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三崎港付近にあった幻の「マグロード」はどこへ?

ココがキニナル!

以前、三崎港に行ったときマグロードという通りがあったんですが、最近同じ場所に行ったらなくなってました。当時は「マグロード」と看板も出てた気がしたんですが、調べてください。(きょろちゃんさん)

はまれぽ調査結果!

1985年に大沢屋スポーツ店の店主大谷さんが命名した。三崎銀座商店会・入舟すずらん通り商店会・日の出通り商友会の愛称だったが看板はもうない

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ライター:細野 誠治

三浦の崎(みさき)、三崎口。マグロが集まる三崎口



三崎と言ったらマグロ!
 


まぐろ、マグロ、鮪!


マグロと虎舞竜・・・ではなく道を表すロードを組み合わせたと思われる「マグロード」。投稿によると、そんな名を冠した通りがあったらしい。そして現在は無いとか。なぜ無いのか? 街の体を表した、いいネーミングだと思うんだけど。

・・・というワケで三浦市は三崎口(三崎港)へ行って真相を確かめることに。
「マグロード、ご期待ください!」
 


京急久里浜線の終着駅「三崎口」へ
 

駅構内から、すでにマグロ尽くし
 

三崎港へは駅前ロータリーの2番乗り場からバス(三崎口)で


20分ほどバスに揺られると三崎港へ到着。この辺りがマグロでにぎわう一大観光スポットとなっている。
 


目の前は港、そして海
 

お店の看板もマグロだらけ
 

三浦市三崎水産物地方卸売市場でマグロの競りを見学


取材日はあいにくの雨。が、この日、素晴らしいものに出会えた。
 


三崎の鎮守・海南(かいなん)神社でのこと

 

伝統舞踊の「チャッキラコ」


地元に伝わる、女性だけの小正月行事で250年以上の歴史がある。
国指定重要無形民俗文化財であり、ユネスコ無形文化遺産登録もされている非常に由緒あるもの。

毎年1月15日に少女たちが舞い、その母と祖母らが素唄で繰り広げられる様は地元や遠方、海外からも観光客が訪れるそうだ。

すごい。3代に渡って紡がれる伝統舞踊が今も残ってるなんて。
三浦って、いいところだな~。
 


・・・なんて、ちゃっかり観光を堪能する筆者




マグロードを探せ! Part-1(聞き込み編)



さて問題のマグロード。一体、どこにあるのだろうか?
港周辺で聞き込みをするが、なかなか知っている方に出会えない。

そんな中、ようやく「あぁ、マグロード」とおっしゃる方に出会えた。
 


榎本光博さん。68歳
 

三崎銀座商店会の洋品店、創業1935(昭和10)年の「榎本商店」のご主人


「この辺りが“マグロード”ですよ」と榎本さん。
 そうなんですか? マグロードと書かれた看板が昔、あったそうなんですが。

「看板が古くなってね、街灯を取り替えたときに捨てちゃったな」と。
 


街灯に取り付けられたプレートに書かれていたそうだ


街灯の付け替えは今から5~6年前(2009<平成21>年くらい)。
電球タイプのものからLED照明にしたときに「マグロード」の看板を捨ててしまったという。

もったいない! すごくいい名前だと思うんですけど。

「マグロード」の始まりは30年前。1985(昭和60)年。
当時、通りのアスファルトをカラーのブロック舗装にしたことによる。
 


凸凹で歩きにくいからということで・・・


その翌年、1986(昭和61)年に街灯を設置する。この舗装化、街灯の設置は隣接する3つの商店街が協力して行われた。
3つの商店街は「榎本商店」のある「三崎銀座通り商店会」とお隣り「入舟すずらん通り商友会」、さらにそのお隣りの「日の出通り商友会」。
 


こちら「入舟すずらん通り商友会」
 

そして「日の出通り商友会」
 

三崎港・北条湾から1本入った通りに3商店街があります


この3商店街がひとつになって「サンロード」という名に(サンロードのサンは「太陽の元」という意味と、数字の3から来ている)。

この「サンロード」という名を街灯のプレートに刻むことに。
・・・が、ここで当時、入舟すずらん通り商友会の「大沢屋スポーツ店」の店主・大谷浩一氏が「サンロードじゃ味気ない。もっと何かいい名前はないか?」との声から「マグロード」という名が誕生する。
 


かつてこの場所に「大沢屋スポーツ店」があった


「三崎と言えばマグロだし、マグロと通りのロードで“マグロード”でいいんじゃないか?」

これが始まり。

なるほど~と感心していると「和菓子屋の嶋清(しませい)さんならもっと知ってるかもよ」と教えていただく。
榎本さんにお礼をして次の店へ。
 


菓子の老舗、創業1853(嘉永5)年は162年前! 「嶋清」
 

ご主人の秋本清道(きよみち)さん。64歳


こちら秋本さんは三浦市商店街連合会の専務理事。
これは心強い! 何か知ってらっしゃるかも。
「マグロード? あぁ、この辺りな」
 3つの商店街を指す呼び名なんですけど・・・。
「何とな~く付けただけだよ。商店街でも知ってる人間なんかいないよ。観光のお客さんなんかはもっと、認知度は少ないね」
 いや、読者さまからの投稿なんですが・・・。
「あっ、そうなの!?」

秋本さん、びっくり。

それでも話しているウチに段々と思い出されたようで。
「そういえば通りを示した案内の看板もあったな・・・」
 どこにあるんですか!?
「錆びて壊れて、捨てちゃった」

細野、びっくり。
 


駅前にある案内表示。こんな感じだったんだろうか


がっかりしていると秋山さんから「向かいのお店にいる杉山さんは古い写真を集めててね、ことによると写真に撮ってるかもよ」と教えていただく。

何だかロールプレイングゲームのように。
秋本さんにお礼をして次のお店へ。
 


第3の証言「Sugiyama(杉山洋品店)」さん。レディースファッションのお店
 

お隣りを無料スペースとして解放している。お近くの方はぜひ


創業から100年以上の歴史があるSugiyama、オーナーの杉山匡子(きょうこ)さん(年齢とお写真はNG)に取材目的をお話すると、古いお写真を見せていただくことができたのだが、こちらでもマグロードの手がかりは得られなかった。
それでも大変に貴重なお写真が見れた。少しだけ掲載。
 


昭和初期と思われる、当時の三崎港
 

左から1929(昭和4)年、1930(昭和5)年の市場の様子
 

1964(昭和39)年ごろの“マグロード”
 

同じく1964年ごろのにぎわう“マグロード”


すごいにぎわいだ。

かつて三崎港はカツオの水揚げで有名な港だったそうだ。やがてカツオの漁獲量が減るとマグロへとシフト。そして現在、マグロの水揚げ量も減少しているそうだ。

三崎港近くにあるお店は、ここマグロードを含め大変に歴史が深いお店が多く、創業が100年を越える店がたくさんある。
多くは元々、入港した船の乗組員たちを当て込んだ宿や食品、雑貨や作業服、釣り具といったものを扱っていたとか。それが時代を経てさまざまな業種へと変わっていったのだ。
 


1957(昭和32)年の港前。写真に見える酒屋さんは現在もある


万事休すか。
「商工会議所に行ってみたら」と匡子さん。
「その間にマグロードに関係あるものを探しておくから」とも。

ありがとうございます! 確かに商工会議所なら記録があるのでは。
 


マグロード目の前、三浦商工会議所


事務局長の堀越英一さん(お写真はNG)を訪ねるも・・・。
 


カラー舗装、サンロード命名の記述はあるも「マグロード」はナシ


終わった・・・。
キニナル調査が、きっちり終わった。