相鉄線の旅のお供に、フリーペーパー『相鉄瓦版』って?
ココがキニナル!
相鉄線の券売機のそばに昔からある「相鉄瓦版」。相鉄といえば相鉄瓦版!無料とは思えないほど内容が充実しており毎号楽しみにしています。どんな人が作っているの?(maniaさん、たこさん)
はまれぽ調査結果!
お金を儲けるわけでも、単純に相鉄線を宣伝するわけでもなく、40年間「読者に楽しんでもらおう」という気持ちを込め続けたフリーペーパーだった
ライター:田中 大輔
相鉄線の“旅のお供”として知られる『相鉄瓦版』が、2016(平成28)年3月に創刊40周年を迎えた。
相鉄瓦版は、相鉄ホールディングスが発行している、いわゆるフリーペーパーだ。過去40年間で累計出版部数1625万部を超える冊子が、相鉄線沿線を中心に送り出されてきた。
めでたく40周年を迎えた『相鉄瓦版』
相鉄線の駅を中心に、相鉄グループの施設で配られているこの冊子は、毎号楽しみにしているファンもいるほど。無料ながら高いクオリティーを保ち、40年も続いてきた秘密はどこにあるのだろうか。
時代とともに
相鉄瓦版の創刊号が発行されたのは、1976(昭和51)年の3月。会社のイメージアップという狙いもあって作られたのが、そもそもの始まりだったそうだ。
2016(平成28)年3月までに235号が発行されているが、創刊号から30号までの相鉄瓦版黎明期の発行部数は、3万5000部。もちろん沿線の人口の変化などもあり、単純に比較はできないが、現在では1号当たり10万部を刷るまでに成長を遂げている。
時代とともに成長してきた『相鉄瓦版』
2013(平成25)年以前に発行された『相鉄瓦版』についての残部はなく、閲覧やコピーの対応もできないそうだが、今回は特別にバックナンバーなども含めて紹介してくれた。
過去には、加山雄三さんら著名人がエッセーを書いたり、赤川次郎さん、志茂田景樹さんといった人気作家の書き下ろしが掲載されたこともあった。今では、著名人のインタビューをはじめ、文芸評論や雑学など、さまざまなテーマを毎号特集して紙面を作っている。
黄色い表紙のこの号には、志茂田景樹さんの書き下ろしが
発刊ペースも時代とともに変わり、現在は2月、5月、8月、11月を除く月の1日(1月のみ8日)と、年に8回発行されているが、創刊当初は年4回の季刊で、その後は月刊化された時期などもあったそうだ。
変わらないもの
40年という歴史の中で、時代に合わせてさまざまな変化を遂げながら、相鉄沿線の人たちに愛されてきた相鉄瓦版。しかし、中には40年間変わらないものもある。
例えば本のサイズは、創刊号から現在まで文庫本サイズを貫いている。
40年間変わらない
駅で電車に乗る前に手に取ってもらい、車内で読んでもらう。そして、電車を降りるときにはそのまま持ち帰ってもらう。こういうコンセプトがあるから、B5 版やA4版だと邪魔になりかねない。
その点、文庫本サイズであれば、上着のポケットや女性物の小さなカバンでも簡単にしまうことができ、余計な荷物にはならないというわけだ。
歴代の瓦版。ずーっと変わらずポケットサイズだ
ページ数は創刊当時の40ページから、70ページを超えた時代などを経て、最近は56ページとなっている。ページ数にこそ変化はあるが、ボリュームに対する考え方は「相鉄線で横浜から海老名まで乗った30分ほどで読み切れる」ものというのが基本。
全員が全員、始発から終点まで乗るわけではないが、行き帰りの往復で読み切ったり、家に帰った後のちょっとした合間に読めるという気軽さが売りだ。
気楽に読めるボリュームが嬉しい
また、その内容に「相鉄線やグループ企業の宣伝」という色合いは薄く、あくまで読み物が中心。
相鉄関係のお知らせなどがまったくないわけではないが、メインに据えられることはなくあくまで脇役といった感じ。担当者は「ページ数が変わっても、読み物とお知らせのバランスを変えないようにしてきた」と胸を張る。
もちろん会社の担当者は、人事異動などもあるから、ずっと同じ人ではない。
それでも、そういった相鉄瓦版にかける思いは受け継がれている。本のサイズや内容のバランスといったものと同時に、この本にかける情熱も40年間変わっていない。