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緑区三保町にある謎の円筒状の巨大な樽らしき物は何?

ココがキニナル!

横浜市緑区三保町にあるレモンガスの会社の斜め前に、直径3mぐらいの円筒状の巨大な樽らしき物が6~7個並んでいる。一体何?レモンガスの施設の一部?中には何が入っているの?(アヤムポップさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

レモンガスとは無関係の施設。巨大な樽らしき物は廃棄物処分場を通過した浸出水を浄化するための槽で、中にはろ過前の浸出水や浄化した水が入ってる

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ライター:細野 誠治

キレイにしてゆく過程



敷地の地下まで流れてきた浸出水を、まずは敷地一番奥の3基あった大きなタンク「第3曝気槽(ばっきそう)」に貯蔵する (曝気槽とは、排水処理の過程で、空気を吹き込み、処理するタンクのこと)。
 


敷地内の大きなタンクが曝気槽
 

引き込まれた浸出水。ここではグレーがかった色だ


この水を引き上げて曝気槽へ。
 


曝気槽内の様子


3基ある曝気槽のうち、現在稼働しているのは1基のみ。
残り2基は動いてはいない。ここまで浸出水は減ってきている。

ごみ層を通ってきたこの浸出水は鉄分を多く含んでいる。空気に触れて酸化したことで茶色の液体になる。タンク上部に立つと、敷きたてのアスファルトのような匂いがする。鹿島氏曰く、鉄の匂いだそうだ。

ここで汚泥を沈殿させ、上澄みを4基あった一回り小さいタンク(沈殿槽<ちんでんそう>)へ移す。
沈殿槽とは、汚水に含まれている浮遊物を沈澱除去させるための槽。
 


こちらが沈殿槽。これだけで、かなりキレイになった


ちなみに直径7メートル、高さ3,6メートル。こちらもデカい!

沈殿槽に移された浸出水に硫酸アルミニウムを注入。これによって汚れ(鉄分)同士がくっ付き、汚れが更に沈殿してゆく。

再び上澄みを隣の凝集沈殿槽(ぎょうしゅうちんでんそう)というタンクに移し、今度は「高分子凝集剤」を投入。凝集沈殿とは、水中の微細な浮遊物質を凝集剤により汚れを凝集させること(この集まった汚れを「フロック」というそうだ)。

汚れが沈殿していく様子を、わかりやすく見るため、浸出水をくみ上げてもらった。
 


くみ上げられた浸出水。 鉄分を含んで薄い茶色をしている


上記写真の浸出水に硫酸アルミニウムを投入し、数十分が経過すると下の写真のように、オレンジ色のフロックができ、沈殿してゆく。
 


澱(おり)状のオレンジ色のものが、フロック(汚れ)。


ここまでの行程で2日半以上を費やす。フロックを取り除き、ようやく河川に放流する。この時点でpH(水素イオン濃度“指数”)数値が5.8〜8.6。
河川等への放流が認められる国の基準数値(ほかの水質項目も)を大幅に下回っている(廃棄物の処理及び清掃に関する法律の排水基準)。

「横浜市は、国の基準よりも厳しい基準(横浜市生活環境の保全等に関する条例)で排水を行っているんです」と鹿島氏。
(横浜市さん、ありがとう!)

最後に、キレイになった水を放流しているところを見せてもらった。
 


浄化された水。


飲料にはできないが中水道(トイレ排水など)レベルのキレイな水
 


地下管を通り、河川へと合流してゆく


放流されてゆく水は、少し濁りがあるものの、まったくの無臭。
地下管へと続くシンクには、水中に住む昆虫の姿も確認ができた。
「ちょうど今の季節になると、トンボがここのシンクで産卵をしているんですよ。・・・すぐに流されちゃうんですけど・・・」
「・・・・・・・・・」 

生き物が、何ら問題なく暮らせる水になっているのだ。
(トンボ、しっかりしろ!)

水はキレイになった。では集めた汚れはどうするんだろう?
取り除かれた汚れ(フロック)は月に二度、汚泥運搬車によって南本牧にある最終処分場に運ばれるのだ(一ヶ月でおよそ20立方メートルの廃棄物が出る)。
 


この日も回収車が来ていた

 


取材を終えて



「これは一体、何だろう?」
疑問を紐解いてゆく作業のなかで普段、人の目に触れることのない場所へ行き、話を聞くことが好きだ。
今回の調査でも、新しいことを知って、大切な作業に感嘆して、それに携わっている人たちを尊敬することができた。

ごみ処理、そして処分場から出る浸出水の処理問題と「好奇心」だけでは到底踏み込めないほど重要な事項だとは分かっている。
この川井排水処理施設の運営には年間約400万円の税金が投入されているという。 だからこそ知って、考えたいと思う。

40年を経ても消えない浸出水をどうするか? これからの、ごみ問題はどうするのか? どう減らせばいい? 世の中は急には変わらない。変えるのはただ、地道な日々の一歩。

そんなものが見えた取材だった。
(この施設、小学校の社会科見学にピッタリだと思うな〜)


―終わり―


川井排水処理施設
住所/横浜市緑区三保町567番地
 

この記事どうだった?

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  • 毎日子供の送り迎えで通り、横目で見ては『何だろう・・・』と思う日々から開放されました。これで、子供の『なあに?』にもようやく答えることが出来ます。調べて頂き、ありがとうございました。

  • 当方、週に2回は通る道・・・テッキリ、前の「レモンガス」と思っていました(笑)これでスッキリ・・・

  • フロックが月に2度 汚泥運搬車によって南本牧にある最終処分場に運ばれて、どのように処理されるかが気になる!

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