防空壕跡? 保土ケ谷の切通しにある埋められた穴の正体は?
ココがキニナル!
保土ヶ谷橋バス停(井土ヶ谷切通し側)のそばの石垣に、大きな穴を埋めたような跡があります。何の跡なんでしょうか?(たろすけさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
戦時中に掘られた防空壕だったが、近隣住民の要望で埋められた。入り口を埋めただけなので、中は空洞になっている。
ライター:小方 サダオ
壁に開けられた四角い穴
キニナル投稿にあるJR保土ケ谷駅近くのバス通り沿いの壁にある穴を埋めた跡とは、何のためのものだったのだろうか。
その正体を確かめるべく、現地に向かった。
埋められた穴がある場所(Googlemapより)
国道1号線を保土ヶ谷橋の交差点で井土ヶ谷方面へと向かう。
国道1号線を井土ヶ谷方面へと曲がる
井土ヶ谷方面へと続く道路
山を囲む壁が現れる
投稿にあった保土ヶ谷橋のバス停
するとバス停の少し手前の壁に、縦横約1メートルに四角く切り取られ、そこをコンクリートでふさいだような跡があった。
石積みの壁が四角く切り取られたようだが、壁を作った後に穴を開ける必要があったのだろうか。
穴は、数メートルの間隔で2つ並んでいる。
上り坂の途中にある、2つの穴(2ヶ所の矢印)の跡
四角い穴が開けられた壁
1つの穴の表面には、四角い物体の跡が浮かぶ
周辺住民が語る穴の正体とは
この穴の正体は何なのだろうか。
まずは近くのお店のご主人に伺うと「防空壕の跡です。『戦争の跡をいつまで放っておくな』という近所のお年寄りの意見で市が埋めました。それまでは材木などが放置されている場所で、穴は板でふさがれていました」という。
このあたりの地主のKさんに伺うと「比較的全長が短い防空壕でした。防空壕はほかにも残っていて、近くの瀬戸ヶ谷町あたりのものは全長が長いものもあります。しかしこのあたりは空襲がなかったため、避難した人も少なく、あまり使われなかったようです。戦後、その穴は材木置き場になったけれど必要がなくなったために埋めました」とのこと。
防空壕だったという
あるクリーニング店の店主に伺うと「40年以上前から穴はあり、中には砂などが詰まれ人が入れないようになっていました。その後コンクリートで固めたようです」とのことだった。
壁面に穴が開けられた山
さらに代々この地に住むSさん夫人に伺うと「穴は歩道沿いでゴミなどが捨てられて不潔だったので、今から20年ほど前にコンクリートでふさがれました。それまでは役所にふさぐように頼んでも、なかなかやってくれなかったので、周辺住民で入りにくいように板を張ったりして対処していました」
「改めて、穴の近くに住むAさんが『穴にゴミを捨てられたりして迷惑だ』と役所に訴えました。そしてしばらく経つと、蓋がされました。また因果関係は分かりませんが、穴の近くに水道局のポンプ場がありましたが、マンション建設のため移転しました。それと同時期ぐらいに穴がふさがれたので、そのポンプ場の移転と関係があったのかもしれません」とのことだった。
1989(平成元)年に建てられたマンション
ポンプ場(緑矢印)と穴(青矢印)の位置関係(1972〈昭和47〉年中区明細地図)
数時間後事情に詳しいSさんのご主人が帰って来るとのことで、また訪問する約束をし、いったんお別れをした。
次に前出のAさんに話を伺うと「あの穴は防空壕でしたが、このあたりは空襲も少なく、あまり使われることはありませんでした。あの穴のある山全体は所有者が調べづらく分からないのです。壁は戦前からあるもので、防空壕の穴は入り口付近にブロックを積んでセメントで固めています。中のほうは空洞のままです。工事は市が行いました」とコメントしてくれた。
入り口にブロックを積みセメントでふさいだものだという