普段は乗れない! 相鉄線の貨物線「厚木線」に乗車レポート!
ココがキニナル!
相鉄に貨物用の厚木線があるようです。普段は一般人は乗れませんが乗車体験会が2016年は8月21日にあります。間に合えばレポートお願いします(たこさん)
はまれぽ調査結果!
家族連れをはじめ鉄道ファンも楽しめるようにと、普段は一般客が入ることができない相鉄の貨物線に、臨時列車で行けるというイベントだった。
ライター:福原 麻実
厚木線の歴史
神中鉄道が1915(大正4)年に敷設趣意書を鉄道院に提出し、翌年に認可が下りた路線が厚木線のはじまりである。1917(大正6)年に正式に神中鉄道が設立され、その路線の敷設は第一次世界大戦による資材不足などの影響で遅れたものの、1926(大正15)年5月に二俣川-厚木間が単線で開通。相模国分駅(現相模国分信号所)と厚木駅(現厚木操車場)の2つの停車場を含む8駅が開業した。
開業当時の三ツ境駅(提供:相模鉄道)
神中鉄道は徐々に二俣川から横浜方面へと延伸を進め、1933(昭和8)年には横浜駅までの全線が開通した。下りの終点までの区間として旅客営業を行っていたが、1941(昭和16)年に海老名駅が開業すると同時に、相模国分-厚木間の旅客営業が廃止された。その後は相模川の砂利や、燃料の輸送に利用される貨物線となったのだ。
私鉄の貨物列車が廃止される中、長らく厚木基地に燃料を輸送していた(Wikimedia Commonsより)
その後、茅ヶ崎~橋本間の路線で営業を行っていた相模鉄道が、戦時下の1943(昭和18)年に神中鉄道を吸収合併した。しかし、翌年に茅ヶ崎~橋本間(現JR相模線)は通信運輸省(当時)に買収され、厚木線(相模国分-厚木間)を含む神中線(横浜-厚木間)が現在の相鉄線となった。
しかし1964(昭和39)年に相模川の砂利は採取が禁止になったため輸送終了、1998(平成10)年9月、厚木基地へのタンク貨車による燃料輸送も終了し、相鉄の貨物列車は定期運行されていない。厚木線の線路は現在、厚木操車場への車両留置や新型車両の搬入に利用されており、今後、何らかの変更がなされる予定は特にないという。
この線路の姿はしばらく変わらないという
イベントについて
そういった歴史をたどり、普段は乗ることのできない厚木線で、どうして「乗車体験会」を開催したのだろうか?
昨年の乗車体験会は2015(平成27)年8月23日に開催され、今年と同じく3本の臨時列車が運行されたという。「そうにゃんスタンプラリー2015」の応援イベントとして、ファミリーや女性に人気のスタンプラリーだけではなく、鉄道ファンにとっても楽しめるような夏休みのイベントを開くという目的で実施されたのだ。
これがスタンプラリーに使うスタンプ帳
今年で2回目となる乗車体験会だったが、昨年と異なる部分もいくつかあった。昨年走った臨時列車車両はそうにゃんのラッピング車両だったのが、今年はYOKOHAMA NAVYBLUEと呼ばれる車両になったこと。各号車の定員を60人から50人に減らして空間に余裕を持たせたこと。そしてその車両ごとにじゃんけん大会を行ったこと。熊本への義援金募金を行ったことなどである。
なお、スタンプラリーのスタンプ帳(税込100円)の売上については、全額が熊本へ寄付されるという。利用者にとって、これらのイベントは貴重な夏休みの体験となるだけではなく、熊本地震の被災者のために役立てられるのだ。
2017年は相鉄創立100年の節目の年。イベントについて「いろいろやる予定」とのことで、楽しみである。
小林さんと、そうにゃんのぬいぐるみと、新商品の鉄道模型
厚木市にない厚木駅、厚木市にある本厚木駅
体験乗車や厚木線の話から少々ずれるが、厚木線に関する資料を探しているとき、厚木駅が厚木市にない理由が読売新聞相模版(2008年11月7日)などのいくつかの文献に掲載されていたのでご紹介する。
相鉄が厚木駅(現JR相模線)を開業したとき、海老名市に作ったにもかかわらず、相模川の向こう側にあった「厚木」の名をつけた(厚木市に駅を作りたかったが予算の都合上、川を渡るのを断念したという)。
その後、小田急が厚木駅近くに「河原口」駅を、そして厚木市には「相模厚木」駅を建設したのだが、1944(昭和19)年に「河原口」駅が廃止、相鉄の厚木駅と合同駅舎として「厚木」駅として一本化した。これにより本当に厚木市にあったほうの「相模厚木」は「本厚木」に改称されたというのだ。
密かに「厚木駅が厚木市になく、本厚木は厚木市にあるのはややこしい」と思っていた筆者の疑問が晴れたので、収穫の多い調査となった。
資料の1冊。相鉄から相鉄本が出たらいいのにな
取材を終えて
非常にフレンドリーな印象の相鉄のみなさん。乗車体験会でお会いしたスタッフの方も、今回取材させてくださった小林さんもそうだったが、取材後にスタンプ帳を購入した際、残り期間がわずかだったためか「今から行かれるんですか? がんばって下さい」と横浜駅の方に励ましていただいたことも併記しておく。
もっと早くスタンプラリーの開催に気づいていればコンプできたかも・・・
―終わり―
参考文献
小田急の駅 今昔・昭和の面影 昭和とともに生きた72駅紹介(生方良雄著)JTBパブリッシング
神奈川 駅尽くし 神奈川県内の停車場・バス駅・宿駅のすべて~みんな駅が好きだった~(渡邊 喜治著)東京図書出版
JR相模線物語―相模鉄道がルーツ、砂利鉄と呼ばれ80年(サトウマコト著)230クラブ
読売新聞相模版 2008年11月7日
小田急沿線の近現代史(永江雅和著)クロスカルチャー出版
ushinさん
2016年09月16日 20時33分
「JR相模線と「普段は乗れない区間」がほぼ並走しており、少々特別感に欠ける気がしない」記事にもあるとおり同じ会社として、厚木駅に合流していた線路だし・・・砂利取りが盛んなころは、厚木駅の先で相模線をクロスして相模川の河原まで専用線が延びていたくらいだから。
たこさん
2016年09月10日 01時47分
記事にしていただいてありがとうございます。ライターさんも書いていた通り相鉄って駅員さんがフレンドリーなんですよね。イベントや駅もなんか癒し系というか。直通運転が始まってもこの良さは無くさないで欲しいです。