54人分のマイナンバー紛失

横浜市教育委員会は、横浜市港北区の市立新吉田小学校で教職員と家族を含む54人分のマイナンバーを紛失したと発表した。
　

教職員らのマイナンバーが流出した新吉田小学校
　

横浜市教育委員会北部教育事務所指導主事室の前田崇志（まえだ・たかし）室長によると、紛失したのは教職員38人分と、その扶養家族ら16人の計54人のマイナンバーが記載された書類。このほか、5人の教職員の給与や住所に関する書類、勤務時間報告書などが入っていた。

前田室長によると、2016（平成28）年1月26日午後3時ごろ、同校の20代女性事務職員が、横浜市の小学校・中学校及び盲・聾・養護学校に勤務する県費負担教職員の給与・旅費などの支払いに関する業務を行う「神奈川県横浜給与事務所（横浜市西区）」に書類を届けるため、最寄りの東急東横線綱島駅から横浜駅に向かった。
　

綱島駅から横浜駅に乗車
　

女性職員は学校を出るときは普段使用しているチャックがついていないA4サイズのトートバッグに書類を入れて行ったが、綱島駅でトイレに立ち寄った。

その後、電車に乗ったものの、午後3時30分ごろ、横浜駅で降車する前に書類がないことに気付いたという。

　

途中で、綱島駅のトイレに立ち寄ったそう
　

女性職員はバッグを網棚に乗せてはいないと話しているが、いつ、どこで無くなったかの記憶はあいまいだという。

紛失に気付いた女性職員は横浜駅で東急電鉄の忘れ物センターに相談した後、綱島駅まで戻って探したが見つからず、午後5時30分ごろ学校に報告した。
　

一度綱島駅に戻ったが見つからなかった
　

事実を把握した学校などは近隣の交番に遺失物届を提出したが、紛失から2日経った2016（平成28）年1月28日午後1時の時点で書類は見つかっていない。

マイナンバーについては別の番号を再交付できるよう関係各所と調整しており、給与事務所に提出すべきだった書類についても早急に再提出するという。
　

マイナンバーを再交付する方向で調整中（総務省ホームページより）
　

前田室長は「職員をはじめ、ご家族の方に心配をかけて申し訳ない」とコメント。

そのうえで「あってはならない業務中のミス。個人情報の取扱いについて徹底するようにして再発防止に取り組む」と話した。

女性事務職員の処分については「県警などとも相談している最中。紛失が故意であるか、過失であるかも含めて分からないので、詳細は決まっていない」としている。

市民はどう思う？

今回の件について、市民の声を聴いた。

子どもが新吉田小学校に通っているという30代女性は流出を知らなかったとのことで「（流出は）公になっていないだけで、ほかにもあるのでは」と不安げな表情。

過去に子どもが同校に通っていたという40代主婦は、2014（平成26）年に通信教育・出版大手のベネッセコーポレーションによる個人情報流出事案の当事者だそう。
　

アンケート情報が流出した
　

「業務とはいえ、個人が持ち運ぶことが危ないのでは？」と業務の進め方に疑問を呈したうえで「個人情報がどこまで分かるのか、正直怖い」と不安げな表情だった。

また、近隣の新田小学校に通う子どもがいる40代女性は「今回の紛失は家族の情報も含まれるということだし、より一層注意してほしい」とぴしゃり。さらに「実際、マイナンバーが紛失・流出したらどうなるのか。制度が浸透していない上に、うまく運用できていない」と話してくれた。

取材を終えて

横浜市では2015（平成27）年10月、鶴見区役所が住民のマイナンバーを他人に誤交付して流出するという全国で初めての不名誉な事案があったのにもかかわらず、個人情報の取り扱いについての意識共有がなされていなかったということだろうか。

次こそは、名ばかりの「再発防止策」でないことを望みたい。


―終わり―