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横浜でも相次ぐ「誤表示」。消費者の舌で分からないのか?

ココがキニナル!

相次ぐ「誤表示」問題を横浜市内の小売店や消費者はどう思っている? 本当に素人は見抜けないのか?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

小売店は報道に疑問を持ち、消費者は不安や怒りを感じている。なお、実際に調査したところ、素材の味だけであれば、素人でも違いが明確に分かる。

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ライター:はまれぽ編集部

横浜の主なホテルは調査を実施



ホテルや百貨店などで相次ぐ食品の「誤表示」問題。はまれぽでは、横浜市内でレストランやビュッフェ形式で食事を提供している主要ホテルに対し、社内のチェック体制について独自の聞き取り調査を行った。また、特に多かった「ステーキと牛脂注入加工肉」と「芝エビとバナメイエビ」の違いを調査してみることにした。

はまれぽの独自調査によると、横浜市内に系列を持つ14のホテルのうち、多忙を理由に取材に応じてもらえなかった1件以外は「調査中」もしくは「調査完了」とのことで、11月8日時点での新たな問題発覚はなかった。
 


横浜市内主要ホテルの主な対応
<クリックして拡大>


「ブリーズベイホテル リゾート&スパ」では1996(平成8)年の開業以来、総料理長が厳正なメニュー管理をしており、誤表示はないという。
 


ブリーズベイホテル


「横浜グランドインターコンチネンタルホテル」は10月22日に阪急阪神ホテルの「誤表示問題」が発覚して以降、社内独自のメニューガイドラインを作成し、対策に取り組んでいる。
 


新基準を設けた「横浜グランドインターコンチネンタルホテル」


また、2013(平成25)年6月に系列の品川プリンスホテルで誤表示問題が発覚した「新横浜プリンスホテル」は再発防止に向けた取り組みをしている最中で、「調査だけで終わるのでなく、基準を順守する体制を継続していく」とした。



「素人じゃないんだから・・・」。個人小売店からは憤りの声



消費者が直接食材を買い求める小売店、特に個人経営の精肉店や鮮魚店などからは憤りにも近い声が上がっている。

横浜市内の鮮魚店によると、「誤表示」が多かった食材の一つ「芝エビ」と「バナメイエビ」の違いは明確だという。「芝エビ」は殻の部分に斑点があるのに対し、「バナメイエビ」にはそれが無い。また、ひげも芝エビの方が長いそう。
 


バナメイエビには殻に斑点がない


業者から仕入れる際はパッケージにはっきりと「バナメイエビ」などと書かれているという。
 


販売している商品パッケージにも「バナメイ海老」
 

鮮魚店の男性は「むき身でない限り、プロの調理人が見たら違いは絶対にわかる。素人じゃないんだから」と厳しく言及した。
 
こうした背景には、仕入れ値が影響しているかもしれない。
「時期やエビの大きさにもよるが、芝エビとバナメイエビでは倍近く仕入れ値が違うことがある。(認識不足という)下手な言い訳をするより『申し訳ありません』と言った方がしっくりくる」と男性は話し、憤りを隠せない様子だった。
 


さまざまな魚介類が並ぶ鮮魚店(写真はイメージ)


また、牛脂を注入した「牛脂注入加工肉」を「ステーキ」として提供していたことについて、精肉店の店主は「考えられない。日々お客さんと顔を合わせる小売り、特に個人商店がそんなことをやったら店を畳まなければいけない」と話す。

消費者目線での判別方法はあるのかどうかを伺うと「私の知っている20年近く前の技術だけど」と前置きしたうえで、「牛脂を注入した牛肉は赤身が鮮やかで、脂の見た目もガラス細工のような感じがする」のだという。

等級によって差はあるものの、豪州産などの牛肉と国産の「霜降りステーキ」とでは仕入れ値が5~10倍違うという。それでも牛脂を注入した「ステーキ」を作るには時間や手間、専用の器材などが必要で「個人店ができるレベルでない。そんなことをするぐらいなら、ちゃんとした国産の霜降り牛肉を仕入れた方がいい」と語ってくれた。
 


取材に応じてくれた見上さん


別の精肉店では、生産者と卸売業者から個々の小売店に届くまでの間に入っている「加工業者」が牛脂注入を行っているのであれば防ぎようがないと言い、「そういった加工業者と付き合いがあるところが(『牛脂注入加工肉』を『ステーキ』として)提供しているのでは」と見解を話してくれた。

肝心の牛脂注入加工肉の味については、海外産の牛肉であれば「肉質で分かる」とのことだが「ある程度の等級の国産牛に(牛脂を注入)されたら分からないと思う。まして、レストランで凝ったソースをかけられたらなおさら」とのことだった。

直接口にする消費者はどのように感じているのだろうか。街行く買い物客に話を聞いたところ、30代の夫婦は「『非日常』を味わいにホテルに行くのに、そんなものを出しているのかと思うと、怒りしかない」という厳しい意見が寄せられた。
 
70代主婦は「日常使いの食品にも(「誤表示」が)あるかもしれないと疑ってしまう。孫と一緒に食事をするし、安全で安心なものを食べさせてあげたいから、とても不安に思う」と話していた。
 


消費者が疑って買い物するような店では悲しい(写真はイメージ)