか?
あたりは人通りの少ない、山と農地が広がる場所。そこに突然、フェンスで囲まれた区画が出現する。投稿にあった通り、樽というか円柱状のものが大小合わせて7基置かれている。これは確かに「何だろう」と思ってしまう。
レモンガスとは少し離れている。しかし、近隣はほかに施設がないため、投稿にあったように「レモンガスの一部なのか」と思えてしまう。
青で統一されたタンク。大きいものが3基、小さいものが4基ある
タンクの中身は何だろう? カメラの望遠を使うが、目隠しがされていて望むことが叶わない。投稿にあった様に、ガス関係のシロモノなのかしら。
フェンスの正面口を探して道を折れてみる。すると・・・。
途中、「苛性ソーダ」や「硫酸」の文字が・・・
正面ゲート発見。ん?
こ、これは・・・
横浜市資源循環局「川井排水処理施設」とあるプレートを発見。
下見で判明! そして・・・
「 レ モ ン ガ ス 、 関 係 な し っ ! 」
「排水処理施設」と思いっきり書いてある。そこで、横浜市資源循環局にアポイントを取ることに。
横浜最古の排水処理施設!
大型台風をやり過ごし、ようやく取材ができたのは下見から一週間後。
この「謎」の施設を管理する、横浜市資源循環局の鹿島昭彦氏に話を聞いてみた。
適性処理計画部 処分地管理課 排水管理係、係長の鹿島昭彦氏
開口一番「レモンガス、関係ないんですよね?」と鹿島氏に聞いてみる。
「はい。こちらは横浜市が管理する施設です」
うん、スッキリした。
今回の調査、排水処理施設ということは分かったものの、どうしてこの場所に、そしてドコからやってきた排水を浄化するのだろう? そんな質問を、ぶつけてみた。
「こちらは横浜市の旭区、上川井町にあった一般廃棄物処分場(1969<昭和44>年から1972<昭和47>年まで稼働。現在、処理施設は埋め立てが終了している)から、埋め立て地を浸透した雨水などの浸出水を浄化するための施設です」と鹿島氏。
この排水処理施設は、処分場内に降った雨が、ごみ層を通過し浸出水として集まった水を浄化するべく、1972(昭和47)年の9月より稼働したものなのだそう。
高さ4.3メートル、直径12メートル! 容量500立法メートル! デカい!
1972(昭和47)年! 筆者と同い年だ。
「ちなみに横浜市で管理している、現存する最も古い排水処理施設です」
(ショックだ・・・)
説明によると、廃棄物処分場から浸出水が出てくることは折り込み済みで、処分場に合わせてこの排水処理施設は作られたという。
当時はまだ、ごみの分別などが行われていなかった時代。生ごみやプラスチックなど家庭から出た、あらゆる、ごみが混在して捨てられていた。そんな廃棄物の埋め立て地から出た浸出水を浄化する、大切な施設なのだ。
埋め立て処分が終わって40年以上。いまだに浸出水を処理し続けているのか・・・。
筆者のこの懸念、鹿島氏によると「あくまで鉄分を多く含んだもの」だそうで、元々の土壌の性質もあるのだが、数年後には浄化をしなくとも何ら問題のないレベルにまで持って行けると思われるそうだ。
鹿島氏の説明が続く。
「上川井町の、ごみ処分場の浸出水は地下の集水管を通って、この場まで運ばれ浄化・処理し排水として近くの河川(梅田川)に流しています」
論より証拠。実際の手順を見せて頂こう。