横浜市立中央図書館では、約100万点の本をどうやって利用者に届けている?
ココがキニナル!
横浜市立中央図書館の書庫の中の資料を請求してみたのですが、たったの5分ほどで受け取れてしまいました。書庫ってどんな風になっているのか、はまれぽなら取材できますよね。(sakanaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
地下3階分の広い書庫には約100万点の資料が。書庫内の職員さんが手作業ですばやく見つけて届けている。中には歴史的価値の高いものもたくさん。
ライター:はまれぽ編集部
横浜市中央図書館には資料探しに、あるいは取材に、はまれぽも何度もお世話になっている。
今回のキニナル投稿は、この中央図書館の地下に広がっているという書庫の全貌を明らかにしてほしいというもの。
野毛の丘、閑静なエリアに立地する中央図書館
まず中央図書館の概要を調べてみると、1階と3階から5階に開架図書が配置され、地下1階には音楽・映像資料の視聴スペース、そして地下1階から3階が地下書庫になっている。
図書館を訪れた編集部・大宮は、まず、キニナルの通り5分という早さで資料が届くのか、資料の請求方法を確認しつつ、実際に確かめてみることにした。館内5階にある端末で、あえて古くて時間がかかりそうな本を検索し閲覧請求を試みる。
100年前の1918(大正7)年の教科書を発見
選んだ資料の書誌情報をプリントアウトして、カウンターの職員さんに渡す
すると、カードを渡されて本が届くのを待つ
しばらく待っていると、資料が到着した。手元のスマホで計っていた時間を確認すると、職員さんに書誌情報を渡してから6分25秒だった!
この通り、6分25秒で到着
請求した100年前の教科書『中学動物教科書』。思ったより保存状態もよい
キニナル投稿にあった5分と比べてもそう長い時間ではなかった。地下にあるという書庫から5階までの高低差を考えると、結構素早く短時間で届いているように思う。実際職員さんはどうやってこの時間で資料を届けているのだろうか。
どうやって本を探し出す?
ここからは、横浜市教育委員会事務局横浜市中央図書館調査資料課の鈴木裕美子(すずき・ゆみこ)さんと同課の琴寄雅之(ことより・まさゆき)さんにお話を伺っていく。
鈴木さん(左)と琴寄さん。よろしくお願いします
まず、地下書庫の所蔵資料数については、現在合計109万1874点の資料が所蔵されており、同館の資料総数156万4950点のうちおよそ3分の2にあたるとのこと。
どんな方法で地下書庫の資料を利用者に届けているのか琴寄さんに伺うと、「地下書庫には資料を書架まで取りに行く職員が常時待機しています。各階カウンターで閲覧申込があると、地下2階の書庫のプリンターに『書庫出納票』が打ち出されます。そこに書かれた書誌情報を見ればどこの書架にあるかが分かりますので、素早く取りに行きます」と話してくれた。
こちらが書庫出納票
このラベルで資料のありかが分かる
つまり、利用者からカウンターに渡された資料の情報が地下書庫に伝わるまではオンラインで処理できるが、広大な書庫内にある資料を正確に探し出すには職員さんが自ら書庫内を走り回って取りに行くというわけだ。
「全力疾走とはいかなくても小走りに探しに行ったりしていますね。確保した資料はトレベータ―という昇降機で上のフロアに送ります」と鈴木さん。
これがトレベーター
トレベーターは地下と地上のすべての階に据え付けられており、資料を地下書庫から上の階に送るラインと、返却された資料を地下書庫に送るラインに機械が分かれている。
資料がカゴに載せて上の階へ送られる
時間については「請求をいただいてからカウンターにお届けするまでの時間は15分くらいを想定しているのですが、資料が早く見つかったり、人手があると投稿のように早く届くこともあります」という回答を鈴木さんからいただいた。
もっと最先端のシステムで自動で本を選んだりしているのかと思っていたが、職人技で、100万点の資料から目当ての1点を選び出していた。丸一日書庫の中で本を探して走り回るなんてさぞ疲れるだろう・・・と思ったら、鈴木さんいわく「ほかの業務と交代で分担していますので、一日中地下書庫にいることはないです」とのこと。
ちなみに現在、中央図書館の利用者は1日平均約3089人とのことだが、書庫の資料については平均すると1日300点程度の閲覧請求があるという。請求があるたびに、書庫内の職員さんが本を選び出して送り届けているというわけだ。