ジューシーすぎて「すごくミカン」な「湘南みかんぱん」とは?
ココがキニナル!
不思議なパンをもらいました。その名「湘南みかんぱん」。食べてみてビックリ。すごくみかんです。そのジューシーな味わいを実現する製法も、横浜市内でも購入できるのかもキニナリます(bjさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「湘南みかんパン」は間引かれた青いミカンの果汁を生地にも餡にも使っているパン。2016年9月末からは県内全域のスリーエフで販売予定
ライター:福原 麻実
「湘南」というご当地感にも惹かれるし、「すごくみかん」もキニナル。しかしそれ以上にキニナル言葉が「ジューシー」である。
パンで、ジューシー? どんなパンだろう。どうやって作られている? どこで買える? 早速調査へ!
こちらがキニナル投稿にあったみかんぱん
調べてみると、「湘南みかんぱん」は1社で企画から製造販売まで行っているわけではなく、誕生のきっかけ、パンの生地、中の餡と、それぞれ別の団体が関わっているようだ。徹底調査のはまれぽなので、もちろん全部取材をするが・・・かなりの長旅になりそうだ。
「湘南みかんぱん」誕生のきっかけとは?
最初に訪ねたのはJR茅ヶ崎駅からほど近い場所にある、NPO法人「湘南スタイル」。「湘南みかんぱん」を企画したところだ。
お話を伺ったのは理事長の藁品孝久(わらしな・たかひさ)さんと、事務局長の坂田美保子(さかた・みほこ)さん。
「湘南みかんぱん」含め、これらの商品に「湘南工房」というブランド名がついている
「湘南スタイル」は2005(平成17)年6月に、「地域みんなが喜ぶしくみづくり」を目的として設立され、地域貢献活動を行ってきた。
そんな「湘南スタイル」の藁品さんのもとに、平塚市にある神奈川県農業技術センターから価格の問題や労働力不足などをかかえる神奈川のミカン産業を救いたいという声が届いたのが2008(平成20)年のことだった。
神奈川県にミカンのイメージはあまりないと思うが、県内で収穫される果物のうち、1位がミカンの2万8000トン、次いでナシが2400トンというのだから、一本の木から収穫できる量が違うとはいえ、ミカンがいかに主要であるかが分かる。
これが湘南みかん(NPO法人湘南スタイルより)
ミカンを救う活動として、個人や企業問わずさまざまな人が参加できる・・・
湘南「みかんの木パートナーシップ」プログラムや・・・
地元企業と連携した多種多様なミカン製品作りを行った。これらのミカン製品の中には、通常の完熟ミカンのほかに、まだ青いミカンを用いたものがある。
これが青いミカン。青摘みミカンと呼ばれる
1本の木から実るミカンは1200個のうち、完熟で収穫できるのは、その半分以下。残りは、収穫できるミカンをより大きくおいしいミカンにするために間引かれているのだ。
こうして間引かれたミカンは、廃棄されていたが、実はカボスやスダチに似た味わいで、焼き魚にかけたり、調味料に加えたりと果汁を使用できる。
その果汁を利用した製品を作り、廃棄されていたものからも収益を上げることがミカン農家を救う方法として湘南スタイルが試みたことである。
これが青摘みミカン果汁。青いミカンでも果汁はオレンジ色
青摘みミカン果汁を使った製品は当初、果汁そのものやジュース、そしてポン酢だけだったのだが、やがてこれらの製品の中に「湘南みかんぱん」が加わる。
みかんぱんの兄弟たち
しかし、なぜ青いミカンで、パンを作ることになったのだろう?
パンを思いついたのは、その時期、海老名SAのメロンパンが話題となっていたからだという。
メロンパンの中にメロンクリームが入っているとか(画像はイメージ)
そこでメロンパンの中に、ミカンのクリームを入れるとおいしいのではないかと考えたのだ。
以前よりミカン製品を入れる箱作りなどを依頼していた「サンメッセしんわ」にパン作りを持ちかけた。理由は、知的障がい者の支援施設である「サンメッセしんわ」に依頼することで、施設利用者の助けになると考えたからだった。
メロンパンを作ろうと企画されたはずのパンが、どうして今の形になったのか、そしてどんな工夫をしたら「すごくみかん」な味になるのか。これは実際に製法を聞かせていただくしかない。