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横浜市に打つ手はあるのか? ごみ屋敷の実態に迫る!【前編】

ココがキニナル!

鶴見区のゴミ屋敷がテレビに取り上げられていました。その実態と、ゴミ屋敷に対する横浜市の対策が気になります/ゴミ屋敷対策条例ができたみたい(ぽんちょりんさん/八景のカズさん/ホトリコさん)

はまれぽ調査結果!

ごみ屋敷の住人は特殊な心理的感覚を持っている可能性がある。投稿のごみ屋敷の住人は「集積所のごみを分別するためにごみを集めている」という

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ライター:小方 サダオ

鶴見区にあるごみ屋敷



テレビなどでも取り上げられた「ごみ屋敷」が鶴見区にあるというキニナル投稿。
今回は前後編の2本立てで、ごみ屋敷の現状や当事者の心理状況、横浜市としての対策などを調査した。

まずは、投稿にあった鶴見区の現地を訪れてみた。

 

「鶴見区のごみ屋敷」のある場所(Googlemapより)
 

その家は山の上の閑静な住宅街の中にあった。
家の周囲は草木で覆われており一見すると分かりづらいが、主にごみが入っていると思われる白いビニール袋が家の周囲に無数に積まれていて、玄関も埋もれてしまっている。

 

閑静な住宅地の真ん中
 

庭のあふれたごみが道路に出ないように板などで支えている
 

そこでどうやって出入りしているのだろうと考えていると、2階の窓から家主と思われる男性が出てきた。周囲に積まれたビニール袋の山の上を、家に据え付けられた紐をつかみながら下へと滑り降りてきたのだ。

 

1階部分がごみで埋まり、2階の窓から出入りしている
 

声をかけると一瞬こちらを見たものの、無言でどこかに歩いて行った。

そこで、あらかじめ取材をお願いしていた、町内会の関係者に伺うと「ごみを集めている住人は、50代前半の男性です。10年ほど前からごみを溜めはじめました。そのころは両親と一緒に住んでいましたが、5~6年前に両親がいなくなってからは溜めるスピードが速くなりました。住人は父親と意見が合わず仲が悪かったようです」と話す。

「自治会長や区役所職員、親を交えて話し合いをしたり、周辺住民が注意をしたりすると、意地を張ってかごみの量が増えます。また、ごみは集積所から持って来ているようです」という。

 

集積所のごみを集めてきているようだ
 

「私の家で出したごみがあの中に積まれていたこともありました。しかし生ごみは少ないので臭いは少ないです。ごみは人に見つかりにくい、朝早い時間帯に拾っているようです」という。

「向こうの言い分としては『集積所のごみが分別されていないので、一度集めて分別して出し直す』というものです。しかし拾ってきたもののほとんどを溜めていて、その中から少ししか集積所に出しません」とのこと。

 

集積所のごみを分別するために一時保管しているのだという
 

町内会のある役員に話を伺うと「10年ほど前に消防署員と一緒に、自然発火の恐れや放火の危険性があるとして住人と話し合いをしました」

「また、家の前はスクールゾーンになっているので、平日は約300人の児童が前を通ります。ごみが落ちてくると危険なので町内会の役員が家の前に立って、子どもたちを誘導しています」と話してくれた。

「彼は拾ってきたごみや人から聞いた話など、いろいろなことをメモするクセのある人です」という。

 

周辺住民はスクールゾーンにごみが崩れ落ちることを警戒している
 

「特に大変なのは近隣の人たちで、火事になったら一気に燃えてしまう可能性があります。でも、周辺住民が裁判などを起こした場合の彼の仕返しを怖がって関わらないようにしています」と話す。

「また、隣には人気があるレストランがありましたが、引っ越してしまいました。隣がごみ屋敷ということもあり、その後、買い手が付きません」とのこと。

「集積所からごみを持って来るので『ごみ持ち去り禁止』の看板を出しています。住民にも現場を見たら知らせるようにと行政から言われていますが、見つかりにくいように朝や夜中に拾っているようです。また、彼はごみを溜めることに対して、『ちゃんと分別して集積所に出している。出すのが遅いだけだ』という意見を持っています」と話してくれた。

 

持ち去り禁止の看板がある集積所に、彼はごみを出しているという
 

そして、日をあらためて家の前を通ると、本人と思われる男性が柵を直していた。

 

家の周囲の柵を直す住人
 

今回は名刺を渡すと受け取ってくれ、会社名などを持ち歩いている紙にメモしていた。メモを取ることについて理由を伺うと「最近忘れっぽいのでメモを取っているのです」という。

住人は、真面目そうな印象で、穏やかなトーンで話をする人だった。

作業に関して伺うと「ごみや庭の竹の葉が落ちるので、それが外へ出ないように柵を直しています」とのことだ。

 

投稿の家の前には「ごみ持ち去り禁止」の看板がある
 

なぜごみを集めるのか伺うと「近所のごみ集積所にあるごみは分別されていなくて、それが嫌で自分で集めて分別し出し始めました。そういった状況や自分の整理癖の性格などが複合的な理由で今の状態になっています」という。

火事の危険性に関して伺うと「留守にしないようにして、家の中から火事にならないように気を付けています。放火などは家の外からの問題なので、自分ではどうにもできません」と話す。

「これから時間をかけてごみを出していくつもりです。通常のごみは週2回、空き瓶・ペットボトルは週1回など、きちんと出しています」と答えてくれた。

 

時間をかけてごみを出していくつもりだという
 

彼はごみ集積所の分別に協力しているともいえるが、大量なのでいつになったら処理が終わるのか分からない。また整理癖のある神経質な人のようだが、それが元でこのように周囲を巻き込み混乱を招いているのは矛盾している気もする。

次に、ごみ屋敷の住人の素顔に迫ろうと、さまざまな疑問をごみ屋敷の片付けを行うこともある便利屋さんにぶつけてみた。