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横浜生まれの日産自動車、神奈川区のクラシックカーも見られる「日産エンジンミュージアム」に突撃!

ココがキニナル!

神奈川区守屋町に日産自動車エンジン博物館があります。日産自動車発祥の地ともいわれ、クラシックな工場事務所の建物とエンジンなどにまつわる展示物などを取り上げてください。(1945ashizawaさん)

はまれぽ調査結果!

「日産自動車 横浜工場ゲストホール」そして併設された「日産エンジンミュージアム」は、名車のエンジンや歴史的価値ある建物の両方を楽しめる。

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ライター:吉澤 由美子

日産自動車は横浜生まれの自動車メーカー。今も横浜市やその周辺にたくさんの工場を抱えているが、神奈川区宝町にある横浜工場はちょっと特別な工場だ。横浜工場は日産自動車の発祥の地であり、今もエンジンを作っている場所でもある。

その横浜工場には、エンジンに特化した博物館「エンジンミュージアム」があって、しかもその建物は横浜市に残る唯一の戦前期に建てられた工場事務所ビルという貴重なもの。

そこで、歴代のエンジンや歴史、そして建物の魅力を探りに日産自動車横浜工場に向かった。
 


ゲストホール2階に展示されていた、昔の横浜工場ジオラマ

 


なぜエンジンのミュージアム!?



JR、京急の新子安駅から海に向かい徒歩17分ほど、大きな工場を抜けた先に日産自動車横浜工場がある。

目指す建物は、ゲートを入ってすぐ右にあり、通りからもよく見える。建物自体の名称は「日産自動車 横浜工場ゲストホール」。「日産エンジンミュージアム」はその中に併設された博物館だ。

案内してくださったのは、日産自動車株式会社の横浜工場ゲストホール・日産エンジンミュージアム学芸員の前田博正(まえだ・ひろまさ)さん。
 


日産エンジンの生き字引、前田さん

 
前田さんは、もともと日産自動車のエンジン開発設計部門でチーフエンジニアを務めていた方。このミュージアムには自分で設計したエンジンがいくつもある。

最初に伺ったのは、なぜエンジンのミュージアムなのかということ。

「歴史的に意味のある建築として横浜市や経済産業省の認定をいただき、建物は横浜工場においでになる方を迎えるゲストホールとして残すことになりました。来ていただいた方に見てもらう展示をエンジンに絞ったのは、横浜工場がエンジンを作り続けている工場だということと、スペースの問題も当然ありました(笑)」

「それに、日産は創業当時からエンジンの頑丈さや優れた性能を認めていただくことが多かったんですね。それも理由のひとつです」と前田さん。
 


柱の上部や梁、天井から下がるライトがクラシカルな雰囲気

 
エンジンミュージアムは、2003(平成15)年3月、横浜工場のゲストホールオープン時に開設された。

エントランスホールでまず目を惹くのは、車とエンジンの仕組みが分かる実物大のカットモデルや映像のコーナー。
 


エンジンによって車が動く仕組が分かる展示

 
そして柱の側には、横浜工場で作られているエンジンが展示されている。
 


柱を挟むように、エンジンの展示

 
特に人気があるのは、GT-Rのエンジン。流れ作業ではなく、1台すべてを選ばれた職人が一人の手作業で組み立てているのだ。
 


選ばれし匠だけが組み立てることができるGT-Rのエンジンの美しいフォルム
 

エンジンには組み立てたメカニックの名前が記されたプレートがついている
 

こちらは2015年モデルのNISSAN GT-R(写真提供:日産自動車)

 
「匠と呼ばれている職人のメカニックが5人います。1台組むのにラインでは2時間程度ですが、手作業では約4時間(下準備を含めると8時間)、テストは約1時間をかけます。大量生産だけを行っていると、エンジニアの高い技能レベルを保つことが難しくなってしまいますが、手作業を残すことで全体のレベルも上がるんです」と前田さん。

エントランスホールで現在のエンジンを一通り見たら、いよいよ奥にある「エンジンミュージアム」へ。



歴代の名車のエンジンが並ぶミュージアム



ミュージアムに入ると正面にピカピカのクラシックカーが展示されていた。これは日産自動車が1936(昭和11)年に量産していた小型車「ダットサン15型ロードスター」。
 


クラシックな内装にクラシックカー。隣にはレーシングカー用エンジンが並ぶ

 
「当時の日本の道は狭く、ほとんどが未舗装でした。そうした実情に合わせて車全体を小型化し、土埃などが多くても壊れない頑丈なエンジンを積んだことで好評を博しました」と前田さん。

ダットサンは「脱兎号」という愛称を持っており、そのためフロントにウサギのフォルムをしたボンネットマスコットがついている。
 


美しいウサギのボンネットマスコット

 
そして、「ダットサン15型ロードスター」に乗っていたのは、「7型」というシンプルな名前のエンジン。
 


世界的に信頼されたダットサンエンジン7型

 
この7型エンジンは、日産自動車の前身「ダット自動車製造」により開発されたものがルーツ。そのため日産自動車としては、最初のエンジンながら7型という名前がついている。

この7型はなんと、1963(昭和38)年まで改良されながら生産されたとか。世界的に「日産のエンジンは頑丈で壊れない」という評価を作った礎のエンジンだ。

7型の並びと向かいには、エポックとなった歴代のエンジン実機が並ぶ。
 


懐かしい車のエンジンを見ることができる

 
特に印象的な色に目を惹かれたのは、「RB26DETT型」。これは、R32型スカイラインGT-Rに搭載されたエンジンだ。
 


ヘッドカバーが赤い「RB26DETT型」は、レースでも活躍したR34型スカイラインGT-Rに搭載
 

こちらがR34 型スカイラインGT-R(写真提供:日産自動車)

 
このエンジンのファンは多く、これだけを目当てに来る人も多い。実物を前に、思わず拝んでしまう見学者も珍しくないそう。

ほかに展示されているのは、サニーやグロリア、フェアレディ、ブルーバード、通称ハコスカの初代GT-R に搭載されていたエンジンなど、懐かしい車に積まれていたエンジンの数々。

壁には7型のベースになったエンジンのパーツも飾ってある。コンロッドが鉄ではなく、より強度が高く軽いジュラルミンで作られている。こうしたこだわりが頑丈なエンジンの秘密だったのだ。そして、これも近代化産業遺産のひとつだそう。
 


日産のエンジンの頑丈さがよく分かるパーツの展示

 
そして、歴代市販車のエンジンの隣には、レースで使われたエンジンが並んでいる。
 


レース用のエンジンは驚くほど大きい

 
日本グランプリで優勝したGRX-Ⅱ型、ルマン24時間に参戦したVRH35Z型、そしてルマン24時間参戦中止で幻となったVRT35型など、レーシングファンにとっては見逃せない展示になっている。
 


1969年に日本グランプリを優勝した ニッサンR382(GRX-II型エンジン搭載)(写真提供:日産自動車)

 
エンジン好き、日産ファンにとって垂涎のラインアップだが、それほど知識がない人でもエンジンの仕組が分かるように、動かして実感できる「ガソリンエンジンの仕組」の展示もある。
 


横のハンドルを回すとピストンが動き、火花代わりに光が点る

 
この展示は前田さんが設計したもの。仕組みが分かることで幼い子どももより面白く展示を見ることができそうだ。

そして、このエンジンミュージアムの後は、建物自体の魅力をご紹介。