普段は乗れない! 相鉄線の貨物線「厚木線」に乗車レポート!
ココがキニナル!
相鉄に貨物用の厚木線があるようです。普段は一般人は乗れませんが乗車体験会が2016年は8月21日にあります。間に合えばレポートお願いします(たこさん)
はまれぽ調査結果!
家族連れをはじめ鉄道ファンも楽しめるようにと、普段は一般客が入ることができない相鉄の貨物線に、臨時列車で行けるというイベントだった。
ライター:福原 麻実
貨物線を走る列車に乗れるイベントがあるという。貨物専用の路線から見えるのは、どんな景色なのだろう?
普段は乗ることのできないその路線は「厚木線」という。今回の乗車体験会では相鉄本線かしわ台駅と海老名駅の間にある相模国分信号所までは通常の路線を走り、そこから厚木線に入るようだ。
相模国分信号所。左2本が本線、右の1本が厚木線(Wikimedia Commonsより)
かしわ台駅から臨時列車に乗って、相模国分信号所を経由し、厚木操車場までの区間を一往復する、26分間(厚木操車場での停車時間は14分間)の短い旅である。
午前に1回、午後に2回、臨時列車を運行するという。
普段は入ることのできない区間
片道2.2kmとかなり短い。しかもこうやって図にしてみると、JR相模線と「普段は乗れない区間」がほぼ並走しており、少々特別感に欠ける気がしないでもないルートである。この路線に入れることの魅力って?
まずは現地、イベントへさっそく行ってみた。
まさか整理券をGETできないとは
2016(平成28)年8月21日、集合場所のかしわ台駅に着くと・・・
改札の外にはすでにたくさんの人々
「この駅、普段こんなに混んでないよね!?」と少々失礼なことを思いながら改札を抜ける。この時点で午前9時20分。整理券配布の10分前であった。
すでに駅の中だけでなく
外まで行列ができていた(写真左側の壁際にも同様の列があった)
それぞれの行列は先頭車両である1号車、そして最後尾の10号車に乗るための整理券を求める人々の行列だ。中間車両に乗る人には整理券はなく、ホームにてお目当ての号車乗車位置で順番待ちをする。
臨時列車は10両編成。各号車の定員は50名、計500名が乗車できるが、いずれの号車に乗る場合であっても、1日乗車券が必須になる。
これが乗車券。かしわ台駅への往復にも使えるので、最寄り駅で購入した
「暑いし、数十人が並んでいるくらいかな?」と甘く見ていた筆者と編集部・広瀬は、整理券を手に入れることはできず中間の9号車に乗ることに。1号車や10号車に乗る人は、何時から並んでいたのだろう?
お話を伺うべく、ホームに降りた。
1号車待ちの先頭に並んでいたのは若い男性で「年に1度しか乗れないレアな路線なので」と始発から並んでいたことを教えてくれた。ほぼJRと平行しているので、似た景色はJRに乗っていても見ることができるのでは? と質問したところ、それでも「相鉄でこのルートを走る」「普段は行けない路線である」ということの珍しさが魅力なのだという。
そして10号車待ちの先頭に並んでいた男性も、始発から並んでいたという。「相鉄はどんどん高架化などが進んでいるが、厚木線は昔ながらの、相鉄の姿をそのまま残している」と話してくださった。
10号車に乗る予定の男の子に整理券を見せてもらった。3番!
ホームには徐々に人が増えてきていた。昨年も並んだ人は、何時に来れば中間車両になら乗れる、とだいたいの時間を知っているようだ。
普段の電車待ちとは違って
なんだかまったりしている・・・
出発の30分くらい前、午前10時45分ごろ、ついにホームに電車が到着した。
9000系リニューアル車両、YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー)だ!
行き先表示が相模鉄道キャラクター「そうにゃん」!
「そうにゃん」のスタンプを押してもらい乗り込む
各号車50名という定員を設けているので、わりと空いている印象
車両間の移動はできないようになっている
午前11時15分、列車は定刻通りに出発した。
海老名駅の手前、相模国分信号所の前で速度を落とし、ゆっくりと走る。
本線を離れ、いよいよ「厚木線」の乗車体験が始まる
徐々に坂道を上っていき・・・
小田急小田原線とクロスオーバーする
そしてJR相模線海老名駅の東側を通り
厚木操車場に到着
厚木操車場に着き、改めて外の様子を見ると、ほかの車両は見えなかった。のちに知ったが、ここは現在、夜間の車両留置などに使われているそうだ。
ここで、停車中の車内でサプライズがあった。
じゃんけん大会である
乗客全員でスタッフの方とじゃんけんをし、最後まで勝ち残った1名に商品が贈られるというものだ。
こちらが勝者の男性と、商品(クリアファイルと「鉄コレ」という相鉄線の模型)
そのあと、乗客全員に乗車証明書が配布された。記念になって嬉しいな
和やかな短い旅。帰路では・・・
JR相模線の列車とすれ違ったり
道路の向こう側に、撮り鉄らしき人たちを見つけたと思ったら
あっという間にかしわ台駅に到着
下車後、乗車体験を終えた人たちにもインタビューを試みた。
乗車体験会では、家族連れも多く乗車していた。小さな子どもたちにとって、このイベントはどうだったのだろう? と思って1組のファミリーに尋ねると、お子さんが終始はしゃいでいたという。新しい電車に乗ることや、ゆっくりと高いところを走る電車からの眺めは、きっと新鮮だっただろう。
さっきまで乗っていた電車を見つめる男の子と、ご両親
そして熱心な鉄道ファンの人たちも、あらかじめ情報を仕入れて準備し、年に一度の機会を存分に楽しんだようだ。
今回の乗車体験会には、前述のとおり1日乗車券が必要なのだが、この券があれば当日ずっと相鉄の電車に乗り放題になるので、あちこち出かけることができるのも魅力だと教えてくれたのは、調布からきた中学生2人組。
高校生かと思ったら中学生だった。大人っぽい
大人も子どもも、昔ながらの相鉄に思いを馳せる人も、めったにない経験を楽しみに来た人も、同じ電車から同じ景色を見て、一緒に楽しむ。
移動手段として利用している電車ではまず味わえない、不思議な時間だった。
短くも楽しい時間を過ごさせてくれた「厚木線」だが、そもそもどんな路線なのだろう? イベントの総括とともに、相模鉄道株式会社にお話を伺った。
本社ではそうにゃんがお出迎え
お話を聞かせてくださったのは、相模鉄道株式会社営業部企画課の小林雅義(こばやし・まさよし)さん。