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横浜市が提案する特別自治市とは?

ココがキニナル!

横浜市が神奈川県との二重行政を解消するため、特別自治市制度の導入を掲げていますが、具体的にはどういうものなのでしょうか?(フミさん、ryoryoさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜市が提案している「特別自治市」は、県の持つ権限や事務などを市に移譲し、市が県から独立して、より効率のよい市政運営を行おうとする案です。

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ライター:吉田 忍

特別自治市とは



特別自治市という考え方は、戦前の旧5大都市(横浜、名古屋、京都、大阪、神戸)の頃から始まっており、昭和22年の地方自治法制度により「特別市制度」が創設された。しかし、該当5府県(神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫)などの反対により、実施されることなく、昭和31年に廃止。そこで、府県との妥協案ともいえる政令指定都市制度が適用された。

全国で現在20の市が政令指定都市となっている。政令指定都市は、人口70万人以上の市で、県を通さずに直接、国に予算の陳情などができるなどの権限を持っており、神奈川県には横浜市の他に川崎市と相模原市がある。
 


横浜市政策局で特別自治市について検討が行われている


今の政令指定都市制度では、県と市の二重行政などの課題が多いため、政令指定都市市長会が新しい大都市のあり方について議論し提案しているのが、より権限を持つ特別自治市制度。
 
二重行政とは、市町村・県・国のうち2者が同じ事務を行うこと。たとえば企業誘致政策では、同じ横浜市内への企業誘致を神奈川県と横浜市の双方が実施している。また、義務教育では、教職員の給与負担者は神奈川県だが、任命権は横浜市が持つというねじれ現象が起こり、様々なゆがみと共に無駄が生じている。二重行政を解消することで、こうした無駄を省くことは特別自治市制度の大きな目的のひとつとなっている。
 
しかしこれは各都市の意向で勝手にできるものではなく、地方自治法という法律の改正がなければ実現しない。

一方、国においても地方分権の推進に向けた取り組みが進められており、国が当面行うべき法制度上の措置などを定めた、地域主権戦略大綱が閣議決定され、地域の自主性および自立性を高めるための改革が推進されている。

そんな中、3月に横浜市では大都市自治研究会による第1次提言が出された。
それに対して黒岩知事は、
「理解不能で、机上の空論と言わざるを得ない。明確な不快感を示したと思ってほしい」
「県庁に出て行けということか」
と不満を述べたというニュースが流れた。
 


黒岩知事は就任直前のはまれぽインタビューで横浜への思いを語ってくれた


では、横浜市が提案する特別自治市とはどのようなものなのだろう?
横浜市には大都市制度推進課という部署があるとのことなので、そこに伺ってお話を聞いてきた。
 


制作局大都市制度推進室の橘田(きつた)誠課長と稲富隆仁係長(左)




横浜市が提案する特別自治市とは



大阪都構想が話題になっているが、これは、大阪市をなくして、東京都のように都・区制度にして、二重行政などのムダをなくすもの。

これに対して横浜市などが提案している特別自治市とは、県の持つ権限や事務などを市に移譲し、市が県から独立して、より効率のよい市政運営を行おうとする案。
 


二重行政解消のため、特別自治市を提案している横浜市役所


県から市に移譲したいこととして具体的には、自衛隊の派遣要請、警察、交通規制・管制、市街化区域・市街化調整区域の区域区分、私立幼稚園の設置認可、介護保険・国民健康保険の保険者への指導などがあり、これらは現在、横浜市内のことであっても、県が管理や処理を行っている。

また、横浜市内に存在する、県立図書館など県所有施設等について、権限・財源の移譲が提案されている。これは、県立○○から市立○○になるということ。
 


横浜市内の県所有施設には、県庁も含まれるが……


そして、税金については、市域内地方税(県民税・市民税)を全て市が賦課徴収するとしている。横浜市域内においては、県税がなくなりその分が市税に含まれるような形。
現状、県税は徴収地域に関係なく県内全体の市町村に使われるが、横浜市は市で徴収した地方税だけで運営をしていくということになる。
 


http://www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/daitoshi/bunken/leaflet/leaflet-tokubetsu.pdf
横浜市ではリーフレットを作成している※画像提供:横浜市政策局