災害に強い人づくり!横浜市の「防災ライセンス事業」ってなに?
ココがキニナル!
横浜市の防災ライセンス事業はいい取り組みだと思いますが、市民でないと講習が受けられません。横浜在勤や横浜で活動する団体にも対象を広げる予定はないのでしょうか?(ちぐささんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
災害時における応急活動のリーダーを育成して地域防災力の向上を図ることが目的で、横浜市民以外も講習は受けられるが、備蓄資機材は各自治体で異なる
ライター:はまれぽ編集部
横浜防災ライセンス事業とは?
万が一、大地震が発生した時、自分の身を守るのは日ごろの備えと地域の助け合いが重要となる。横浜市では震災発生時、被害を少しでも軽減するために独自の取り組みを行っている。
今回のキニナル投稿にある「防災ライセンス事業」とは、いざという時、小中学校など市内に454ヶ所ある「地域防災拠点」に備蓄してある防災用の資機材を適切に取り扱うことができる技術を市民に習得してもらおうというもの。
受講は無料で、受講者には「横浜防災ライセンス証」が交付される。
実際に交付される「横浜防災ライセンス証」
さらに詳しい話を聞くために、横浜市総務局危機管理室危機管理課の佐々木優(まさる)防災拠点・帰宅困難者対策担当係長にお話を伺った(写真はNG)。
防災関係の取材でお世話になっている危機管理室
佐々木担当係長によると、事業は、もともと地域防災拠点に備蓄してあった防災資機材の取り扱い方法をより多くの市民に知ってもらい、災害の発生に備えようという主旨で2004(平成16)年度から市職員のアントレプレナーシップ(起業家精神)事業での提案から始まったもので、これまで(2012〈平成23〉年 度末時点)に延べ6113人が受講した。正式名称は「横浜防災ライセンス」というそう。
ライセンスには、移動式炊飯器や仮設トイレと いった避難生活に必要な資機材を取り扱う「生活資機材取扱リーダー」、レスキュージャッキや発電機、投光器などの救助活動に必要な資機材を扱う「救助資機 材取扱リーダー」のほか、各ライセンスリーダー講習会で市民を指導する「資機材取扱指導員」の3種類がある。
「資機材取扱指導員」の講習会を受けるには、「生活資機材取扱リーダー」と「救助資機材取扱リーダー」の両方を受講する必要がある。
ライセンスごとに証明書が異なる
受講者は災害時、防災拠点に備蓄してある資機材を率先しての取り扱うことで防災活動などのリーダーとして地域防災力の向上に寄与することが求められる。
しかし、最寄りの防災拠点にリーダーがいないなど、地域によって取得者数にばらつきがあるそう。
このため、市では454ヶ所の各地域防災拠点に10名以上のライセンスリーダーを確保できるよう、消防などの関係機関と協力して人材育成に注力している。
投稿にあった横浜市以外の人でも受講できるかという点について、佐々木担当係長によると、「基本的には受講可能です」とのこと。
ただし、「いざ災害という時のため横浜市が備蓄している防災資機材の取り扱い方法について、皆様に身につけていただき、災害時の応急活動や平常時の防災訓練の場でのリーダーとなる人材を養成して、地域防 災力の向上を図ることを目的としている講習会ですので、講習内容が受講された(市外の)自治体で備蓄している防災資機材に活用できるかは分かりません」と いう。
また、市外の人にはライセンス証の発行もしていないとのこと。
ライセンス事業の内容が分かったところで、実際にどういう講習が行われているのか。講習の内容を見せていただいた。
講習会の様子は?
講習は毎年各区で1回ずつ(中区と西区は合同)17会場で実施し、16歳以上のを対象に市の広報などで参加者を公募している。
「生活資機材取扱リーダー」「救助資機材取扱リーダー」ともに3時間の講習だが、12月8日(日)に南区の市立日枝小学校・共進中学校で行われた講習会には定員の30人を大幅に上回る65人が参加した。
早朝から多くの参加者が集まった講習会
磯子区岡村西部第3自治会・防災部のメンバー4人で参加したグループは、「自治会には500世帯以上あり、こういった防災の知識を持った人が一人でも多くなってくれればと思い参加した」という。