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2014年3月に火災があった「かもめパン」。火災の真相と現在をレポート!

ココがキニナル!

火災のあったかもめパンのその後がキニナル(ヤングさん)/仙台に引越してから聞いた「かもめパン」の火事。お店も含め、更地になったと聞きました。移転のウワサもあるようですが・・・(わいずさん)

はまれぽ調査結果!

火災が起きたのは事務所で、別棟だったパン工場には影響なかった。直売店も火災の被害はなく1ヶ月後から再開し、以前と変わらず営業を続けている

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ライター:大和田 敏子

「横浜の小学生の身体の3分の1は『かもめパン』でできている」と言われるほど、横浜市民に親しまれているパン屋さん「かもめパン」。
 


名前の親しみやすさ、給食との結びつきから記憶している人も多いよう

 
はまれぽでは過去に、その歴史や味について記事にしていた。ところが、2014(平成26)年3月に火災が発生。その後の状況を気にかける投稿が多数寄せられていた。

あれから約3年、かもめパンは現在、どうなっているのだろうか。
お店に伺ってみることにした。



火災の原因は? その後のパン製造への影響は?



京急線井土ヶ谷駅から徒歩10分ほどで、かもめパン直売店に到着。

 

外から見るかぎり、新築されたようではないし・・・


以前の記事で紹介したレトロな感じの看板もそのままだった


店舗後方にある工場も以前と変わらない。左が現在、右は2012年11月の写真

 
外観を見たかぎり、火災の影響は全く分からない。
プロダクトマネージャー、藤江嘉昭(ふじえ・よしあき)さんと、嘉昭さんの奥さまで広報担当の妙子(たえこ)さんに伺ってみることに。
 


お子さまも一緒に、和やかな雰囲気で話してくれた

 
まずはキニナル火災のことを。
2014(平成26)年3月30日、火が出たのは事務所の2階で、更衣室や社員食堂として使っていた部分。日曜日の午後4時過ぎだったので、ほとんど人もおらず、ケガ人はなかった。原因は不明だという。

「消防署では、確定的な原因が判明しない火災は原因不明とされるそうです。何もないところから出火したので、私たちの間では漏電ではないかと考えています」と嘉昭さんは話す。
 


火元とパン工場は道を隔てており、全く影響がなかった

 
パン工場には影響がなく、翌日も通常通り出荷。給食のパンへの影響も全くなかったそうだ。しかし、直売店は火災にはあわなかったものの電源が火事になった棟にあったため、電気が使用できなくなり営業はできなくなった。また、出火した棟に隣接していた米飯や洋菓子の工場は、消火活動の影響により壁が破損してしまい稼働できなくなった。
 


その後、洋菓子は製造規模を縮小させてパン工場の一角で再開

 
けれども、米飯の方は、新たに設備を造るためのコストなどから判断して製造継続を断念。そのため、学校給食への米飯の出荷は中止し、人気のあった「のしもち」や「赤飯」の製造もできなくなった。

「『のしもち』についての問い合わせは、今も多くいただきます。できれば再開したいですが、設備コストや新たに工場を建てるためのさまざまな手続きなどもあり、難しい状況です」と嘉昭さんは話す。

 

直売店は新たな電源を設置し、火災から1ヶ月後の4月末に営業を再開


被害があった建物は取り壊され現在はセブンイレブンに。右手奥に見えるのがパン工場

 
当時の報道では火災の状況が正確に伝わらなかった面もあり、「全焼してしまったんですか?」と聞かれることも多かったとか。そのほか、心配や励ましの声が多く寄せられたそうだ。

「お子さんからも『がんばっておいしいパンを作ってください』といった心温まるお手紙をたくさんいただきました」と妙子さんは話してくれた。

 

こちらは、子どもたちから給食のパンのお礼の寄せ書き

 
現在、かもめパンが給食用のパンを納品している小学校は約90校(平成28年4月1日現在、横浜市内の小学校は241校〈うち分校が1校〉)で、火災があった以前とほとんど変わっていない。
一方、卸しているパンの種類は以前と比べて多くなり約30種類。学期末などには、普段と趣向を変えたパンの希望があり、チョコデニッシュやさつまいもデニッシュなどを納品することもあるそうだ。
 


「ぶどうパン」「くろパン」など自分の好きなパンを書いている子も

 
ちなみに、給食パンのレシピは神奈川県学校給食会によって決められており、学年によって量も細かく指定されているのだという。納入する業者はどこも同じレシピでパンを製造しているのだが、多少の違いが出るようで、学校側から要望があり、業者側が指名されることもあるそうだ。
 


「かもめパンさんのものを」という要望に応じることもあるとか

 
「給食のパンはお子さんの食べるものですので、安心安全なパンを作ることを特に大事にしています」と妙子さん。原料はなるべく無添加で保存料を使わず、安心して食べてもらえるようにと気を配っているという。

「これからも変わらず、みんなの記憶に残るような、安心安全なパンを作り続けていきたい」と嘉昭さんは今後への想いを語ってくれた。