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みんなのキニナルお店投稿募集キャンペーン
はまれぽ.com無料掲載について
横浜に根ざした舞台を中心に活動する、五大路子さんを徹底解剖!
イベントカレンダー2017年12月

Question みんなのキニナル投稿

投稿の中から、はまれぽ編集部もキニナルことを調査してお答えします!
ぜひ投稿してみてね。(200文字まで)

投稿はこちらから

みんなのキニナル

    京急日ノ出町駅近くの奈川銀行本店横の小道にアートペイントが施されています。キニナルのはペイントと一緒に「長者町小唄」という歌の歌詞が書かれています。「川面に映るネオン街 歩めばはやる心うた(中略)異国...

    横濱マリーさん

    3月に京急リラックマトレインが再登場!! しかも赤青黄色と3編成!! 「京急リラッくりはま駅」に続き、「かみがおおおおか駅」?! 「おおきいろいとりい駅」!! みて、乗って探してきて下さい。

    黒霧島さん

    藤沢駅に大量発生している鳥の正体がキニナル。駐輪場前の道路を車で走ると、8割の確率でフンが落ちてきます。 雨の日は異臭がヒドイのでどうにかしてほしい!藤沢市の対応も含めて調査をお願いします。

    abandonneさん

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横浜のココがキニナル!

先日散歩してて見つけた桜木町駅前の橋の上のこの看板。どこからのメッセージ?(gekiatsusibosanさんのキニナル)

はまれぽ調査結果

ヨコハマトリエンナーレ2011の作品の一つでした。作者はベルリン在住の
美術家・島袋道浩さん。東日本大震災への想いが込められた作品です。

ライター:吉岡 まちこ (2011年10月14日)

(この記事は2011年10月14日の再掲載です)

誰もが一瞬思うのは…「もしかして宗教?」

 


キニナル投稿で送られた実際の画像


青い文字が、なんだか宇宙からのメッセージのように、妙な違和感で心に残る。
キニナルへのこの投稿を見た時に、筆者が考えたのは、視界に入っているうちにいつしか心に訴えかけるサブリミナル効果を狙った宗教活動。もしくは、自己啓発セミナーの宣伝。

何事もきっと儲け主義につながっているに違いないと、疑ってかかってしまう自分が悲しい。
でも“看板”というものは、そういうものだと固定概念があるし、きっとそんな風に思った人も多いのでは?

看板の管理者がわかれば、広告主がわかるのではと思い、看板を探しに行く。
すると、ランドマークから桜木町方面に向かう動く歩道の途中で、はるか遠くに小さく青い文字が見える一瞬があった。
ランドマーク方面に向かっているときには見えにくいのだ。
 


動く歩道脇から。実際は小さ~く見えるが、望遠で撮るとこんな感じ


何がどうチャンスなんだ!? ものすごくキニナル。気になってしかたない!



たどり着いて、初めてわかること

よほど大きいのか、見た目よりも遠くにあってなかなか近づけない。蜃気楼を追っている気分だ。
 


高速と川をまたいでまだまだ先・・・
 

看板は北仲橋のたもとにポツンと佇んでいた


結局、馬車道駅の近くまで来てしまった。立っていたのは大岡川の脇のコンクリートの空き地の中。
川沿いの歩道にはゴミが散らばり、荒涼とした気配のなかに、青空みたいな文字の色がくっきり浮かんでいる。
 


やっぱりなんだか宇宙的だ。裏側もまったく同じだった


「広告のご相談は○○まで」という文字を探すまでもなく、看板の中の小さなグレーの字に目が行く。
「島袋道浩 横浜トリエンナーレ 2011」、そして左下には「The Chance to Recover Our Humanity」の文字。
作品!? 活字が美術作品であるわけない…と予想もしていなかった自分はどれだけ固定概念に縛られているんだろう。
 


島袋道浩さんという方の、トリエンナーレの出品作品だったのだ


ところでこの場所は、横浜市の都市整備局企画課の管理地らしい。
 


字体が似ている


「立入禁止」の札にあった電話番号にかけてみてわかったことだが、3年前までここにあった中古車販売の店がなくなってからは、看板はまっしろのまま、何にも使われていなかったらしい。


どういう理由でこの作品が作られたの?作者に聞いたその思いは、次のページ ≫

 

作品の奥にある、強いメッセージ

実際に足を運ぶまでは、――看板の所有主に連絡し新興宗教の道場に取材に行き勧誘されて困っている図、を頭に描いていたので、美術作品であったことにびっくりしたが、内心どこかホッとして笑ってしまった。
でも、看板の両脇に書かれた作品の主旨を読んで、胸が熱くなる。
 


東日本大震災へのメッセージだったのだ

島袋道浩
人間性回復のチャンス
2011

16年前、当時僕が住んでいた神戸で大地震が起きました。たくさんの家や建物が壊れ、たくさんの人が怪我をし、そして亡くなりました。
そんな悲しく大変な状況でしたが、地震直後にはいいこと、美しいこともありました。知らない人同士が本当に自然に声をかけあい助け合ったこと。人間が人間を本当に思いやったこと。
しかし時間が経つにつれ、そういう良かったことも急速に無くなっていきました。
以前のように会社や学校に通う人たち。地震があった町から出ていく人たち。そして救援のために初めてこの町にやってくる人たち。そんな人たちが行き交う電車の線路の脇、やはり壊れてしまった友達の家の屋根に、当時僕は「人間性回復のチャンス」という看板を掲げました。
そ して東日本大震災を経験した今の日本を思うと、やはりまた「人間性回復のチャンス」ということを考えます。大変なことが起こったら、それをただ悲しんだ り、なかったことにしてしまうのではなく、逆にこれからより良くするためのチャンスとしてもとらえてもらえればと思うのです。ピンチはチャンスです。


その阪神淡路大震災に遭ったときの島袋氏の作品がこれだ。
 


作品の詳細はこちら


写真の撮影日が3 .11というのは偶然だろうが、目に見えぬ縁のようなものを感じてしまう。



作者の、島袋道浩さんというひと

作者についていろいろ調べているうちに、島袋道浩さんというかたは、鹿がいなさそうな町で「鹿はいませんか?」と訪ね歩いたり、自分と似た名前のシマフクロウと出会うために鹿児島から北海道までヒッチハイクしてみたりして、個展のスポンサーになってくれたビール会社までひたすらカヌーを漕いでビールをもらいに行ったりする人だとわかった。

そして、その途中での人との出会いを収めた映像を、個展や展覧会の空間で発表。絵画や彫刻ではなく、こういう空間そのものを作品にする芸術をインスタレーションというが、島袋さんはその作風で国際的に活躍する美術家なのだ。

世界中を旅しながら、やってみたい・伝えてみたいと心に浮かんだことを冒険に挑むようにチャレンジするのは、美術は美術館に訪れる人だけとのコミュニケーションではなく、出会った人みんなが観客なのだという考えからだ。ユニークで楽しくて、それでいて人間の生き方や、行動の意味がずしりと伝わって来る。
 


“本の形をした展覧会”をコンセプトに、20年間の代表作を写真に収めた『扉を開ける』
(出版/リトル・モア 2010年)3,990円


今回「はまれぽ」取材ということで本人に連絡をとった。作品に関して、そして「横浜の印象を」と尋ねたところ、恐らくベルリンかどこかからメールをくださった。

島袋氏は、横浜トリエンナーレの準備で6月頭に横浜を訪れた時、所々で節電はされていたがそれでも自分が生活するベルリンのショッピングモールよりも明るいと感じられたそうだ。
そして出会った人が、あまり地震のことを話さないことにも驚いたという。その頃ベルリンではまだフクシマの話題が頻繁にされている時だっただけに…。

「それで横浜ではあえて地震のことに触れる作品を作ろうと思いました。横浜美術館で展示している『ハムはできるか? 復興と発酵』や馬車道の『人間性回復のチャンス』。東海道新幹線沿線の『たちどまる』です。」
「しかし、あまり直接的、そして命令的にならず、何人かの人々にとって考えるきっかけになればと思いこれらの作品を作りました。だから厳密にいうとメッセージのちょっと手前みたいなところを目指したのです。僕にとってはいわゆるメッセージよりも、なんだろうと思わされるようなきっかけの方が自分が考え行動に結びつけることができると思うので。そしてそれこそが美術のできることだと思います。」(メール原文)

さらに「あの場所はいい場所だと思います。看板は両面になっているので、道路を行き来する車に乗っている人にも見てもらえます。まわりの会社の入っているビルの喫煙所からもよく見えて、煙草を吸いながらサラリーマンの人がなんだろう?と話題にしてくれているとも聞きます。横浜トリエンナーレを見に来ない人にも見てもらえる、画期的な方法と場所だと思っています」(抜粋)。
そして、「まずなんだろう?と思ってもらって、どうしても気になるなら近くまで行って見に行く、それぐらいの時間のゆとりがあった方がいいと思うのです」と結んでいる。



取材を終えて

twitterでも「何だあれ?」という書き込みが多いこの看板。
実は美術作品で、しかも震災に寄せるエールだった、と何段階も驚かされた。
「気になるなら見に行く」――、簡単に情報を得られる時代に、私たちは足で体験することを忘れかけてはいないか、と考えさせられた。

そして、仮に、震災を乗り越えてがんばろうという想いを広く誰かに伝えたいと願った時、twitterやブログでつぶやくなど術はいろいろあるが、そこにあるだけで元気づけられる「美術作品」には、なかなかかなわないと痛感した。

なお、作品は、トリエンナーレが11月6日に終わっても、撤去までの数日間はそこにあるという。
実際に足を運び、作品を体験してみてはいかがだろうか。


― 終わり ―
 

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